つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

ジョン&ジェン12/21回

振り返ってびっくりしたんですけどどうして私は平日にマチソワしてるんですか? 有休を取ったからです(どちらもキャストFC枠)

マチネ回(新妻ジェン&田代ジョン)

あのこれ本当に悪趣味なこと言うんだけど、1幕田代ジョンが最期の時に迫り来る死に怯えているの大好きなんですよね……眼前に死を突きつけられて“まだ死にたくない”が浮かんでくる人類の動物らしい弱さが大好きなので……。
誇り高きアメリカ軍として胸を張って殉職していく森崎ジョンの最期も大好きなんですけど……。人間が余裕を剥がれてひとつの生命としての本能的な衝動が出てくるのも大好きだけど、生物として当たり前な本能的恐怖を意志と誇りでねじ伏せて矜持を貫く人間しかしない行いのことも大好きなので……。


1幕12歳新妻ジェン「うるさいうるさい、どたどたしない(気にせずぴょんぴょこ跳ねてるジョン)」
お姉ちゃんかわいいかよ かわいいな

1幕新妻ジェン、弟が泣きべそかいてると隣に座って肩をこんとぶつけて元気出せよとやる、5歳クリスマスで見たそれを12歳旅立ちでも見て大歓喜しました。可愛いね

新妻ジェンの言う「目を開けても大丈夫よ」が大好きだって話もうした?

自分だって泣いてるのに、弟が泣いてるのを励ますために涙を拭って笑って見せる、ジェンの“お姉ちゃん”がおれは好きです たった12歳の子どもがそんなことをしなければならない(彼らにはそれをしてくれる大人がいない)こんな世界はぽいずんです
ジェンの涙が決壊するのが夫婦喧嘩を見たことじゃなくて弟がそれを見てしまったことなのすごくこう、いいよね……

 

12歳旅立ち、ジェンに話しかけられて最初に応えた「なんでもなーい」がすごい寂しそうな声なので、この後の笑って見せてる「ぜんぜん」やこれっぽっちも?に首を横に振るのが強がりか気遣いかだと姉ちゃんにもろばれなのこの姉弟って感じで好き


(姉さんの言った通り)高校に入ってホームランをたくさん打った、でも姉さんは一度も観にこなかった。ジョンが自分の言った通りに野球を続けてたと知ったとき新妻ジェンがはたと顔を上げたの見ましたか

ジェンに訴えてたときは子どもの縋るような目をして顔をあげていたのに、「(時間が経つのは)あっという間」でジョンが俯いて表情が暗くなり、そこから「今年のクリスマスは帰るね」にもほとんど反応しない もうジェンの約束に期待をしていないし「サンタはやって来ない」

「「なんて……」」「おっっきい!」「ちっちゃい!」、ジェンはまだ子どものまま、ジョンはもう大人になったを突きつけられる再会の始まりがこれなの作詞家が天才すぎませんか?1曲で伏線を仕込み回収してくるその技術いったいなに?


2幕18歳の諍い、こっちのジョンの「ひとりで生きていけない」はなんか、そんなになるまで溜め込んでたんだね君は……の気持ちになる 助けても泣き方も忘れた子どもに見えるんだよななんか

2幕10歳、曲が(試合が)始まるまでバットをずるずる引きずっててやる気もないしあんま好きでもないし運動神経もどんくさいんだながしみじみ伝わってきておもしろいな
ジェンが彼以上に熱くなってワーワー言ってることに寝っころがってまーた始まったとしてるのでなんか観てる側はホッとするけど

「いじわるをしてるだけ」と「息抜きは必要だ」がぴったり重なるの作詞作曲が天才と思ったし背筋は凍りつきました。楽しいです。楽しいんだけどなんかこう、今日のお客はジェンの過保護過干渉を面白がるのもあって過干渉タイプの虐待と周りの大人の反応(ありがち)が子どもを更に追い詰めてく事例を追体験してしまい(だいじょうぶです楽しんでます) いやあのね無関係の第三者から見てたら滑稽なのはわか……本音を言うとわかんないけど戯画的にやったら滑稽に見えるんだろうなはなんとなく……やっぱり脚本家は虐待とヤングケアラーの解像度が社会環境含めてでやたらと高くありませんか!?

ジョンの面影を断ち切ろうとしたジェンを記憶のジョン(弟と息子がぐちゃぐちゃに混ざり合っている)の声が追い詰める場面、あのぱちぱちと変わり情景から切り抜いてきたような台詞の再現たちを聞くたびにSOMLアルヴィンを二期やるとこれができるようになるんだなと思ってしまうのはゆるしてほしい どっちかと言うとこれができるからアルヴィン役を任されたの因果なのだろうし

偶然に“ない”物語を見るオタクなので、1幕ジェンが「でかい夢」や「守って、ジョン(2人の家を)」を考えるときの新妻ジェンと、母が笑顔になってくれることはないかを考える2幕5歳の田代ジョンが似たような仕草(上を向いてぱちぱち瞬きしてる)をしてることにテンションを上げてしまいました。落ち込む大事な人を笑顔にしようと考えるときの癖が似てるの親子感あって可愛くない?

2020年トークショー、新妻さんの司会が喋り倒す間に田代ジョンがすごい勢いで舌打ちしてて荒れてるなティーンエイジャーと思いました 「皆さんこんにちはぁ」からもう舌打ちしてる

12歳キャンプ、下に行こうとするジョンに抱きついたままのジェン
「気をつけてね」「うん」
「危ないことしないでね」「うん」
「ちゃんと帰ってくるのよ」「うん」
一旦離れてまた抱きつき、正面から向き合って頬に手を添える
「(聞き取れなかった)」「うん」
「やっぱりママも」「うーん」(首を横に振る)
ママの距離がな、近いんだよな

5歳7歳の弟ジョン、ジェンの言ってることはあんまりよくわかってないけどジェンが楽しそうだから自分も嬉しい、みたいな様子があって、この相手の気持ちに同調する素養の高さのままジェンが離れた中高時代を過ごしたらそらまあそうなるよな……と思ってしまいました。動機をわからないままに家族の情動に同調できてしまう子どもをパパの機嫌が支配する家に置いて行ったらそら父さんみたいな価値観の男になるわよ
それはそれとして大きな声や強い感情をぶつけられることに怯えを見せるの、そういうのが来ると次には痛いことがあるのを知っている子どもっぽくてぅゎと思いました 暴力が日常にある子どもの反射じみていて

新妻ジェン、1幕13歳あたりの「待て!」を2幕ジョン5歳でもやるので同じ人なんだなあの質感がある。ところで新妻さんも濱めぐさんも2幕だと唇の線か赤かがはっきりしてて、出てきたときの第一印象が大人の女性なのすごいね


ソワレ(濱めぐジェン&森崎ジョン回)

最後の喧嘩、“自分の正義に酔わないで”、“真実を見て”をジェンが言うの本当に仕込みと回収がうまいよ脚本作詞がさ。石油業の大企業が私服を肥やすために若者を戦争に送り込んでいる、まあひとつ本当がないとは言わないけど一面的ではあるよね、というかそれを軍隊に入った(と知ってるはずなのに)ジョンに言っちゃうところが“正義に酔っている”

「男ダラケ」1番、新妻ジェンは紅を刷きポーズで女性の曲線を強調しの自分を飾り立てる虚飾をして、濱めぐジェンは歯並び(前歯?)を気にしてまだ膨らみの薄い胸を寄せ集めてでコンプレックスを隠す虚飾をするんだなーと思いました 悩みダラケの自分にすることの個性だなあと

「パパなんていらないし」を聞いたジェンは「パパもあなたも愛してる」をちゃんと返してやれるし、そのときに自分がこの子にこんなことを言わせてしまった(5歳の子に気遣わせてこんな嘘を吐かせている)とわかってるの、あの場面における救いだと思うんですよ。
ジョンの腕や脚や頭をあちこち摩りながら、顔を上げてああ、と悔やむような嘆くような目をするのを見てると、ちゃんとお母ちゃんやろうとしているんだよなこの人も、になる。ジョンの顔を覗き込むときにはママの笑顔を作り直しているのも。
このときのジェンのそれが我が子にこんなかなしい嘘を言わせてしまったことなのか夫婦の不和を見て傷つく5歳の弟を思い出したからなのか他の何かなのかは知らないけども。
この演目、家族を想う(あるいはその場に(キャストとして)いない家族を見る)ときに下手の遠くを見ることが多い印象なのでそれもあってしみじみしちゃう。
ジョンのこの発言には気付いてフォローをしてやれるのに、おじいちゃんと弟関係だとジョンが無理してる(あるいは自分の気持ちを曲げている)のに気付いてもなさそうなの、この2つはジェンにとって根深いんだなの気持ちになる。いま現在進行形であるトラブルより、置いてきたはずの父ともういない弟での傷のほうが深いんだなと。

10歳の会話で「(おじいちゃんちは200マイルも先にあるんだから)毎回毎回来られないわよ」って言ってて、息子と違って野球が得意でもない孫の野球の試合を、それでもたまには見に来る(200マイルの道のりを経て)おじいちゃん、孫のジョンのことが可愛いんだなーと思いました。観に来ても余計なこと言ったりもせず、ジェンとは離れたところで観てるっぽいな(自分が気を遣わなければならないほどジェンが荒れるならジョンが楽しみにすることもなかろうし)とも思った。
思春期のときは息抜きにひと夏3回も遊びに行くわけだしな……。ジョンジェンパパ、時間薬である程度はトラウマが癒えたんだろうか。

2幕森崎ジョン、ツリーを引きずらないようにうんしょうんしょと持ち上げながらちょっとずつ運んでいてえらいなと思いました。ツリーや床を傷つけない気遣いができる5歳、えらい。
2回目の「OK、ママ」がOK?でこれでいいよねの

12歳キャンプ、ジェンの過保護にいやだなまた始まったなの顔しながらも「わかった」とお返事してた森崎ジョンが痺れをきらして「わぁかっったてば!」「ばいばい!」と言ってくの毎回ほっとするんですよね。
あそこでぷん!と怒れるのよかったなみたいな、いやよくはないんだけど近しい人に怒るってある種の信頼がないとできないからさ……。

森崎さん、この曲で腰を回すときに頂点?一番外側に持ってくタイミングと音を合わせて、そこで一瞬速くなってからぴたっと止めるからキレッキレに見えるんです?あれ。どこだったかで膝を上げて行進する場面でも、一番高くなるところで一瞬(上げてた膝が)止まるので動きが印象に残るんだなーと思った。
「男ダラケ」とこの曲はダンスを観るターンだと思っているので毎回グラスを下ろしてしまう、ダンスってその場全体ひとかたまりで観るのが切り抜くより情報量多いことない?


何回か見かけてはいたけど、その可能性あるかもと思いながらみても暴力系DVでも同じことにならない?と思っていたジェンのパパへの大々々嫌忌が、見える人には『どう見ても父親から性的暴力を受けている』に見えるらしく、”存在を知らないとそこにあってもわからない”をわからない側で体験してめちゃくちゃ衝撃を受けています。
何人かがそう言ってるのは見たんですよ。ここまで嫌っているのは、って。見たけど、それを頭の隅に置いて意識して観てさえわからんかった。
それが醍醐味だと思ってるんですよ、安全圏からこういうものがあるを知ることができるのは架空の人物でできた物語にしかできないことなので。でもそれはそれとしてすごい動揺してる。そう言うのを見てこういうとこがそう見えるまで言われてても、私には(虐待が物理的暴力だけではない)可能性にできるところがわからなくて

若干13歳の子どもが「鳥になりたい」は異様だと思ったし(家から出たいがすごい強いなも異様だし年齢に対して幼すぎるのもそう、なりたい大人が思い浮かばない、この子の周りにはモデルにしたい大人の姿がない)「ママは悪くないよ!」でパパは庇わない(弟がパパを好いているっぽいからパパが悪いとは断言しないにしても)んだなとは思ったけど、自分を庇ってママが殴られるのを何回も見てきたんだろうなと思ったんですよね。パパが殴るハウスにおいて自分を庇ってママが殴られたり目を離したうちに弟が殴られてるのを見てるから嫌なんだろうな、だと。
家から脱出したら「もう帰らない」なのを”約束を破ったから”の仕込みだと思ったのよ、「あそびに来なね」でシェルターを作ったつもりで、助け合うの誓いを忘れてしまったから、自分が誓いを破っただから「あの子が死んじゃった」なんだと。

ゲ謎の丙絵ちゃんのもだけど、『家から出たいを強烈に欲する』『その手段として男を選ぶ』に肉親からの性的虐待を結びつける思考が私の中にないんだと思う。……わかんないけどたぶんここもだよね?あそこが父からの性的虐待がある、を拾える人の判断要素のひとつになってるの?
脚本家はなんていうかこれやっぱりそういう学問をご専攻していらっしゃいました!?そういうものや事例データへの解像度がどうしてそんなに高くていらっしゃるんですか?

殴られそうになったらお姉ちゃんのせいにしろと言えるのはジェンは殴られたことないからだと思うという感想を見て、なるほど?そういう解釈もあるのかと思っていたんですね。(私はクリスマスの場面の延長だと思っていた、幼い者が自分の痛みを堪えてより幼い者を守る、ママがしようとしてしきれていないように)
これあの、ジェンはそういう虐待を受けているのでは、に”彼女だけは日常的に殴られていなさそう、ひどくは”が乗るなら、光景が一気にえぐくなるじゃん……。ママ*1と弟には物理暴力が向かうけどジェンはそうではなく、代わりに苦痛の記憶を紛らわせるものとして消費される(酒や、従軍婦のように)のだじゃん。

『知らないからわからない、どう見たってそう(らしい)のに全然わからないどころか違和感すらも抱けない』そういうものが随所に埋まってるのこわ(好き)
2幕の虐待はさすがにわからん人いないと思うけど(いない……たぶん……18歳のあの場面まで観て普通の親子でもジョンの心が繊細だったらこうなるよねと思うヒューマンはいな……いないよね!?)、1幕のジョンジェンパパが抱えてる帰還兵士のPTSDやジェンの受けた性的虐待は、そういうものがあるを知らない人には気が付く材料も見えないんじゃないかな。他の誰かの「ここがこうだったからこの人物はこうだと思う」を聞かない限り、なんか変だとは思えない。


この流れでこれを言うのまあそういうことなんですけど、2年目トークショーで「最近ではママと過ごす時間よりシャロンと過ごす時間のほうが長いそうじゃないですかぁ?」からの「母親を傷つけていると知ってて、(そういうことしてるんだよね?)」が来るたび(そうなると言われても納得感しかないが)過保護な保護者と言ってもあれはおかしいよというのは、あの、見えてるほうの異様さだよね……? 私がよく気づくほうの人類なのではないよね……?
おかしいよというのは距離感がって意味でもだし虐待じゃんを抜きにすると滑稽(ティーンの子どもに対して恋人以上に自分を構ってもらいたがる30過ぎた大人)だって意味でもなんですけど、……なんか言っててだんだん怖くなってきたぞ。異様だよあれは。ジョンはそれに反感持ってるからまだそこまで癒着してないかもだけど母親→子ども側は完っ全に異様だぞ。
『子どもを恋人代わりにしてる』と言われる夫婦不和やシングル子育てで起こりやすい事例の典型で、まああの確かに日本だとめちゃくちゃよくあるからか微笑ましいですねでもお母さんはそろそろ子離れしようねなトピックの作られ方もしがちなんだけど、……さ、参考資料置いて行ってもいい……?
https://serai.jp/living/1038491

”僕はそのメールを知らない”のほうにはショックを受けてるみたいだけどママのメールボックスに僕宛のメールがあること自体はそこまで驚かない、というか母さんのiPadの中を見る(母さんがこっちを見てないのを確認してからではあったけど)ことが日常の選択肢として出てくるのジョン側もだいぶ感覚おかしくなってるな……と思う。親子関係の癒着度が高すぎるのがジェン→ジョンだけじゃなくてジョン→ジェンもそうなってきてるじゃん……になるというか。

 


「男ダラケ」を見ながら自分の身体をだいじなものとして扱えないんだなと思っていたけどもしかしてそれもか? 自分の身体を出会ったばかりの男の子に好きにしてよいものとして差し出している、1回のデートで壊れるようなうっすい愛情と繋がりしかないような。あれセルフネグレクトや自分の体で愛情をつなぎとめるに見えていたんだけどそういえばティーンの子どもは普通は性を対価に繋がりを得ようとなんてしない!?
ジェンが男の子たちに自分の(身体的な)性的魅力をアピールするのは彼女が思春期で色気づいてきた(嫌な言い方だけど)からと思ってたけど、アメリカにおいても年相応ではないんだ……?

「デブ!デブ!〜」のところ見るにジェンが「お と こ」言ってるけど、付き合ってる彼らはそういうもんをあんまわかってない男の子だもんなあ。
お腹が空いてるわけでもないのにめっちゃ食う代償行動とセルフネグレクトがあるんかなと思ってたけどそんな太ってるわけではなく、いきなり裸体を見せられそうになったから咄嗟に(顔ではなく体を貶す)「デブ!」が出てきてる?そういうことなんです?(たぶん違う)
ジェンの1週間を聞いての最後が急にガキのそれじゃんになるの変なのと思ってたけど、ジェンは大人の女みたいな準備してるのに相手の男の子はまるでガキってことなん?
ところで最後が日曜でなく土曜なのプロテスタントの国って感じでテンション上がりますね。日曜日は教会に行く日なのでデートの予定は入らないんだな。


ソワレでマチネの話するんですけど、ジェンの束縛に抗議するジョンの台詞、記憶新しいうちに違うキャストで聞いたら2人とも同じところに音程のっててびっくりした。田代ジョンの「わかんないよ!」音程のってたんですね!?ずっとバツ印の音符(太鼓パートについてるあれ)にしてるんだと思ってた、のってたんだ音程……。


森崎さん、朗読スキルが格段に上がってて若さってすごいな……と思いました。声色合わせて抑揚はおとした台詞たちも、ジェンが手放せばなくなってしまう遠い記憶の断片みたいでエモーショナルだったけど、そのときが匂い立つような記憶の場面の再現も別のエモーショナルがある

2年目の後だったか、交代のタイミングで森崎ジョンがむかっとした顔でちょいちょいと人差し指を曲げてiPadよこせをするの好戦的で見ててにこにこする(ジョンがちゃんと反感を持ってるの、安堵しません?)

*1:5歳のクリスマスで「うるせえ!黙って言うことを聞いてればいいんだ!」みたいな声の前後で殴る音が入る