つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

エリザの推しの幻覚を見よう。(「エリザベート」の資料を推したい。)

皆さん、エリザに推しはいますか。推しのインタビューや過去出演作品のパンフを読むの、楽しいですよね。ミュージカル「エリザベート」は史実を元にしているので、なんと資料面から同じことができます。
ということで、「エリザベート」の登場人物を題材にしている本を推したい。脳内映像が推しで再現されるのすっごい楽しいから。濃度の高い幻覚が見えるものを選んだから。
リンクは張ってあるけど大体シャンテに揃ってると思います。 

 
『フランツ・ヨーゼフ1世』江村洋(著)、河出文庫
推しが推薦してた*1ので買った。日比谷シャンテにある。
この本から見えるフランツ皇帝は忍耐強く信仰深く善人ながら堅い人で、その中に(特にシシィが絡むと)繊細さが覗くような人物だと思う。受け手側の印象ですが。書き手がとにかくフランツ皇帝大好きで、そのフランツが熱愛していたシシィも奔放さや不安定さを柔らかめに描かれている(そしてちゃんと家族を愛していたように書かれている)のでこの2人が好きな人にお薦めしたい。
質量ともに盛りだくさんなので、まずは好きなところから摘み食いするくらいの気持ちが楽しいと思う。
個人的好きなところ、末娘の出産に浮かれているおじいちゃんがめちゃくちゃ可愛い。


『帝冠の恋』須賀しのぶ(著)、徳間文庫
推しが推薦してたので買った。日比谷シャンテにある。
大公妃ゾフィーの少女時代から息子フランツが婚姻するまでを描いた「恋愛小説」です。大河や朝ドラを見る感覚で読むのがいいと思う。雰囲気で物を言うんですが、楽しみ方はエリザよりMAに近い印象。時代も国も違うけど。
エリザのゾフィーが「自分のことばかり考えている嫌な姑」に見える人にはかなりお薦め。ロマンス小説が苦手でなければ楽しんで読めると思う。


『皇妃エリザベート:ハプスブルクの美神』カトリーヌ クレマン(著)、塚本哲也(監修)、知の再発見双書
内容は表題の通り。シャンテにあるかどうかは知らない。日本語監修の方が「斜に構えている」と断りを入れているようになかなか皮肉っぽい。エリザベートの生涯を語るのに皇后暗殺から始めるやり方、嫌いじゃない。
少女シシィには同情的だがエリザベートにもフランツにも割と容赦がない。随所で皮肉がきいているのもあって、何となくルキーニの語りを連想した。つらっと下ネタやゴシップ覗かせるところとか。画や写真も多くて、キッチュ好きな人はお好きだと思うな。
巻末資料にエリザベートの書いた詩が載せられている。ここから着想を得た場面もあるのか、エリザの歌詞や台詞と重なるところが多くてすごく楽しい。同じく巻末資料にフランス大使館の報告書みたいなものがあり、シシィを喪った皇帝が暫く眠れてなかったのを知って情緒を殴られるなどした。フランツの伝記にはその情報なかった…陛下……。
講談社文庫から同名の書籍が出てるのでご注意あれ。*2


『「怖い絵」で人間を読む』中野京子(著)、生活人新書
推し資料。「絵画を歴史から読み解くことで新たな魅力を発見する」をテーマに書かれた本。全8章のうち、「エリザベート」の登場人物については1章(呪縛の章)のみだけど、他も楽しく読み進められる。私は美術も世界史も詳しくないけどおもしろかったよ。
エリザ周りの呪縛の章、実在した大公妃ゾフィーに比較的寄り添った書き方をしている。史実に重きを置いてる本で初めて見た。ゾフィー推しにお薦め。本当に。シシィとフランツの夫婦仲を冷めた目で捉えてるのも特徴かも。
同著者の『名画で読み解く ハプスブルク家 12の物語』も面白いですよ。一部内容が重なるので好みだと思う。なんとなくだけど、フランツの人柄が読み取れるのはこっちな気がする。


『ハプスブルク家の女たち』江村洋(著)、講談社現代新書
『フランツ・ヨーゼフ1世』と同じ著者の本。新書なので手が出しやすいかも。全8章のうち、「エリザベート」の登場人物が出てくるのは6章と7章。著者の方、さてはフランツ陛下大好きですね…?分かってたけどさ。
シシィに同情する色が強いのもあり、ゾフィーについての評はフランツに帝冠を持たせた功績は称えるものの人物評も政策へのそれも辛辣ぅ!って感じ。当時彼女の周りにいた男性(つまり皇帝になる/なれる人たち)の評も辛いので、まあでも他に選択肢はなかったよね……という感想が出てくる。


『エリザベート 愛と死の輪舞』小池修一郎(著)、角川文庫
エリザ関係の本って謳った以上は紹介するべきかなと思って入れた。買ってない。シャンテはもちろん帝劇にもある。2階の売店
読んでないので感想は書けないんだけども、ある種の答え合わせにはなるんじゃないかと思います。

*1:日比谷シャンテの企画

*2:こちら、帝冠の恋と同じジャンルの気配がする。