つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

ジョン&ジェン12/16感想

注:ログ出しそのまま無加工で出してるのでいつもの8割増し読みにくいです。
あとこれとりあえずの途中なのであとでしれっと増えます。

 

 

承前。私はこの演目の話と曲と歌詞を愛しておりここは好きなシーンまとめです(少なくとも内容に関するところは)
観劇村に数年おり多少はそちらの言葉も覚えたんですが、サブカル国のSH村がオタク本籍なのでどうしても情緒をぼっこぼこにしてくれることを好きだなポイントだと思っているので国の言葉が出てしまって……


マチネ回(濱めぐジェン&田代ジョン)

私はJ&J曲のまあとにかくあちこちに仕込まれている対応が大好きなんですが、12歳のシーンでジェンに背を向けたジョンが頻りに瞬きをしていて「泣いちゃだめだ」じゃんと思いました。
やっぱり私この演目のフル音源をローランに聞かせて回りたいな……つくって売ってくれる予定は……?ないですかそうですか

13歳ジェンの「鳥になりたい」にびっくりした顔をして、よくわからないけどジェンが笑っているからとやんわり微笑む7歳ジョンが良い子だなと思いました
この子どもがぱっと明るくなるのはジェンの誓いで、遠くに行くのでも”ジェンと一緒に”行けるんだとなったときなの 泣いてしまうが?
蛇足ですがこのときのDAPフルver、田代ジョンも1回目に手を遠ざけるときに指をぱたぱたしなくなっていて、ジョンとぴったり同じになるよう濱めぐさんが合わせていたんだ!?がほぼ確となるなどしました。

待機場面、私はしまってやってよと思い続けているしこういうことする演出家のことは嫌いになりました(演出が下手だとは言ってない)なんだけど、これは本当に演出が下手だとは思ってなくって、ただその効果に対するコスト増が大きすぎるだろと思っているやつです。私が最も嫌いな演出は人の心身コストをモノとして扱うやつなので(同族嫌悪なのはそう)
演出が下手だとは言ってないし固定してる部分の(J&Jの物語としての)意図がねーだろとも言ってないんですよ。むしろわかりやすいほうだと思う。
ずっとしまってもらえないジョンキャストが初めて消えるのが「ようやく気づいた」の後なのとか、赤子を見るジェンをジョンのキャストが1幕は温かい笑みを浮かべて見遣るが2幕は真顔でじっと目を向けるのみなのとか最後の独白前は俯いたままジェンを見ないのとか。
思うけどぉ……'21JCSコンみたいな1日だけのコンサート形式ならありかもねとも思うけどぉ……。

2幕ジェンの最初の曲、全部取ってあるのところでひん……となってしまっていたんですが(楽しんでいます)、今回その先まで聞く余裕があって割ともっとおぞましい(好きだよ)ことを言っているなと気が付いてしまいおれは
「あの子(弟)との日々(思い出?)を取り戻そう」って言ってる……「この子と一緒に」って……ひぃ……。

濱めぐジェン、ジョンがプレゼントを(開けないで)喜んでるときから不安そうにしてるし目に光はない 息子が弟とは違う人間であるのを本当はどこかでわかってるようで好きだよ
「僕によく似た、でしょ?」のジョンが綺麗な笑みを浮かべているのを見ましたか おれはみました 母をなだめて落ち着けるときに浮かべるのと同じ笑みを浮かべてそれを言うんですか

トークショーでだいたいは1幕ジョンの「いらいらする」に近い憤り方をしている田代ジョンが「(母さんが見てるのは僕じゃなく)おじさん!」のときはもうちょい切実な怒り方をしていて、問題の根が深い(より長い歳月さらされてきている)なと

12歳キャンプの曲、水槽と貯金箱のときに「本」ってフレーズが挟まってるのに初めて気づきました、その本ってあれだよね『UNCHANGING』だよね!?!?出てきてないけど!?!?
歌詞の回収がうますぎるし演出もうまいんだよな……一回出てきたからここでは出さなくてもわかるでしょの信用をしてくれるの好きだよ。そういう信頼をして音楽にすべて書いてある(CDジャケもライブ演出も”わかりやすく”しているだけの)Revo曲で育っているので。でもそれ複数回ききこむの前提なのでやっぱりDialogまで完全収録のMP3販売がほしいな。この際もう歌詞カードはなくてもいいよ、聴きこんで見つけたものに悲鳴を上げるほうが体験として愉しそうだしそういう人に勧めやすい作りこみ度合いだし。

こないだも言ったけど1幕で「これで終わりだ」をお見せした後に2幕で「これで終わりよ」を出すの比較の獣は大はしゃぎしてしまいました。扉をくぐって家を出ろ/出るよと言ってるのまで同じで、でも意図は真逆じゃん?あそこ。ジョンはもう「家族じゃない」と言ってて、ジェンは「離れていても愛し合える(家族のままだ)」と言っている。

「時が来た」のフレーズもそういう意味で好きです。出てきたときは本歌取りかな*1好きだよと見てたものが2幕で今度はジェンの台詞として出てくるの胸熱じゃない?1幕は強い戦士になるんだ(僕も家を出るときが来た)

「ようやく気づいた」でたぶんジョンが一人称違いした(「僕は」で歌っちゃった)んだけど、演奏がそのぶんの音をもう一回り伸ばして「俺は」まで歌わせてから先へ進んだのバンド組すごいな……と思いました。間違えても音の流れを切らないままそういう歌詞だったように歌いなおせる演者さんもすごいけど完全アドリブでそれできるよう合わせるバンド組もめっちゃすごいよ。ここ田代さん目を閉じたままに見えたのにどうやって意思疎通とったんだろ


ジェンのチェックシャツ、赤と紺色がかったグレー(重なると黒っぽく見える)と白が柄の色で入っているっぽく、田代ジョンの青色はジェンとは違うところなのかな、まっっっって森崎ジョンは!?!?となりました。森崎ジョンは!?!?森崎ジョンのチェックシャツにはジェンは持っていない色はあるの!?!?

さて1幕中高生ジョンのチェックシャツの色ですが、赤青緑の3色です。緑、パパじゃん。
いやごめんねないところに物語の幻覚を見ていたら本当にごめんSH王国Revoちゃんが色に明確な意味を持たせてお出ししてくれているからってよその村の方にも過剰な信頼をしていたらごめんね!?!?
でも緑をパパじゃんと思った理由はちゃんとあって……パパの考えに完全に共感するとジョンはほら「戦士になる」じゃん……。緑が基調の迷彩服を着た……。
こればっかりは強火の幻覚(別名オタクの考えすぎ)だったらごめんね、ここまで読んだ皆様方におかれましては視界を一緒に共有してください。知ったものはなくならないからね。

「男ダラケ」サビで出てくる男の子たちの名前、1番はBで揃えて2番はC(K?)で揃えてるの!?
1番はビリーとボビーとベンで2番はカールとケリーとケン(ケイン)なの。子音の頭をそろえて母音の韻も踏んでいるじゃん(田代さんはベーン!とケーン!で音の伸ばし方まで揃えて歌うので曲が韻踏んでるんだと思う)、作詞家が天才……。

1幕ルールの曲、ジョンのほうが「喧嘩どころじゃない」って言った次に「見ろよ27番ノーブラだぞ!」するの、だからするんですね!?邪魔をするため!?
ここでこのやりとりしてからの再会で「下着が見えてる」を笑いながら言うの、2人の思い出を重ねてるをお出してくるのやっぱ作詞が天才だよ

今までエピローグのこと救いでカタルシスだとはわかるけどおぞましいなと思って見ていたんですが(楽しんでいます、そういう性情なだけ)、14日と今回のDペアを見て脚本と和解しました。
※オタクの言う和解とはこちらの見え方や解釈が変わったことで今まではよくわからなかったorあまり受け付けなかった場面やお話や人物を受け入れられるようになることを示すものであり当然ですが作り手と距離を縮めたい欲ではないです。制作陣はどうかオタクに関わらないで幸せに生きててくれ。
この曲の最初に出てくる青年に誰だよ……(ラストのラストは息子ジョンに見えるけどあの青年が息子ジョンだったらおぞましすぎないか?)と思っていたんだけど、あれはそれでいいのかなって。ジェンの見ている弟の幻影と彼女の子どもが混然一体となった何者かが、ジェンが彼のなかの弟に別れを告げることで息子ジョンになる、弟の幻影を被せられた何者かでも母と自我の癒着した「ジェンが守ってやれる子ども」でもなく。そうして「自分」を生きる2人が何が起こるかわからない、でも明るい未来を見つめ、それを信じて扉を出ていく。それなら双方の救いでありカタルシスとしても綺麗なままだなーと思って。

いやわからんけどね!?!?
ここまでもここからも幻覚です、私は私の見たもので私にとって一番わかりやすい(そしてそれは物語に出てきたものを言葉で繋いで出てくるものという意味なんですが)画を描いているだけです私にとっての作品解釈は悪意がなければ*2常にこれですご承知おきください。
そもそも私はここでは私の見た強火の幻覚しか話していないんですが。

2幕、田代ジョン(5歳)がクリスマスツリー掴んで段上にぴょんと出てきたときに会場のそこここから安堵の笑いがこぼれていて、あの1幕終盤で緊張してたんだなお客さんと思いました。

そんでようやく、2幕の「おっけー、ママ」前で笑いが出ることがあるのは面白いではなくて緊張からの弛緩で出てるんだ?となるなどしました。いやわかってなくて。イイハナシダナーに見えるのはわかるんだけど笑いが出るのか?この会話のおかしさの要素どこなんだろ?と思っていたんですよ。
あの場面の虐待要素(幼児が母親の機嫌を取るために自分の意思を”自発的に”曲げさせられている)を置いておいても、ジョンの言葉って別に予想外でも頓狂でもないじゃん?
ジョンは受け入れたから大丈夫(この緊迫は続いたり加熱したりしない)、問題はない(2人の関係が壊れることにはならない)の安心から笑いが出てるんだな?もしかして?

親の存在が絶対的な安全圏であるはずの幼児期に、その親から(親の感情を慰撫するために)自分の気持ちを折り曲げ追従するまで許されない緊張を強いられるのは虐待以外の何物でもないでしてよ。少なくとも現代の先進国で許される行為ではないでしてよ……。
あっこれ虐待行為への一般論としてのみであって、作品批判や題材非難じゃないことは言っておきますね。脚本家は絶対わかって書いてるしカンパニーもわかってやってるぽいので全然ありだと思う。人類は「安全圏から体験する」ことで、現実で同じものをみたときにどうすればいいか考えられるようになるので。物語の力ってそういうものだ。

ただまああれっすよ……9.11.ネタと同様に何らかの注釈や仄めかしはあったほうがよかったんでないかな、とは思うよ。やっぱり。
あのあらすじと「ようやく気づいた」だけではそういう要素が色濃い話なのを現代劇(あるいは虐待が不可分に食い込んだ作品)に慣れてないミュージカル客に察知させるのは難易度高い(っぽい、感想を見る限り)ので……。わかんないけど、2幕10歳なら確実に、2幕2場のインパクトを消したくないなら1幕1場の曲があれば、フラッシュバック受ける層は察すると思う。
別トコでも言ったけども、19歳までの場面しかないはずのジョンから「父さんと闘って」が出てきたらフラッシュバック受ける層は親からの虐待があることを察した上で選べると思うし、びっくりするけどフラッシュバックは受けない(物語として見ていられる)層がそこまで察せなくてもまあそれはそれでじゃん。

今まであんまり気にしてなかったんですけど(自分のアドレスにコピーして消したのかと思っていたから)、もしかしてジェンはジョンのメルアドに来るメール全てが自分のアドレスにも送られるように設定を?して?
こわくてないてしまうが?
子どものPCを定期的に開いて(パスワード知ってるんだね……)メールチェックしてるのもこわいが、アクション起こさなくても全メールをチェックできるように環境しつらえてあるほうがこわいでしょ……。加えてこっちは事によると「僕のパソコンを開けて、このメールを消したんだ」がすっと出てくることに”ジョンはそうされてること自体は知っていて気にしてないか諦めている”も乗るぞ。

ジェンのiPadのパスワードはおれだってわかるよ弟ジョンの誕生日でしょ

ソワレ回(新妻ジェン&田代ジョン)

こうして見ると新妻ジェン、姉ちゃんだなーの感がすごい。ルール!の「楽しんで」の後に服でバシン!とジョンを叩くところとか。わかる、服で思いっきり叩いてもケガしないからやるよね。
「でかい夢 持って」の前でジェンが上を見て思案顔でぱちぱちするの、おんなじ仕草を12歳の別れで「あんたが家を守って」をする前にやるので、あっ……となってしまいました。ジョンを笑顔にするために考えた思いつき。
でかい夢を聞いたときにそれクラーク(少年よ大志を抱け)では?と思ったんだけど、これほんとにジョージワシントン言ってないやつなんです?
確認したら言ってなかったしそれ以外もだいたい間違ってるっぽいな?「マーサ」は彼が大人になってから結婚した未亡人の名前だ。細かい話は調べてないけど「倉庫で作った金を売って金持ちに」も変だしね(garageと何かが音掛かってるとこなんかなと思ってた) 偽札じゃん。「桜の木を切って」以外は時系列エピソードや他の偉人エピソードと雑じってめちゃくちゃなのか?
ジョージワシントンの有名な言葉はこれらしいですね。
「他人を押さえつけている限り、自分もそこから動くことはできない」
思わず息が止まってしまいましたが。2幕じゃん。
ジョージワシントンの名言には「自由はひとたび根付きはじめると急速に成長する植物である」なんかもあるらしいので、脚本そのものの題材のひとつがこれらなのかもしれない。でも「やった〜!自由だわ!」の自由ってlibertyよりfreeっぽそうだよね。
楽譜のkindleみっけたから答え合わせはいつでもできるけど、ほしいな日本語版のこれが
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ねえ夫婦喧嘩SE、殴るか物投げるかした音が入ってませんか?ママが「子どもたちに聞こえるでしょ」って言った直後かその次の言葉の後?気のせい?

「男ダラケ」、導入で出てくるのはピーターとエリック(たぶん)でBでもCでもないことで、ジェンがまじで(それこそ毎週のように)やべー勢いで付き合っては別れをしてるのを察させてくるの天才だよそしてやっぱり音源か上演台本&歌詞を売ってくれないか!?


2幕、5歳ジョンが袋から古びたグローブ出したときに客席の空気がはっ……と張り詰めたんだけど「僕このグローブ大好き……」では笑いが起きて、あっこの2つのシリアスって別のもんなんだ!?となるなどしました。前者はいなくなった弟への執着と後悔、後者はたったの5歳児がヤングケアラーやらされてること(しかも今年から母子家庭で息を抜いてくれる父親はいない)なんだ!?
向け先を喪い執着へ変性した家族愛はわかっても愛を担保にとった虐待はわからないこともある、なるほど。そういやジェンもそうだもんな、「父さんは僕たちを愛している」のをわかり肯定できるのはジョンだけだもんな。

溌剌としてあっ軽い田代さんのトーカーと甲高くオーバーな抑揚の(聞きやすいです)新妻さんの司会者、この進行役たち共感する気ゼロ!で癒しでした。人物像と感想の対応が違うだろなのはわかってるんですがぐちゃぐちゃに癒着する2人の話だから突き放した彼らの他人事さが息抜きになるんすよ。
いえあのお化け屋敷で怖がるがごとくしんどくなりに来てしんどくなってるのでめちゃくちゃ楽しいんですが(事前情報で弟ジョンは死んだんだろうなと姉ジェンは息子にその名をつけたんだな、愛という鎖だろうなくらいはわかったし)それゆえにしんどい状況の場面はちゃんとしんどいなと思って見ているので、にこにこしちゃうけど

息子の田代ジョンが「夢があるんだ」「作家になるんだいつか」を噛みつくように言ったり「(お母さんはこう言うでしょうね、いいけど)家を(出るのはだめ)」を言われて苛立たしげにうんざり顔したりするの新妻ジェンとのときだけだな?初回で観た記憶があったんだけどなと思ってたんだけど
Dペアのときはなんかこう……ぽやっとしてない?(好きなんですよどっちのジョンも。)きらきらしたすなおーな笑顔で夢がある、作家になるを言うよねあのジョン。

新妻ジェンが着るチェック上着、赤と白がメイン(薄いグレーの横線が入る)であっなるほどとなりました。息子ジョンはどちらも、母の要素を持っているけど自分の要素も持っている、なんだ!?
ここでジェンが持っていない要素は弟ジョンの服にありましたねと言われたらこわくて泣いてしまうのでやめてくださいたぶん違うし(そうなってるのは青がある田代ジョンの衣装だけだから)

コロンビア大学合格、ジョンが「(コロンビアを受けたことは)シャロンにも言ってないんだ!受かると思ってなかったから!」って言ってる後ろで、彼に背中を向けてる新妻ジェンがその言葉を一個一個確かめるように強く頷いてるのみました!?おれはみましたいっぱいこわかったです(好きです)
ここからの作り笑顔で振り返ったジェンが「シャロンは(きっと)」と話しかけるの怖すぎでは!?そんで一応は笑顔を作ってるその表情を見て“母さんは喜んでいない”を察せてしまうジョンが何年ケアラーをやってきたかっていうさ

12歳のジョンのばいばーい!でおもちゃ持ちだな全部買ってもらってるのかーとずっと思ってたら本日「本も」を聞きとって戦慄してしまった(楽しい)んですが、ジェンは「(キャンプに行くから)もう聞かなくていい」「あの子のおもちゃ買って」「みんな持ってる」言ってて甘いけど全てがお古なわけじゃなくてほっとしました。そういやライトセイバーやステレオコンポ言ってるもんな(ジョンの持ち物あるいは2人の思い出は「このレコード」)
どうする?ベッドとデスクがジョンの使ってきたもの持ってきたものだったら。200マイル先から。
そういやところでなんですけど、5歳で「アメリカでの最初のクリスマス」なのに赤子ジョンのところで「ぜんぶ取ってある」と色々出てくるの、ジェンは葬儀で帰省したときジョンとの思い出を残らずカナダに持ってきたのかな。そんで両親のどちらもそれを止めなかったのかな。

ジョンが何を言っても「くだらないわ」「もうこれで終わりよ」「くだらないわ」を繰り返して聞こうとしないジェンですよ。
相手の不理解にだんだん激昂しながら顔突き合わせて、でも会話をしようとしているのは一方だけでもう一方はシャットアウトしている、ここまで綺麗に対応させてくれると弟ジョンは何があっても手だけは出さなかったのに母ジェンはここで「パパみたいに」「子どもを殴る」んだなの対比も綺麗に見えるんですね ひぃ(楽しいです)

2幕のルール!、息子ジョンの表だった抗議は「クッキーでも売っててよ!」で、試合に来ること自体は許容してるんだなーと思ってたんですけど(1幕ジェンジョンは神さま今すぐころしてくれそうでなきゃこの手でヤるなので)、あれはもしかしてどっちも“アタシの弟/僕のママも普通の弟/母親だったらよかったのに”なの?ジェンが「アタシだけこんな弟」って言ってるのが対応してる?

ジェンのラスト独白曲、もしかして「あの子」と「あなた」で歌い分けされてる?前半はごっちゃにしてるのが抜けていくんだと思ってたんだけどあの子は息子ジョンにだけかかってる?まあこれは観た人が好きな画を見ればいいやつだと思ってる(最終的には別れを告げるわけなので)、物語は受け手の中で完結するものでその解釈は個人の自由なので。

ところでこれは私はいまだにわかっていないんですが、ジェンはあの独白で弟ジョンの面影と訣別しようとするじゃん?野球帽を被りバットを担いだ男の子の横顔が映る写真を破いてさ。その直後に(たぶんジェンの記憶の中の)弟ジョンの声が聞こえ、年齢も様々に2人のジョンの声が交互になぞられてジェンの返す言葉は“今”の時間軸っぽく(サンタは来ないって言ったでしょ)、ジェンのなかでこの2人が分けられていないんだろうなって感じになるじゃん?
なんで?いやこれ文句じゃなくてほんとにジェンの心情がわかってなくて。
最初に聞こえた弟ジョンの声に怯えるのは、ジェンが(弟の)ジョンから目を離そうとしてたからだろうなーと思ってはいるんですけども。新妻ジェンはびくっとしてへたりこみつつ振り返るだけじゃなくひっと小さく悲鳴上げてたし。
ジェンの心情はわからないというかジョンの心情も(共感的には)あんまりわかってないんですけどね私は。強いていうならヤングケアラーをやらされている子どもを傍観しているひとの理解の仕方をしている。

あの場面で最後に残るのが「僕が悪いんだ、グラスを割ったから」なので、目を離せばジョンが損なわれてしまうを強烈に摺りこまれた最初があれなんだろうなと思っているんだけど。わかっていたのに目を離したからジョンは死んじゃった、だからもう目を離さない、ひとりになんてさせない、なんだろうなと。

ところで話は変わるんですけど私がジェン台詞の翻訳で最も好きなの「(目を離したら)あんたが死んじゃうなんて」なですよね。よくないですか、出来事の重さに対する死んじゃうの語感の砕け方がさ。強い衝撃とその受け止められてなさって感じがしてだいすき。目を離したら死んじゃった、現状をまるでうけとめきれてないで茫然と口からこぼれてるやつじゃん。
葬儀ラスト新妻ジェンが手繰ったブランケットの端を抱えて小さな赤ん坊をあやすように揺らしながら泣いているのでおれは悲鳴を上げてしまいました
もう二度と帰らないだろうと思っていた家でもうどこにもいなくなってしまった弟の痕跡ばかりがあふれているのを見つけたんだな、そこで弟と出会ったあの日の毛布を見つけてしまったんだなって。
この直後あたりで妊娠発覚したらまあそら思い詰めるよな……。あの子が帰ってきてくれた、まで行ったのかこの子はあの子のようにはしないくらいでおさまったのかは知らないけど……。2幕で言われてるのは後者だけだから後者の範囲だと信じたいわね。ジェンがあまりにあの子とこの子を同一視してるからつい

新妻ジェン、トークショーの司会の言葉に喧嘩を買う勢いでメンチを切っていたのが、会場(架空)からの大きな拍手に驚いてはあ!?と正面に向き直るの気が強くていいなと思いました。いえ親としてはかなりだめよりのだめなんですけど。

1幕「ようやく気づいた」、ジョンが「戦士に」と言ったところで新妻ジェンの手元からくしゃっと紙の折れる音がしたの好きだなと思いました。手紙を読む手に思わず力が入ってしまったやつじゃん。
2幕の最後の独白曲あたりで「愛してる、ジョン」を言うのもしかしてあれです?1幕のあのとき、弟に届けてやれなかった言葉なんです?

12歳のキャンプ後、ジョンを引き留めてだんだん距離を詰めていくジェンの問いかけは演者のアドリブ(言うことは事前に決めているっぽい)なのかもしらん、新妻ジェン、色々確認するうちにやっぱりついていきたくなってて笑っちゃった
「さみしくなったら言うのよ」
「うん」(頷く)
「すぐにね」
「うん」(頷く)
「大丈夫?」
「うん」(頷く)
「やっぱりママも行こうか」
「ううん」(首を横に振る)

おっジョンくんえらいぞと思いました NOが言える
ママを刺激しない穏やかなケアラーのまま、笑顔も声もそのまんまのトーンでするっと首を横に振ったの器用でかわいいわね ケアラーとしての熟練度がすげー高い(し、5歳のときより上達してる)んだよな……も思うけどそれはそれとしてかわいいよ、親のメンタルをケアし続ける子どもってそういうことだよなのもあり
可愛い子供のまま、ちょっとでも自分の意思を通すやり方を習得してるの、それこそがでもあるけどちょっと安心もあるよ

ここ濱めぐジェンは
「毎晩電話してね」(うん)
「必ずよ」(うん)
(あと2~3往復続く、だんだん声が小さくなってく)
で、笑顔のままやわーく引き剥がしたジョンが「だいじょうぶだよぉママ」「ばいばーい」と出て行く


これは私の解釈であり観た人の受け取ったのがその人の”正解”なやつなんですけど。
私はこの話を虐待の連鎖だとはあんまり思っていないんですよね。というのも、ジェンの心の傷の根っこは弟の喪失にあって父からの暴力にないから。

私はジェンのトリガーを「目を離したら」「アンタが死んじゃうなんて」だと思っているんですよね。お互いを助け合うことと誓ったのに、アタシがそれを破ったから、って。
そらもちろん、父親の暴力がなければあの姉弟が互いしか本音を見せられないふたりきりの孤立になることも互いを助け合うことなんて誓いを立てることもなかったし、家を出たジェンが(ジョンの従軍という決定的なことが起こるまで)一度も帰らないなんてことはなかっただろうから間接的な原因ではあるんだけど。

ジェンの虐待、子どもに自分のケアをさせてることと適切な距離が取れないことはさ、自分が目を離したから愛した家族を喪ったって後悔から来てるフラッシュバックと強迫観念じゃん……?
書きながら「男ダラケ」も恋人との適切な距離感が掴めてないおよび自分の身体を大事にできてない、愛着形成と自己肯定感の損なわれた子どもの典型ではないかしらと思ったけどそれはちょっと置いておいてだな。

父親のDVを帰還兵士のトラウマから来るものだと解釈するならトラウマのフラッシュバックにおびえて子どもを虐待するって構図の一致は見られるんだけど。それはいわゆる虐待の連鎖(幼児期に親との愛着形成に失敗したから、子どもとの愛着形成を適切な形でに行えない)とはちょっと違うじゃん?

話が逸れるんだけど、ジョンジェンパパが帰還兵士のPTSDだと解釈すると、1幕4場で出てくる「グラスを割ったくらいでパパが殴ったの!?」が突然の大きな音で戦場のフラッシュバック起こしたんだなとなり、2幕ジェンの虐待トリガー(過去に受けた心の傷から目を逸らすための衝動)とけっこうな一致をしますねと思っています。”ない”ところにじごくをかぎつけ掘り出すオタクなので……。

1幕田代ジョンの中高生ナンバー、彼の言葉にだんだん父さんのいうことが多く出てくるのもなんだけど、なんかときおりその「父さん」みたいな顔するときがあってぞっとするんだよね……。いやジョンジェンパパの顔見たことないんだけどさ(出てこないから)……。でも選挙とか投票とか言ってるあたり、新聞から顔を上げたときに『荒れた』『男性』の雰囲気がある猜疑みたいな目をする。

*1:本歌取り:短歌の文化ですね、あるフレーズを出すことで既存の歌の場面や情景を連想させる圧縮言語です

*2:悪意があるとテクスト論をやめて作家論に移る。悪意が根っこの作家論、暴力なのでしないようにしている。