つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

マタハリの(おそらく首相が主宰の)レセプション

パーティ会場でのラドゥーくんの話をするし記憶ログの出力をしたんですが(こういうわちゃっとした場面でオフマイクを見て読むのが趣味なので。たぶんセリフは2人共通。)あまりに長かったのでログだけ別の場所にしました。ひと言でいうとラドゥー大佐、キャサリンへの扱いがぞんざい。


そういえばレセプションの主催はたぶん首相でした。先頭に立った彼が全体に挨拶して、控えていたキャサリンと、隣のラドゥーを紹介する。
それを受けての大佐、初めの招待客に「ようこそいらっしゃいました」って言ってたと思うんだけど、26日だったかな、そのとき聞いたのは「ご無沙汰しておりました」だったような。オフマイクなんだけどなんかごぶ……って声が飛んできた気がして……。
2人目の客にも何か言ってるんだけど毎回見逃す。こっちの客のが仲良しなのか、挨拶の後にちょっと談笑して盛り上がってたような気がする。ダンスのときと混ざってるかも。

あのねところでラドゥー大佐、どちらもここでは手に唇落とすときリップ音を立てるんですけどね。加藤ラドゥーはマタハリにも音を立ててキスするんですよ、田代ラドゥーはマタハリにだけしないんですよ……柚希マタにはリップ音立ててた回もあるんだけどしなくなってて、何その特別……。*1

ラドゥー大佐が首相の飲んでるお酒(1人だけグラスが違う)を褒めて、それを見ていたキャサリンが氷に刺さってるボトルを持ち上げて飲む?って仕草をするんですよ。従順ないい*2奥方じゃん。談笑してた大佐はキャサリンに目を向けてそれを片手で制するし、田代ラドゥーは配信のとき「いらない」*3って言ってておっまえ……。ラドゥー大佐さあ、こういうときキャサリンに愛想笑いしないんだよね、厳しい顔してるわけでもないんだけど、無関心というか社交辞令的な微笑みがないの。ノーサンキューのサンキューがない*4。それ見てた首相が手でダンスはどうだいって感じで促し、キャサリンと目を合わせてエスコートして踊り始める。

エスコートしてるときや踊り始め、ターンする彼女を受けるくらいまではキャサリンに意識を向けてるんだけど、キャサリンの頭越しに首相に目配せするし(これ田代ラドゥーだけ?)彼女を前に置いて踊りはじめたら他の客に気を取られて目線がそっち向くし、近づいてきた男から庇うように引き寄せて踊りが止まったのはまあ……にしても、他の男性客がふざけてるのを見ながら一緒に笑ってるし(これも田代ラドゥーだけかもしれない)、いや全然キャサリンに気がないな……? お客の女性にもしてた紳士的な(社交儀礼的な)エスコート以上の感情が見えないぞ……?

キャサリンが言ってた「あのブロンドの〜」はラドゥーがそっち見てたからなんですよね。キャサリンは後ろにいるラドゥーの視線や意識が逸れたのに気づくのに、ラドゥーはそれもあんまりわかってない。なんでキャサリンがご機嫌損ねたかわかってないでしょ。どっちの大佐も。

田代ラドゥーは踊りながら余所見してるのをなじられて「ごめん」って素直に謝ってましたからね……。ちょっと困った顔でなだめるようなジェスチャー、そこだけ見ると悋気に対応してる夫っぽいけどラドゥーくんも悪いよあれは……。悪気や浮気心はないんだろうけどだから余計に残酷なやつだよ、元々関心が薄いってことじゃん。ちょっと後の「求めるから生まれるのさ」「それじゃ哀しすぎる」で面食らったように一瞬きょとんとするの、キャサリンの言葉がわかってなくてそういうところだぞ……この大佐はそこがいいんだけどさ……。

怒って離れたキャサリンのためにシャンパンを取って近づき、妻の当てつけるような言葉にも仕方ないなあって顔して気を取り直して優しげな笑顔と仕草でグラスを差し出すのはいい夫みたいなのにな……あれどっちかと言うとため息ついて受け取り、仕切り直して乾杯に応じるキャサリンのほうが大人なんだよな……。

乾杯のあと、ラドゥーは彼女に向いたままなのにキャサリンは90°向きを変えて飲んでたの見ました? ラドゥーくんそれさえ目を閉じて見てないのも。仲睦まじく見せるべき社交の場でくらいも少し妻に関心を持とう? キャサリンも夫の無関心わかってるからやってそう……。それはそれとして目を閉じ片手を背中に回し、涼やかにシャンパンを飲む姿は大変に絵になってございました。加藤ラドゥーも田代ラドゥーも。

自分に全然関心なくて雑談に笑ってる夫にも黙って腰を抱かれてパパのところに戻ってくるの、キャサリンよく我慢してると思うよ……。それはそれとしてこの場面のキャサリンの従順さを見るたびに、後の「女が意思を持つのは危険だ」を思い出す。

加藤ラドゥー、社交の場を涼やかに完璧にこなしていながら、首相の言葉に共感しながらもマタハリの勧誘を朗々プレゼンしながら、ひとりになると彼女に想いを馳せてぼんやりしてるのが恋をしている人間のそれだなあと思った。恋をしていて、その自覚がまだないから思い募らせて悶えることもない、気の漫ろな感じ。なんで一人の時間が欲しくなったのか、彼女が出てくるかもしれないほうが気になるのは何故なのか、もしかしたら気にしている自分のことも、よくわかってなさそうじゃない?
首相の焦りや憤りに共感して「わかっています!」って言いながらマタハリのプレゼンは涼やかにするの、大佐業がそこそこ肌に合ってそうで好きです。キャサリンが上がってきたから会話を打ち切るのを目だけで伝えるの、交渉に慣れてそうだなあと思った。*5

田代ラドゥーにはなんとなく、消耗してるんだなあって印象を受ける。バルコニー(だよねたぶん)に上がりながらカフスのボタンを外し首元を緩めて(全部仕草だけ)ってしてるのとか会場を見下ろしながら焦りを浮かべているのとか首相が去ったあとベンチに座り込むのとか、たぶんそこら辺の印象。首相に声をかけられたときの反応にラグがある(振り向いて、首相に気が付いてぱっと身を翻すかんじ)のもかもしれんけど。キャサリンに「だいじょうぶ」って言い置いて離れてくのはひと息つく時間がほしかったのかなーと。(つまり妻といるときのラドゥー大佐は気の休まらなさそうと思っているんだな自分)
と、思っていたんですが、いやでもあそこでウインクかます余裕あるならまだまだ大丈夫なのかな……って配信みて思った。ラドゥー大佐より首相のが上手にウインクしてるのコミカルで面白かったですね。

キャサリンが言い放った「女優の皮を被った売春婦よ!」が(経歴として)その通りでそうね!?ってなる。誰かから聞いたわけじゃなさそうだし勘なんだろうけど。「そんなこと〜」って言ってるけどあの時点でその事実をご存知ですよねラドゥー大佐? 加藤ラドゥーは窘めるような、田代ラドゥーは驚いたような顔してた記憶があるんだけど違うかもしれない。

階段下りながらジャケットをぱん、と整えてる(田代ラドゥーは途中からしなくなった)加藤ラドゥー大佐、気を取り直してキャサリンのご機嫌取るつもりだったのかな。一足先に下りたキャサリンはパパと話して夫を見もしないで立ち去るけど。首相の目くばせと手の動きで追いかける意思がふっと消えるのひどい夫だよ(好きです。)マタハリがパーティに出てくるのをしばらく待ってたのも含めてひどい夫だよ(好きです)
このときの加藤ラドゥーが切なげな、初恋なんだなみたいな目をしててオタクはテンションが上がりました。ほころびかけた蕾のような雰囲気、かわいいよね。田代ラドゥーはよくわかんない。焦れているような表情。お仕事で表でも挨拶しときたかったのかもう一目見たかったのか。

*1:リップ音から続く吸気音が執心の強さのようでうわぁ……と思っていたんだけど気にされてたらすみませんと配信のカテコ挨拶で思った

*2:これは献身的で従順で都合の良いという意味

*3:「いや、」って言ってる回もあった気がする

*4:追記.愛知の田代ラドゥーはちょっと考えて「だいじょうぶ、いらない」って言っていました。ノーサンキューのサンキューがあった。えらい

*5:田代ラドゥーは軽く手で制する。目ざとさと首相への距離感が好き

マタハリ6/16感想

マタハリラドゥーの話をすると言ってたのでラドゥーの話をします。(2回目)
あらすじ追い終わったからどうしても細かいところに目が行ってる。
自分で読み返して思い出すためのものなので楽しいとこしか書いてないしすべて受け手の主観すなわち幻覚だよ、そのことをご了解ください。

愛希マタ・田代ラドゥー・東アルマンです。

 

○1幕感想

愛希マタハリ、踊りながらのまん丸い眼やすうっと細まる笑顔が仔猫のようで、なるほど艶めかしい猫……。柚希マタは野生動物のようだったけど、愛希マタはどこか愛玩動物みたい。やさしく誘えば腕の中に入ってきて、でも繋いで留めようとすると腕から抜けていってしまう愛らしいソマリ*1みたいな女。

楽屋の田代ラドゥー、無理して悪辣ぶってる感じがしませんでした? 警戒や反感を掻き立てるよな表情をしてみせるのに感情喚起に付随する目的がなさそうというか。マタハリへのストレートで好意的な賞賛がどこかそぐわないのも、敵対の意思なしを示してるときに効果がある行動だからなのかな。
マタハリがお願いを突っぱねたときに目を見開くのが、怒りというよりは「えっなんで?フランスのために働きたくないの?」みたいな驚きに見えて可愛いなって思いました(幻覚) 最後、私が信頼できる人間だと〜って話すときにはちぐはぐした印象が薄れて柔らかくなるのが、権力じゃなくて信頼で関係を作るのに慣れてたのかなって印象。

シャンパングラスを取ろうとしたキャサリンの手を田代ラドゥーがやんわり止めて、いこうかって誘うの可愛いなって思いました。
パーティで妻や他の客と談笑してる姿がふわふわきらきらしてて、この人もともとこっち側で仕事してたんじゃないかって妙な質感が……敵意を力で威圧するより、華やかな場に潜り込んだり相手を気分良くさせたりして情報を引き出す諜報員に向いてそう。さっきも言ったけど、(内心どうあれ)好意と信用で関係を組み上げたり懐に入ったりするほうが得意そうなんだよな……。
上官との話し合い、一度は君の知る必要のないことだって撥ねつけときながら移り気を疑われるとマタハリだって教えちゃうの、妻に疑われるの嫌だったのかな……だとしたら可愛いな……。後の場面を見るに地雷がありそうなのは“覚えのないことを疑られる”ことのほうな気はする。

ところでさ、この場面のキャサリンが「踊り子の皮を被った売春婦よ!」って言うじゃん。なんで知ってるの? 噂が流れてるの??
金髪の〜って会話からするに根拠のない憶測の可能性が高そうだけど、キャサリンも元諜報員だったりしたら楽しいなって思いました。夫の口からマタハリを聞いてびっくりするんだし、ラドゥーが話題にしてたことはなさそうかなって。1人上に残ったラドゥーの代わりに上官が世間話して背中に触れて退場を促すからたぶん家族ぐるみの付き合い。そりゃそうか最重要機密握ってるんだもんな、人質は要るよな……。

東アルマン、自立した若い男の人だった。いやそういう人なんだけど。三浦アルマンに少年っぽさというか、ほっとけない危なっかしさを想起したのでそこが強く印象に残ったんだと思う。1人で立てるからこそ、差し伸べられた手にちょうど良く重さを預けられるようなバランス感覚してそう。
アルマンという人間がよくわかってないのであれなんですけど、東アルマンがスパイの道に踏み込んだときは"国のためにできることを"を健全に発想してそうだなって思った。切迫して居ても立っても居られずにではなく、きちんと考えて覚悟が決まった上で選んでそうだなって。
東さんについてはDoVで1回見たきりだったので、こんなにしっかり声出す方なんだ!という驚きがあり。マイクの増幅もあるのかもだけど、太さと滑舌揃ってて聞きやすかったです。1階と2階で相当に音が違うから何もわからなくはあるんですが

田代ラドゥーと東アルマンの会話、アルマンのほうが冷静さを保ってるの面白かった。初めは上官してたラドゥーが、仕事の出来を言及されたアルマンの放つ「マタハリに『好意』を持つように」でばちん!と繕ってた余裕が飛ぶ。そこに地雷があるんですね……?

マタハリの手に唇落としたまま大きく息を吸い込むのシンプルにきもちわるいな……(賛美の表現です) これ加藤ラドゥーもやってた……? 遠くて吸気が聞こえなかっただけ……? 目を伏せたまま涼しい顔でやってるから余計に執着が強そうでぞわっとする。
キスの誘いに乗ってくれないマタに素直に切なそうな顔するのかわいいですね。

リオンで東アルマンが繰る人形、テーブルの上でマタにお話する。マルガレータの告白を聞きながらだんだん気配が変わっていって、ここで落ちたんだろうなと思いました。ホテルの支配人が「フロントでサインをするのを見て〜」ってシャンパンを取り出すのを愛希マタハリは綺麗で愛嬌のある笑み浮かべて眺めているんですよ。アルマンに笑うときはちょっと硬いくらいの笑い方なのに。この子の笑顔は身を守る鎧なんだろうな。

アルマンの「落ち着かないご様子ですね 大佐」が当になように、田代ラドゥー、余裕がないのかすぐ焦燥が剝き出しになる。だから敵意を持って対すればペース乱すの難しそうじゃないのに、激昂したときの脅しは語尾が甘く掠れるのがすごいこわい。更に怒らせると声が低いまま仕草にも眼差しにも艶が出てくるの、何あれ……。1幕終わりの論戦でひとフレーズ、ぐんと艶を増した声が柔らかい布みたいにアルマンに絡むんですよ。情愛とは別のところでそういう色を帯びるの、シチュエーションや本来だろうラドゥーの感情と全く噛み合ってないがゆえに、つややかであればあるほど剥ぎ取った下にある得体の知れないものを想像させてこわい。
しかもそれやるのだいたいアルマンになんだよな……マタハリ相手じゃないんだよな……。
リオンから戻ってきたアルマンのジャケット掴んでゆっくり息を吸い込むの、そうですかそこで嘘を判断する……。ところであのナンバー、アルマンも「あの薫りが」って言ってるんですね? なんかちょっと聞こえてきた。
ラドゥーが「鏡の中に彼女を見る」って言うのは楽屋を思い出してるのかなと思ってたんだけど、田代ラドゥーはマタハリのなかに自分と同じものを(一方的に)見出していそうだなって思いました。2幕まで観て。

少年パイロットを励ますアルマン上官、少年の正直な開示(「少し、漏らしました」)で少年の肩を支えにするくらい笑ってから「僕も、」って開示するの人心を掴むのが上手で感動しちゃった。感動した後につい、諜報員に志願だかスカウトだかされるだけはある……と思ってしまい。優しさや面倒見の良さ、人の心を開かせる天性のものがあって、そこに作戦が乗ってるんだろうな、東アルマンのスパイ技術。

リオンでは少し硬いぎこちない笑顔をしていた愛希マタが、1幕終わりではアルマンを想って空を駆けるような笑顔を浮かべてたのがとても好きです。裏切られても傷つかないよう無意識に構えていた彼女が「本当の愛」を見つけて、手放しに笑えるようになったんだなと感じて。

 

〇2幕感想

少年パイロットの悲痛な「空に隠れ場所はない」「祈ってくれ」が大変好きなんですよ。
この少年パイロット、次に現れるときは大きな銃を持っているのでパイロットから陸軍兵士に志願し直したんだよなたぶんな……。国のために……上官が励ましてくれたように、英雄になるために……(パイロットたちのナンバー、「英雄になれ」っていうそうですね)

田代ラドゥー、マタハリに頼られるとすごく嬉しそうで素直だなって。アルマンの情報を渡したけど諜報員だとは暴かなかったの何故なんでしょうね。マタはアルマンに会うためにリオンに立ち寄ったのに。マタがパリから出られないと信じてたのかな、それともマタをがっかりさせたくなかったのかな。
自分で口にした「嘘」のひと言から一気に過熱されるのマタと同じくらい嘘か本当かに拘りありそう。嘘はいらないから愛などいらないなの? そういうことなの?
サスペンダー脱ぎ落とす動きに全然色気がない。*2 焦りと衝動と、理性の箍が外れた獣の姿。
マタハリへの想いを自覚したら感情制御されるかと思ってたけど……そんなことなかったな……。そもそも田代ラドゥー大佐、どういう感情か自覚したのかな……。
「追い払ってやった」って話す声にも表情にも甘さも余裕もなくて、嘘つくの下手か……!? えっ身内だから……? キャサリンに立ち去られて可哀相なほど動揺していて、“そうして彼はまた一つ失った”の感。

愛希マルガレータ、オランダ人のパスポートで旅に出るとき帽子を深くかぶって顔を隠すんですね。柚希マタがけっこう堂々と顔を見せていたので驚きがあった。座席が違うからそう見えたのかもだけど。

上官にマタの逮捕を促されて、目を閉じ深々とため息をついて天を仰いでからぱっと見冷静に立ち去る田代ラドゥー、1幕でテンションが上がりきると一周回って腹が据わるのを見てるから内心が恐い。

裁判のラドゥーがめちゃくちゃ活き活きしていて、夏。活き活きしてるっていうか演説上手ねっていうか、見られることと魅せることをよく知っていそうというか……笑顔で民衆(客席含む)の一人ひとりに視線を合わせて説得しようとする……。田代ラドゥー、やっぱり人前で動く任務で成果出してきてるのでは。適性如何はさて置いても積んできたスキルの高さがすごいぞ。
「あなたのような男たちから身を守るための!」でそれまでの涼やかさが嘘のように豹変する。そうだねマタハリを守りたかったんだよね……。同情の余地はないけど……。

アルマンと揉み合い発砲音がした後、地面に落ちて苦痛の表情を浮かべてたラドゥーが自分の腹に傷がないと気がついた途端、可哀想なほど動揺するの何故なんでしょうね。自分の手で人間を殺したことになの、アルマンに駆け寄るマタを想ってなの、でもアルマンたちに振り向く前だったんだよな……同朋を、ひょっとしたら人間を直接手に掛けたことなかったのかな……。アルマンに近づこうとして、アルマンを抱き締めるマタにまた絶望する。手すりに縋りついてなんとか崩れ落ちないでいる有り様で階段を上がっていくの、可哀想だなって思った。

最後、腰の折れて俯いていたのがゆっくり背筋を伸ばし、首だけ真上を向いてはけていったんだけどあのラドゥーそのうち自殺しそうだなっておもいました
ラドゥー大佐(史実)も二重スパイ容疑で殺されたってTLみたとき、加藤ラドゥーにはあそこまでしたのにその結末なのかって思ったけど田代ラドゥーにはよかったねって思ってしまい。戦争終わるまでは自分から死ねなさそうな男だったので。

 

だいたいラドゥーの話したんだけどひとつだけ役者さんの話していいですか、田代さん声が重……!? 表面がざがざしてるのに粘度の高い感じ。高い音でもどろりと這うようで、ざくろの皮が爆ぜるみたいにばんっ!って圧が増す。喉のとこで音をぐっと圧してるように聞こえたのは私の耳が悪いのかハコの音響かは分からん。愛知ミーでしばしばしてたのと同じ歌い方に聞こえた。

*1:猫の品種。鳴き声が高くてきれいで、甘え上手なんですよ

*2:ジャケットとサスペンダーを脱ぐ仕草に色香が匂い立つ役を演じていらしたのが1月前なんですよ スリルミーという

マタハリ6/15感想

ラドゥーの話をすると思うって言ってたよね、だいたいラドゥーの話をします。

柚希マタ・加藤ラドゥー・三浦アルマンの組合せ、敬称略です。
個人団体その他諸々に無関係の一個人が見た幻覚であることをご了解ください。

組合せ固定じゃないから難しんだろなとは思うんだけどCD出ませんか?ワイルドホーン楽曲邦訳歌唱を残してほしい。


○1幕感想
楽屋に入ってきた加藤ラドゥー、駆け引きと余裕のある笑みを含んだ色男の眼差しで会話してたのがマタが名刺に目を通した途端に甘さを消した厳格な軍人の顔になるからすごいよ
険しい顔したマタが要求を突っぱねて蠱惑的な踊り子の振る舞い(そういう話は終わり、の牽制だと思ったんだけどどうなのだろね)をしたら彼もまた権力ある色男の甘い眼差しをするところも含めて、この男敵に回したくねえなって凄みがあった。

三浦アルマンのヤンキー座り、ガラの悪さよりも所在のなさに見えた、場にそぐわなさというかどこか儚い雰囲気というか。ほの青い白目が控えめに覗くようにマタを窺ってるからかな。この組合せラドゥーもアルマンも白目のあおさが健康そうないきもので好き。

加藤ラドゥーさ、ライトの関係か虹彩の色かわからないんだけど、「一万の命」で大きく見開いた黒目が暗い赤に輝いて見えるんですよ。苦悶を浮かべたまなこが血に濡れた戦場を見ているようで、見ているこちらの息が止まるようでしたね……。ライトの加減もあるのか若さなのか、目が少し潤んでいるように光がよくよく入るんだけど、彼は苦しんだり無念さを噛み締めたりしながらも涙をこぼさないんだよなと思った。兵士の命を預かる彼はたぶん、それを己に許さなそうだなとも。自分の力不足で奪われた命に後悔はしてもいいけど同情はさ。
その後の場面、マタハリへの激情が噴き上がるところで見開いた目がやっぱり血の赤を帯びていてわあ……と思った。
2回目の逢瀬で立ち去るとき、キスを拒まれた口元にラドゥーが自分の手を運んでいて、夏。1回目はまっすぐぴしっと姿勢を崩さず立ち去ってたじゃんさあ……

マタハリを想うラドゥーのソロ、イントロ直前あたりで加藤ラドゥーがぎ、ぎぎって軋むような動きで揺れて、入りの歌詞が「なぜ軋むのだ」(胸が、かも)だったの細かい そしてラドゥーさん己の恋情を自覚しきれてないから制御できなくて、間欠泉のように名前のついてない衝動が噴き上がるの好き。
 
ラドゥーくん、最初に楽屋で言葉を探してやっと伝えた「君は……魅惑的だ」が全くの本心で一目惚れだったんじゃん。直後にアルマン差し向けて美人局するのなんなのマゾなの??? いやたぶん順序が逆なんだな、スカウトしにいくと決めた時点で念を入れてアルマンの伏兵を仕込み、コンタクトのために入った舞台で一目惚れしたんだな……。

アルマンの口から「マタハリ」の語が出るたびにあそびのない目で唇を戦慄かせるラドゥー大佐、どう見てもアルマンと色が違うタイプの執着なのにお前も同じ言うてるのが変に自覚なくてやばいんだわ。顔上げて振り向いて見てみろアルマンどん引きの目ぇしてるぞ
ラドゥーが心を掴まれたのは輝く女『マタ・ハリ』でアルマンが恋したのは痛みを抱えて生きる『マルガレータ』だからなんにも同じじゃないんだよな。大佐、おまえさんが恍惚としているマタ・ハリの「あの薫り」にアルマンはたぶん何の執着も抱いていないぞ。

ラドゥーの前でマタが見せるのは妖しく艶やかに笑い本気と駆引きで戯れ合う女で、アルマンの前で見せるのは娘のように裏なく笑う女で、2人はどちらもあの女に惹かれているけど、見ている面も欲しいところも全く重なってなさそうなのよね
三浦アルマンはマタハリに「サインが欲しくて」って言ったり痛み止めのツリーオイルに「いい匂いだ」って笑って見せたりするけど、あの時点ではただの監視相手としか思ってなさそうじゃない? 思いがけずマタハリの本当を聞いて、ほんとに「同じ」かもしれないと思ってしまって本気になる、みたいな。

柚希マタハリ、ヒョウでもシマウマでもカンガルーでもいいんだけど、しなやかで強い野生のけもののような魅力だなと思った。ふっと思ったのはどの雄より美しい翼を持ってしまった雌孔雀のよう、だったんだけど(おそらく色合いもあって)リオンでの会話でなんとなく納得した。適性が高かったから強く魅惑的な女をやって、やれているけどマタ自身はそういうものを欲しい女じゃないのかなーと。アルマンと話しているときは娘のように笑うよね、マタハリ
というかあの、マタハリが踊っているのってシヴァ神信仰に基づく鎮魂の踊りなんですね……?

○2幕感想
1幕では戦争に喘ぐ町の人々(現実)とマタハリという鮮やかな夢って感じのお出しされ方だったのが、2幕ではマタが戦争を嘆く無力な町人(希望の薄い帰りを待つ女たち)の1人になってるの、クるものがありましたね……。

踊り子マタハリの顔ではなく1人の女としてラドゥーの元を訪れるマタと、どうありたいかがここ一番不明のラドゥー大佐、おもしろいですね……?
心など(愛など?)なくても良いってマタに迫るラドゥーがだいぶキてて好きです。最初に楽屋で出会ったときの駆け引き含んだ甘さはないのに見返りなしの本心でもないの、それでいて愛が欲しいわけではないのどういう感情なの?(好き)
欲しがるものは(その感情動機が)よくわかんないけど言ってること自体はそこまで道理がおかしくはないんだよなラドゥー。私の力でお前の欲しがるものを与えよう、対価に一夜の夢を寄越せ。ドイツの将軍はじめ、おそらく世界中のマタのファン(有力者)も同じことをしている。
お金に対して返される「愛を込めて」、一夜限りと承知しての情交、どちらもマタハリは与えて来ているよね。自分の愛なんかを手に入れてしまったから国境の分け隔てなく愛を売る女マタハリでいられなくなったのだろうけども。
それともあれなのかな、嘘を承知で一晩恋人どうしをやるのにラドゥーのほうから幻想あそびを投げ捨ててしまったからマタも本心で返さざるを得ないのかな。初めに条件提示したら或いは頷いたのだろうか。うーんでもあそこに来てるのマタハリというよりマルガレータだったしなあ。
恋はアルマンに向けるよう仕向けたから俺には本心からの屈辱と憎しみを寄越せなの?(たぶん違う)
妻に突き飛ばされて少し驚いた顔の後、自嘲するような笑みをしたラドゥーがその後に顔を上げて、愉快なものを見つけたみたいに笑みの質を変えたの何見ているのかわからなくて不穏。袖に消えるまでずっとその笑みを浮かべて何かをまっすぐ捉えている。

上司に決断を迫られ、返事をして立ち去る直前にラドゥーの白眼がぬらりと輝いて凄みがありましたね。大きく目を見開いて俯くからライトの反射がぬるりと蛇のように白目を這うんだ。
アルマンともみ合って発砲音がする直前、苦痛に顰められた顔がただの青年みたいに見えた。「記憶から取り去り」みたいなこと言ってたラドゥーがナンバーの最後で「記憶のなか」ってこぼすの可哀想だなとおもいました。ベンチ?ソファ?にかけたまま心の芯を失ったみたいな顔で消えていったね

ラスト、狂を発したかと思ったけど最後の言葉を聞くにちゃんと正気っぽいんだよな……。そうでもないのかな……。割れて歪んだ鏡に己の顔を映して不安定な表情をするマタ、あそこ見るとあまり正気には見えないけども
いつまで経っても答えないアンナに顔を曇らせて振り向いたマタが、アンナの震える声での「もちろん大入り(うろ覚え。"いつもの"口上)」を聞いて踊り子マタハリの顔で笑って見せたの最高でした。
最後の最後、リオンで見せていた娘の笑顔で手を伸ばしていたからたぶん会えたんだね。ジーンの踊りを見たあの湖だしね。(あのレースと水色の背景、そういう理解でいいんだよね?)

'21レミゼ感想

6/13マチネです。まとまってない記憶の断片をわーっと書くつもりがこうなったのでわーっとするのはツイッターでやろうと思いました。文字数制限がないと連想と空想で無限に話がずれていく。

 

知念里奈さんファンテーヌ
知念ファンテを見たら2幕ラストシーンの解像度がめちゃくちゃ上がってすごく動揺しています。あまりに上がりすぎて強火の幻覚(そういう演出ではないところ”わかって”しまった怪電波)じゃないかって気がしてきた。
死者が生者を迎えに来た場面だと思ってたけど違うじゃん、いやそうなんだけどあそこにいるファンテは、たぶんエポも死後の世界から迎えに来てるのではなく神の国から使わされてるんじゃん……という幻覚を見ました。見ています。
知念ファンテが出てきて声をかけた瞬間に静謐さが聖堂のそれになったじゃん……ならなかった……?(オタクは幻覚を見ています) フランダースの犬(アニメ)のラストでネロとパトラッシュを天使が引っ張って連れていくじゃん、バルジャンを迎えにきたファンテと寄り添ったエポはあの天使たちと同じなんだなって思う。わからない、幻覚かな。

正直に言うとわたし前回のレミゼのあのシーンにちょっとホラーに似た無常さを覚えていたので(害意もなく世の定めとはいえ、この世ならざる者が命の灯火を消したように見えて仕方なかった)、あの静けさに神聖を感じ取ることになるとは思ってもみなかった。カトリックの聖人思想、わたし一片も共感していなかったんだけど*1こういう気持ちなのかって思っちゃったよ。
死は喪失じゃなくて救いの日まで離れているだけ、再会するまでの遠い旅のようなもので。先に逝った者が迎えに来たのはこの世から連れ去るためではなく道に迷わないよう手を引くためだった。バルジャンがマリウスに託した嘘(遠くに旅に出る)がまことになったの好き。

 

小野田龍之介さんアンジョルラス
前回に見た記憶よりリーダー適性高そうなアンジョルラスでこのアンジョになら心臓預けられる。勝てそうかどうかじゃなくて、この人の理想になら命を懸けてもいいと思える。
あのカリスマに仲間へ気を配る情の篤さと細やかさが乗ったらリーダーとして最強じゃん……。あの学生軍アンジョルラスだからついて行ってるしアンジョルラスだからあそこまで士気を高められてるよ。
一気に妄想強度を高くするんですけど、あの学生軍アンジョルラスの語る正義に共感して集ってるのもアンジョルラスに鼓舞されてるのも事実だけど同時に俺たちがこいつを支えてやんなきゃとも思ってそうじゃないですか?
初めての恋にすっかり浮かれているマリウスにちょっとむっとしてるのを仲間がひょいと宥めて最終的には革命の話に持ってけるようにするのとかさ。

小野田アンジョルラス、狂気がないのが彼の魅力だし哀れだよ。*2まったく正気で作戦を立て仲間を想い同志の死を目にして、それでもリーダーでい続ける気持ちの強さといつか対面するだろう正気では受け止められない酷い現実に心が折れてしまうのではないかって危うさ。
あのカフェで同志の死を聞いた衝撃を打ち払うように戦意を燃やして仲間を鼓舞しようとするアンジョルラスにいつか折れるぞ折れるぞと思ったりした。ガブローシュの死に崩れるように座り込んだアンジョが眉間をぎゅっと押さえて動かないから折れちゃったかな……と思ったら悲しみも悲愴さも戦意の燃料に焚べて最後の火をつけたのすごかったね。それまでは櫓の上、高いところにいながらもバリケードで身を護って戦っていたアンジョがバリケードの隙間で全身をさらして赤い大旗を振っていたの、勝てない戦でリーダーができる一番のことをしているんだなあと思った。
砦のなかで一番目立って一番危険で一番無防備な場所を自分の身体で塞いで、赤い旗と赤い自分で士気を高めて死の恐怖を吹き飛ばして。最後の瞬間まで後ろを向かず、誇り高い戦士として落ちていったね。ちびいぬガブローシュと同じように握ったこぶしを振り上げてさ。
最後までひとり残り、嘆くマリウスを心配するように見ているアンジョルラスにマリウスの兄貴分だった(というかマリウスがみんなの弟分だったんだろう)仲間想いの男をみた。

 

上原理央さんジャベール
家柄の良さそうな刑事。当たり前のように恵まれて、当たり前のように神のために職務を果たす、神にとても誠実な人。彼、バルジャンを捕まえる決意を新たにしたときに十字を切るんですよ。自分の職務を神のための奉仕(地上を神の国に近づけるための行いが"天命"、まあ神から与えられた仕事みたいなものです)と疑わない。このジャベールはなるほどな、娼婦や小悪党を理解することはできないだろうな、と思った。
彼はおそらく自分の意志で刑事となり、自分で選んでスパイとして潜入した(失敗したけど。)刑事としての職務のためなら他人にどう見られようが構わない、己が命さえ惜しむこともない。
自分が生き延びるために、あるいは自分を犠牲にしても子や家族を守るために仕事をする彼らが『他に選べない』『選ぶ余地などなかった』のは弱さにしか見えなかっただろうなあ、と思うのよ。『死なないためには仕方がない』は、『誇りある死を選ばない』とも言えてしまうので。
ジャベールのその信念にひびを入れたのは冷たくなったガブローシュなんじゃないかなあ。神の国に近づけるために職務を果たしている自分たちが殺した、神の国に一番近いはずの存在。
「死にかけてる!」ってマリウスを見せられたときすごい形相になって、そのぎらぎら光る目のまま道を譲った彼の信念はあのとき折れてしまったのかなあと思った。
届かない何かを見上げ伸ばした手が、こと切れてぶらんと垂れ下がりトンネルに吸い込まれた光景が目に残っている。


ここからは幻覚を見てないでどんどんいきたいです はい

佐藤隆紀さんバルジャン
穏やかで優しそうなバルジャンだなあって思った。ふわふわした。声の印象なのかな。コゼットを小さなお姫様のように扱う手がやさしいんだよ。
マリウスにコゼットを託して去るとき、背を丸めて首を落として歩みさっていくから一気に年老いたように見えた。このときのバルジャンはエポニーヌが言ってるように「じいさん」なので、今まではコゼットのために背を伸ばして気を張り詰めていたんだよね。きっと。
若いふたりを迎え入れる穏やかで慈愛に満ちた微笑みがね、いいよね……。

橋本じゅんさんテナルディエ&森公美子さんテナルディエ夫人
やったー!!って思う、具体的にどうこうというのはわからんけど、小悪党ぶりが見ていて気持ちいいよね。流れるようにお客の持ち物をパクっていくテナルディエと息ぴったりで品物を受け取って台所に紛れこませたり服に胸に押し込んだりする夫人の破れ鍋に綴蓋さ加減とか「ラッシャーセー!(雑)」とか好きだよ。
催したお客のを受け止めたボールの中身を酒瓶に入れて夫に差し出す夫人、ひぇ……。テナルディエが飲み始めてからうげぇって顔になる(それでも飲み続ける)のどういう顔して見ればいいかわからない(好き)瓶を口から離したところにすかさずボール差し出すのが2人の歳月の長さって感じ。
コゼットにばいばーい!したあと、大金でテンションが上がっていそいそ服を脱いで(仕草)ハグするのめっちゃ面白かったですね。バルジャンやジャベールと反対の、目の前の利益や自分の欲望に従う人の象徴なんだなーと思った。

*1:キリスト教の信ずるかどうかは主と私の一対一の契約なのになぜ他人をバフに使おうとするの?って思ってた、おそらく彼らにとってはそういうものじゃないのはなんとなく判ってるよ。

*2:前回のレミゼ、普段は友達想いの青年なのに革命を謳うときは目が狂気に輝く相葉アンジョルラスがいたよね……今回もそうなのかは観てないから知らないけども……

バタフライ効果のたとえ話、いつかしたいと思っていた

 田代さんがSoMLの紹介でバタフライ効果の話をするたび、あの言葉をあの向きで説明するの世界への信頼がすごいなあと思っているという話をですね。いつかしようと思っていた。
あの説明が田代さんの解釈なのかブライアン・ヒルさんの解釈なのかは存じ上げないのですが。未知への可能性のニュアンスで話をするじゃないですか。眩いなあ、と思う。

《butterfly effect》ある系の変化が初期条件に極めて鋭敏に依存する場合に見られる、予測不可能な挙動のたとえ。もとは、米国の気象学者ローレンツが1972年に行った「ブラジルでの蝶のはばたきがテキサスに竜巻を引き起こすか」という講演の演題に由来する。大気の対流が決定論的な微分方程式に従うにもかかわらず、数値計算の精度をいくら向上させても事実上正確に予測できないカオスの性質をもつことを象徴的に表現したものとして知られる。(デジタル大辞泉

 バタフライ効果とは - コトバンク

 言葉の定義としてはこんな感じ。ソース掴めてないですが初めはカモメを喩えに使うつもりだったというエリザ好きには楽しそうな小話もありますね。

わたし理系分野の専攻だけど物理や数学は専門じゃないのでここからはどうか話半分で聞いてくださいね。情報を拾い集めてもその分野でメジャーな概念理解を獲得するのは外のヒトには難しいので。

わたしは科学に、特に物理には世界の近似値を求める学問だってあたまがあったので、*1このたとえ話を自然にはいまだ届かない、人類の限界を表すことばだと認識していたんですよ。近似式はアナログのゆらぎを削いでデジタルにしたものだから、ゆらぎが結果に大きく響くカオスは計算しきれない、といいますか。
科学の発展は観測している箱庭の枠を広げることや解像度を上げることはできても、箱庭の外や点と点の隙間そのものを計算できるようにはならない。だから、ごく小さな差異が大きな違いにつながる複雑系の全貌を正しく計算することはできない。箱庭のたとえでいうなら、箱庭の外が変化すると、それに合わせて箱庭の中がまるで書き変わってしまう……みたいな感覚かなあ。なんか違うんだけど。がたがた揺れる電車の中で線のブレひとつなく手紙を書け、みたいなほうが近いかもしれない。
まあとにかく、そういうニュアンスで出た喩え話だと思っていたんですよ(そもそも私の理解が間違っている可能性は十分にあります。物理、専門外。)

なので、蝶の羽ばたいた小さな空気の動きでさえ地球の裏側で嵐を起こすことが"できる"という、未知への可能性の物語としてかたられるバタフライ効果がとても新鮮でまばゆかった。

『メガホンの話をしてください』*2みたいな鱗の落ち方をしたのかもしれない。

オチがないね。まあないからねオチ。ルールとしての数学は根性だけど、物理をやっていた人にツールとしての数学の話を聞くと世界の解像度が上がって楽しいよね。文字の連なりが彩りに見える瞬間。

*1:この表現でいうなら生物学は世界を最頻値であらわす学問かなと思う。近似もとるけど、生物学において個体差と学習をないとして考えることはできないので。

*2:科学者はメガホンの音が出る仕組みを語り、小説家はメガホンが出てくる物語を語るってやつ。学校業界の講話としてよく回るんだけど発祥と真偽は知らない

「あの最終弁論すごかったね」(スリル・ミーの題材事件の最終弁論が読めるよという話)

www.fukkan.com

すごかったし裁判長の立場がピラトもかくやだった。いちばん同情した。

特別配信映像ではカットされていましたが、5/1のトークライブ配信で田代さんが紹介していた書籍です。
「スリル・ミー」の題材となった2人が起こした事件の弁護人、クラレンス・ダロウの最終弁論を含めた6つの最終弁論が収録されています。
関心持ち始めの初学者に向けた法学本らしい価格帯だったのが*110日も経たず転がりに転がって高騰し現在3万超えてるの、まさに資本主義の病じゃんってめっちゃ笑いました。関係者さん胸痛めてたら笑ってすみません。
せっかくだから復刊まで行ったら楽しいな*2と思ってリンク張りました。100票で交渉に動くらしいですよ。

史実ね。“私”の設定というのじゃないですよ。 もちろん。
成河さんと田代さんの会話、とんとん軽妙なやり取りで配信見ている人へ向いた呼びかけだったのかなと勝手に思っているんですけどどうなんでしょうね。言葉違ってたら申し訳ない。記憶、褪せる。

長いんですがコーションです、わたくしヘタリアを通った同人村の住人なので史実ネタは作品を空想するひとつ楽しみ方ではあるぐらいの慣れがあるんですが、同時にある種の不謹慎さも伴うものだとも思っているので(特に人の命が絡む史実は)よろしくお願いします。当時のピクシブ*3でさえ史実ネタ注意」「実在の国や人物とは無関係です」「差別(とか戦争とか)を肯定する意図はありませんって念入りに注意書きされてた類の嗜好だと思ってるのでお願いみんなも承知してね……。エリザベートの詩にトートの影をみつけて燥ぐ(楽しいよ)のとはまたちょっと違うから……。


さて。見てこれ目次。

"レオポルドとローブ-彼らをお赦しください、彼らは心を病み知に溺れたのです"

キリストが神に自分を侮辱する人々への憐れみを乞う言葉のオマージュなんですよこれ。*4彼らがこんな自分本位で罪のあること*5を言うのは無知と未熟さゆえなのです、どうか赦して見放さないでください、的な。

加害者も被害者もユダヤ人の凶悪事件の最終弁論をキリスト教の言葉で彩るこの著者イイ趣味してるな……と思いました。衝撃の大きさに仰け反ったよ。弁論でダロウはこの言い回しをしてない(はず)けど、キリスト教の慈悲って言葉を何回か使うので訴えどころのひとつではある。確かに。
相手の情に訴えようとするときキリスト教の文脈が入ってくるの面白いよね。日本だと社会や周りの目が入ってくるところだと思う。"あなたの内"に訴えるために外にある規範へ依るのが、人間は社会のいきものだとよく知っているんだなあって。

ところで被害者が年端もない白人の少女で加害者が金持ちで余所者のユダヤ人だったから世論ががりがり盛り上がり冤罪で私刑に処された事件を題材にした演目(パレード)の後にこの演目が来たの、偶然なのか意図して組んだのか知らないけどすっげえタイミングだなあと思います。ホリプロちゃんのこういうところ好き。パレードアリージャンススリルミーと史実解説の補足用紙があったから(スリルミーは別用紙でなくパンフに書かれてた記憶)意識はしてるのかなと思っています。勝手に。


ダロウさんが弁護を引き受けたのはレオナルドとローブのためではなく、彼らを育てた家族の名誉と(大金払って弁護の機会を得られないような、しかし)彼らより重い罪を犯してはいない未来の子どものためだと言い切ったこと

彼の弁護が、2人は金を必要としていなかった。殺人を犯す動機も罪の意識もなく、それらを持てるほどまともな精神状態になく、計画能力も責任能力もない心を病んだ子供だって展開されていくこと

個人的にはこの2つが「この史実がある題材であの脚本や演出をするの発想力と人間への理解がすごいな」って震えたポイントです。
こまこました箇所はもっとあるんだけど、それこそオープンな場所で話すのはちょっと、その……なのでぜひ読んでみてね。絶版だけど県内1冊ぐらいは図書館にあるから。

 

ところで好きになった作品の題材を調べて空想を膨らませるの、史実とは別なのさえ意識しとけばかなり楽しいので、ガラコン円盤のお供にエリザもどうですか。ハプスブルク展のときに出たムックもあるよ。

*1:中古で定価の6割ほど、私のいた分野だとそのくらいの扱われ方なんですよね。

*2:法学の人にとってもそこそこ良書らしいし、スリルミーの盛り上がりで全く関係ない法学界隈に利がもたらされたらすごい楽しいと思って……。

*3:会員登録していなければ閲覧ができない=そういう文化に関心や理解がある人の目にしか触れないはず

*4:と、私は理解しているんだけど個人の解釈だから信じきらないでね、主流の解釈は牧師さんに聞いてみてね

*5:キリスト教における「原罪」って神の意思より自分の感情や願いを優先させることらしいんですよね。複数人の聖職者が皆して仰ってたのでメジャーな見解なんだと思う。

スリルミー配信ありがとうございますの巻

何が"巻"なのかはわかりませんが。
まずはあの、配信ありがとうございました! 本編もだし特別映像もだし、いろんなところでたくさんの人が頑張ってくださったんだなーと思いました。
普段アンケート送らない*1んだけど感謝の気持ちを伝えたいので何か送らなきゃなと思いました ありがとうございますしか出てこない*2ので怪文書が4つ行きそう ゆるして

さて。以下、一個人の主観による感想であり特定の個人団体宗教その他諸々とは無関係です。わたしは自分が観たものを継ぎ接ぎして見たい絵をみる物語観賞をするタイプだし*3、あなたが観たものがあなたの真実なんですよいいですかいいですね。


配信ミー全体の感想

元々スリルミーという演目そのものが、ペアや回が違うと別の作品のように印象が変わる物語だと思っているんですけれど。それを置いても配信ミー、劇場で見るスリル・ミーとは別の作品のようだと思いました。どっちも「スリル・ミー」という演目なんだけど、視点が固定されている、音がもう1枚フィルター挟んでいるとこんなに変わるんだなと。劇場だとひとつの場面ではどちらかの人物を追ってることが多いので(首と目の関係で)、二人の表情が交互に見えることでこういう状況だったんだって気づくことがあったり、相手の言葉を受けるたびに変化してくのが追えなくなったりするんだなという気づきもあった。

抜きの画はカメラ越しが、遠景はヒトの目がより画質が良いなーと思いました。スリルミー、物理的に暗いしね。個人の視覚によるのかな。
そしてこれはスピーカーが安物だからかもしれませんが、やっぱりデジタルオンリーだと音のかたちの上半分がなくなる……いやこれは自分が何を聞いているのかわからないんですけど、現場にいたものを配信で見るとまるかったのがすぱっと切れているような、耳が塞がった感じがするんですよ……しません……?音声じゃなくて振動なのかな。

すっげえ個人の主観による感想で間違いなくそういう意図でなされたものじゃないと思うんですけど(予防線)、広山ペアの編集は一度に1カメラの映像固定で、観劇をしたことがない人に舞台を観るってこういう感覚なんですよって導入するみたいだなと思いました。大きく抜いたときに初めて見える僅かな変化や若者特有の目の輝きが"19歳の彼らの物語"にリアルさの味をつけていたなあというか。一度に映る情報量がヒトの目で見た視界と同じなぶん、映像が一番くっきり綺麗だったのもこのペアの編集だったのかなーって。あと、またあとで(たぶん)話すけど松岡私がアップで見ると感情がある人間みが強くて人間だ……と思った。
成福ペアの編集はスリルミ知らない人への挑戦って感じ(個人の感想です。)53歳成河私の語りと笑みで引き込んだら勝ちでしょ……。だってその後に出てくるのがあの福士彼なんですよ、勝ちじゃん。一番心拍数上がったのが「隠された真実」後の成河私から豊かな響きで紡がれる2人だったからそう感じたんだと思うんですが。あそこ意識が引き込まれたまますごく落ち着かなくなりませんか、言葉でないとこの情報量が多くて。そして単純な好みの話なんですが、スリルミ初めての人にも観劇するけど配信あんま見ない人にも入り込みやすい編集だったんじゃないかしらと思っています。どうなんだろうね。
にいまりペアの編集は一度このペア観てる前提のどんでん返しって印象(個人の感想です。)「契約書」その2のカメラワークとか。*4わたしはこの編集(の方針)がヘキどんぴしゃで歓喜したけど初見の人はあそこそれぞれが何をしてるのか*5わかるのかしらとも思った。ピントかホワイトバランスか、途中から全景カメラで表情が見えなくなったからそういう印象になっただけかも。

どのペアの編集も「3ペアのうちこの"私"/"彼"/2人しかしない」動きは抜き出されていることが多くて、すごく丁寧だなあと思いました。そして複数ペア見る前提で編集しましたね?って思いました。最初の53歳私の大写しと「99年」のラスト、カメラワークがぴったり一緒じゃなかった?


各ペアの感想

ペアのって言いながらわたしスリルミのこと"私の物語"だと思ってるので、たぶん短くまとめようとすると偏る。

広山ペア

松岡私、人間になった……。"彼"が"私"を人間にした……。
何を言っているのかわからないと思うんですが劇場で見た松岡私、まなこの質感が共感性絶無*6っていう印象だったのでつい。どアップで見ると思ったより人間みがあった。いや隣の山崎彼と比べるとだいぶん一般的な人間の質感とは違うんだけどさ……。弟くんと電話してたときは気と押しが弱い男の子って感じだったから、"彼"にだけアプローチの仕方が違うんだろうな。
あとあの何より、5/5に(幻覚を)見た砂漠に咲く蓮の花みたいな愛情の大輪*7が咲かなかったので……。配信ミーの松岡私、"彼"を手に入れた喜びのなかに痛々しいものを見るような哀れみがありませんでしたか(幻覚)
"私"が回想した再会からの一連を経て、アルジャーノンのように一人だった松岡私は同種のものに抱く感情を山崎彼という人間に対して手に入れたんだなって思った。なんでその過程で人間性を手に入れたのか言葉にするほどわからなくなるけど……なぜその道のりで……?
山崎彼、劇場で観たときの印象と近くて劇場で観たときより幼い印象が強かった。こまかな仕草が、ちょいちょい幼い。幼さというより、手をかけてもらっていない未熟さなのかな……。例えばさ、「契約書」で血のサインするとき、親指と人差し指を擦り合わせて傷口の血を指に押し広げてから書くんですよ。他のペアの"彼"見ればわかると思うんだけど(もう見られない)、爪でちょいっと掬えばわざわざべったり指を汚さなくても書けるんですよ。指の腹で書くよりはおそらく字幅も細くて格好がつく。そういうところがスマートな仕草の像が描けてない、そういうものを教わってこなかったし示されてもこなかったがゆえの幼さに見えた*8のかな、と思った。いま。「超人たち」の後、探り当てた"私"の手をぎゅっと握るの可愛かったですね……。
このペア、階に駆け寄る"私"に1枚の写真は飛んで行ってしまったんだなと思った。真実は知らない。

成福ペア

わりと……わりとこのペア劇場で観たときと全体的な印象が変わらないので何を言えばいいのかわからない。*9東京で観たときと似た印象を受けた。東京で録ってるんだからそりゃそうか。53歳の成河私がどうしてここに至ったかの物語。序幕で大写しになる53歳私のあの笑みを、護送車のなか19歳の成河私が見せるあの瞬間が個人的ハイライトでした。衝撃の大きかった箇所はいくつもあるんだけど、物語全体でってなるとここかなあと。"大人になってしまった"*10を彼私の両方に感じたの、21年成福ペアがはじめてだと思う。
あとあのさ、わたしこれツイッタであんまり同じ感想みないんだけどさ、"私"への献身が一番表に出てるの、そして根っこがただの愛情深い男なの福士彼だと思うんだけどどう思います????? いやあの関係性に夢見ているのはわかってるから語らせてくれ。すぐ終わるから。
理由を持ってこなきゃすぐ終わるんですよほんとに、福士彼が成河私に見せるあの蠱惑的でうつくしい男の姿、「意地悪く微笑む」"彼"を好きな"私"のために素の自分とは違う姿を演じ続けてるんじゃないの? って話。どこ見て思うかっていうのはツイッタでいっぱい言ってるからいいかな……たとえば「計画」や「超人たち」の後、"私"から見えないところで優しい愛おしむような顔して"私"を見ているところだよ。ぼうっとしたままの“私”に目線を合わせて意地悪く微笑みながら手を引いて立ち上がらせてやるところだよ。
ところで配信ミーの福士彼、「計画」で誘いを拒まれてからの本気の誘惑がすごいな(鬼気迫るのほうで)と思った。わからない、気のせいかもしれない。殺害計画で殺す相手が弟じゃなくなったところで一度は気を緩めた成河私が、「両方?」から一転して強く焦り始め、「お前はな」で止められないと悟って呆然とするのすごくかわいいなと思いました。犠牲の羊に涙を流すのに短いロープや少ない塩酸でやっぱり止めようを期待するの好きだよ。ぜんぶ受け手の見た幻覚なんですが。
「99年」のラスト、扉が閉まるのを泣きそうな顔で身を乗り出して見ている"私"に、この"彼"速攻刺されて亡くなってそうだなと思いました。人を誘い、自殺のように。

にいまりペア

このペアも全体的な印象はあんまり変わらない、かな……双方向の愛情が(あるいはその残り香が)あることがペアの特徴になるスリルミーという演目……。わたしはそういうのを観に行ってるしホリプロちゃんのそういうとこ好きだよ*11
新納彼、思ってたより"私"のことを(物理的にも)見てるし"私"の言葉や仕草ひとつひとつに反応見せてるんだなって思った。「やさしい炎」の印象が強くて、視線を向けなくても"私"の感情の動きを読んでいて、思い通りにあやして宥めて導いてやってるように思ってた。思ったよりずっと"私"に目を向けるし、望む反応が返ってくると嬉しそうにするじゃん……。「僕はわかってる」でずっとどこか現実に倦んでそうだった新納彼が、"私"にわかった、って応えをもらってから目に喜びの光が入るのを見て、ああこの"彼"は"私"がいなきゃだめなんだなって思った。自分が楽しんでいる(いた)ことを"私"に教え込んで、同じように感じさせるのが嬉しいのかなこの"彼"。それは、その愉しみは一人じゃできないね……。
こういう具体の話をしているとまた6000字とかいくから全体の感想を話そう。うん。
ええと。新納彼は思ってたより"私"の一挙一動に反応して感情が表に出てたし、田代私思ってたより序盤から精神が不安定だった。「僕はわかってる」で泣きそうな顔して訴えるなかに明滅するように悦びだけの表情が浮かぶの、この人のなかで"彼"の存在がどれだけ大きいかを物語っているようで。拾い上げたマッチを口元へもっていくあの動き、毎回言うけどすごく好き。精神バランスは危ういなって思う。でもほら、新納彼も田代私もなんだけどさ、(創作上の)人間って壊れかけたときの輝きがいっとう魅力的なとこあるじゃん……? このペアどっちも精神の均衡がぐらぐらしてるからどっちもきらきらして綺麗なんだよ。その輝いているものは往々にして砕けた心のかけらだったりするんだけど。
あの、ところで配信ミーの田代私、公園で「一緒にいてくれればいいのに……」って言ってから顔を傾けて“彼”の首筋に口を寄せるじゃないですか。唇が触れる前に腕から抜けられてしまったけど。あれ、「超人たち」で新納彼がした首筋への口づけをなぞるようだなって感じたのわたしだけですか。興奮した“彼”から受けた、“私”の恐怖を取り去ってはくれなかった口づけ。
直前までの恍惚も興奮も恐怖すらなく、幼い子どもみたいなあどけなさで幼い子どもがしないような仕草をするの、すごく可愛かったんですよ。可愛かったんだけどさ、導く者と庇護される者の役割がきちっと分かれてたにいまりペアが、一方の仕草をそのままもう一方がなぞるのは、それはもう関係の崩壊じゃん……。好きか嫌いかで言えば先を歩いていた新納彼と位置関係がするりと入れ替わるのを示唆するようですごく好きなんだけどでも関係性が壊れてるか“私”の自他境界が壊れたかのどっちかじゃんそんなの……(強度の高い幻覚を見ています)
「99年」、“彼”が離れることをこわがる“私”に哀しそうに笑って「君を認めよう」って言ってあげたの新納彼の憐れみと愛情だと思ってるし“私”にはよかったねと思ったんですがわたしはこれをハッピーエンドとは呼ばないからな!!!!!!!!(好きです) これは意地です。
外の世界を見回すように所持品を確かめる“私”の目が一枚の写真を見つけた途端に内に入るのを見て、このひとは“彼”のいない世界を生きられないんだな……と思いました。

 

特別配信映像の感想はちょっとあの、15分毎にいったん止めて席を立ってうろうろする状態を脱してからでもよろしいですか。ありがとうございますほんとに。

*1:作品の感想を絶対に公式宛で話したくないため。

*2:作品の感想や好みを公式宛に絶対に送りたくない(再)'00年代サブカル沼で公式が客に阿って展開が変わり軸が折れた作品をさんざ見てきてすっかり地雷になった

*3:ついでに言うと根拠のある根も葉もない理屈を展開する狂人の論理タイプでもあります。二次だと大概どマイナーCPにおちる

*4:肩震わせて泣いてる(ような)背中を抜いたり全景にしてその背中しか見えない"彼"とどこか遠くを見ている"私"を映したりする。

*5:"彼"の言葉を泣きそうな顔して聞いてた田代私が「文書?」からずっと静かに何か考えていて、新納彼に振り向いたタイミングでまたぱっと泣きそうな顔をするんですよ。新納彼はあそこで抜いたことなくて、抜いたことある方の知見を求むよりなく

*6:あの大きな目がぬるりとした光を帯びて"彼"をじいっと見ているんですよ……

*7:「99年」で手に入れてしまった人間らしい愛情の表情、それまで"彼"にだけは向けていた共感性がなくなった結果の人間らしい愛情に満ちた笑顔

*8:今回の配信には映りませんでしたが、個人的にはあの損なわれ続けたような男の子がタオルの端を合わせて丁寧に畳んでいく姿が好きです。どこか幼い子どものようでなぜか胸が締め付けられる。

*9:日曜1日かけて具体的な悲鳴はツイッターで上げたのもあり

*10:もちろんいいニュアンスではなく

*11:人間の強い感情は、特に他者に向けるそれはグロテスクが本質だと思っているので。個人的に。