つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

モダンミリー感想(7/18S回)

いつもツイッターでやってるやつです。個人の感想・解釈でありあなたにとっての正解はあなたが見て聞いて考えたものだよ。
あと、私は未来の私が読み返すためにログ残しをしているので、オタクスラング全開なんだけどブログに残すのは基本的に好きなところだから……。そこはよろしくな……。

 最初のお着替えしてからの群舞、短い時間で交互に2回ずつ左右を見るたった数秒の振りで朝夏さんがぜんぶ違うほうに視線飛ばしていて、これがトップスターOGの風格……と思いました。
たぶんこれは大舞台と注目される経験の場数によるんだろうなはある、というのもこの近くから遠くまで機会があれば視線を飛ばす、一路さんや田代さんもやっていたので……。夢咲さんも全体とおして観てるとあちこち目を配ってくださるのだけど、ドロシーはパッパッと動くキャラクター像ではないので数瞬だけの印象では目立たないのだと思う。廣瀬さんは、ごめん社長とバンフゥが私の中で安全安心枠*1なので視線の先をめちゃくちゃ追うをあんまりしてなくて……。安心して細かいところ観るのも楽しいので見てるよ、本物蝶ネクタイ(だったもの)してるなとか実食されてる謎の野菜とか。ラジオから流れてきたマジーの歌声に立ち上がった
 私は人の芸の粋を観るために金を払って劇場にいるので……。(音楽と物語は本命作家がいるほうのねずみ)

 ミアーズの自己評価、「(宿にいる女優の誰よりも)才能を“秘めている”」なんだよね。「キャリア復活」と言うけど始まってもいないのだと、2回目以降聞くたびにこう……胸の奥にちょっとクる。
デイジーの「才能がなかったとは思わない」「近道を求めて楽なほうへ逃げただけ!」「それで何が得られたの?」をね、セットで聞くとなんかもうそうね……しか言えなくなっちゃうんですよね……。
「才能もないし運もない!」のミリー評より残酷でしょ、世界が求めるスターからの「才能がないとは思わない(ただ忍耐と努力をせず楽な方に逃げただけ)」評。生存バイアスもあるとは言え、というか生存バイアスがあるが故により残酷(楽しんでいます)
 幸福というのは他者の不幸を見ないことにより成る、特に自分が踏み付けにしてる不幸を、というのが私の持論なのでついこういう見方をしてしまうんですが(楽しんでいます)(フィクションだからね。)優しい世界に住むための、冷たい世界をつくるブリンカー。見ないで済むという冷酷な傲慢、フィクションで観るぶんにはまあまあ好きですよ。*2

 ジミーくんの持ってるのあれ万年筆なの?万年筆かパーカー 5thだけど流石に後者は持ってこないと思う。パーカーブランドの矢羽根クリップは見えたけど真横から見たらなんか金属が片面にしかついてない、でもイカ型じゃないんだよな先っちょ……。あれ一体型?現行品であったっけ?アンティークだったらちょっと外国産はペリカン以外わかんないよ私
 いやすみません私あの場面は特定に全神経注いでるので……。特定と言えばミリーの持ってるペンもクリップ光ってたな?バネのクリップで金属なのサラサグランドくらいしかなくない?でも銀クリップは廃盤(オアゾ丸善にチョット在庫があるくらい)なんだよな……。

 ルースがアリスのお金抜き取るとき一枚客席通路に落としちゃって、その後でソロになったミアーズがそのあたりに「すいません(ちょっとぶっきらぼうに」って言ってた。それにかは知らんけども。

 ドロシーの留置場撮影ポーズ、ジャンプ&ウインクに戻ってるね?日替わりか、楽しいやつだ。
 番号〜14のガール、警官とツーショ撮ろうとしてるじゃん。警官もノりかけるなよきみ(おもしろかったです)

 あっやっぱりもぐり酒場の顔接近シーン、“もう少しでキスするところだった”んだ!?
下手へ離れたジミーが両手で位置を再現しながら「もう少しで〜」とやってる。受けた男性客と「すれば良かったのに」「そーいうのじゃない」みたいなやり取り(口パクを拾ってるうろ覚えなので眉唾してね)してるっぽい、日替わり?前回は「振られたー笑」から始まってた気がするのだけども。

 「何してるの?」「(ごろごろ転がってたミアーズ)匍匐前進の訓練だよ!」

 ジミー、かんしゃく起こすときところどころベソかく子どもみたいな声するんだよね。これが可愛いんだろうかミリーは。そうなんだろうな。まあわかる、人間はひたむきに好意をくれる人を好きになるもんだし。ニューヨーカーに見られることを意識してる気取った人が自分の前では余裕を失って子どもみたいな駄々捏ねするのが可愛いんだろうな。ミリーも同類なので。

 田代さんあの大変失礼な言い様するんですが、あのなんかこの1週間でからだの使い方うまくなってません……?タップだけじゃなくて……なんか踊り全般が……。今日が調子良いだけ?
タップはなんか先週よりも確実にうまくなってると思う……。いやタップのことよく知らんけど……よく知らんけど力の流れにもたつきがなくなってて綺麗に流れるので……。
 「(タイプは得意だけど)タップはしたことない!(ミリー」「一緒にやりましょう!(ドロシー」でドロシーの真似をしながら初めてやったタップを今度は社長ら2人(1人はお忍び)を牽引して見事に踊ってみせるミリー、彼女の思っていた方にかはわからないけれど色々な面で成長しているのだなあ。

 モダンミリーのネタバラシシーン、いつもは酔いが醒めてピシッとしたトレバーの謝罪とそれを上から鷹揚に頷いて受ける副社長ジェームズの図なんですが、今日はトレバーが勢いで噛んでそのまま文章がわちゃちゃに転んだまま台詞を言い、ジェームズがちょっと苦笑ぎみにしながら片手を地面に水平に出して制すの図で、ネタバラシの逆転(ジェームズの立場を示す)より「チャック、口チャック」の構図の逆転対比みたいになってた(好きだよ)
 これはこれでおもしろいしこれはこれで形になっちゃうのずっるいなあ(ほめてる)と思いました、演出や芝居で細かい仕込みがたくさんあるからこそ別の「あれと並べて見るとおもしろい」が出るのだろうなあと思う。

 初回だったか2回目だったか、ジミーのサスペンダーがズボンとボタン(1箇所につき2つ)で繋がってるのを見てなるほどそういう時代なのかと思っていたんですね。最後のプロポーズ用というか正装用というかの衣装はサスペンダーが金属クリップ(たぶんステンレス製、つるりと銀色に輝いてたとこ見るに鏡面加工はしてあるかもしんない)で、あっもしかしてこっちのがお値段高くて新しい(技術的に?)ファッションなんです……?となりました。白いシャツに純白だからわかりずらいけど、たぶんX型……? Y型のサスペンダーのときもあった気がするからなんか色々使い分けてるのかもしれない。

 トレバーの入社試験ソング(口述筆記試験)後、「(君は我が社の)新しい“風だ”」を楽譜の音符わかるように歌う代わりに、その後の「ワックスの酸っぱい臭いも」のところを「〜酸っぱい酸っぱい臭いも」にするのは固定になるのかな。まあ音楽の人がそう編曲したなら……。
 会社面接シーンのラスト、ミリーが投げ込んだ爆弾発言「(どうぞよろしく私)ミセス・グレイドン!」をトレバーは聞いてないな?もしかして?そこだけ後ろ向いてミリーのタイプした紙(の完璧さ)に目を輝かせていて、背後で起きたことに気づいてない。
他の人たちは聞いてて大わらわしてるし、ミス・フラナリーは社長に近づかせないモードに入るし(それもあって1週間後のあのセリフなんだと思う)なのに。

 ジミー、フラナリーに肘を当てられてるとき「いたい、カサカサ、カサカサ」言うてて、きみがほめたんやぞ言ったことの責任とるしかないなという顔で眺めている(笑いながら)

 マジーのパーティでエッセイストにぶつかってドレス汚したミリーが「任せて!」「ステージビジネスの裏技」「台所はどこ?」(マジー「知らないのハニー」)と言うのを聞いて、マジーはだんだん顔を明るく目をきらきらさせていくんだけどマジーの背中側にいるジミーは眉ひそめてえっそれ大丈夫か?ぐらいの訝しむ顔をしていて、マジーよりジミーのがミリーという人間を知っているなと思いました。大丈夫じゃなかったね(「もう一度聞くけど、なんでステーキソースなんて掛けたの」)
 ここを踏まえてで2幕皿洗いの「ステーキソースはどこかなあ!」「次はお酢にするわ」なんだねたぶんね?

 ホテル滞在申し込みの「先週のヴォーグ読んでないの?(ミリー」からの「新聞見てない?(ドロシー」とかもだし、ミアーズの才能については本筋にも絡んでるやつだし、誰かが前に言ったことをふまえた小ネタがちょこちょこあるんだろうなあ。

 やっぱり日本版脚本か円盤かがほしいよう、ナンバーナインか何か経由で売ってくれよう。字幕サポート用タブレットあるんだからデータはあるんだと思うのよなあ。

 ジミーのプロポーズとそれを受けるミリーのやり取りを目を細めてうんうんと眺めていたり熱と感嘆の籠った「チャック、おめでとう!!!」だったり、トレバーは本当にビタイチ疾しい感情なくミリーのことを優秀で(社の一員として)(能力が)魅力的な我が社の誇りだと思ってるんだなの感嘆がある。前も言ったけど。仕事で若い女性と2人きりでも不埒なことをせず、それでいて社員がちょっと変なことしてもそういうときもあるだろうと鷹揚に受け止め、社にとっては痛手でも社員が幸せになるなら心からの祝福を贈る。トレバーおまえいいやつだよ。望む幸せを得られるといいね(もう充実した日々を送ってはいるけど)(結婚せず幸せになれるタイプの男なんですよね、トレバー・グレイドン3世)

 ミリーの「計画」、彼女がカンザスで考えたそれはつまり、カンザスではできないことを集めたものなんだろうなと。ミリーは成功するためより幸せになるためより、自分の可能性を証明するための夢が必要だったんじゃないかな。輝いている自分という。
 髪を切って脚を見せて鮮やかな化粧と服の「モダン」な服装、20階建てのビルてっぺんにあるオフィス、腰掛けじゃなく活躍する「働く女性」、知らない人にも羨まれる「良い結婚」etc.
カンザスではできないか、できても馬鹿にされるそれらを堂々としてみたかった、「まだ29なのに老けてた」町の女たちと違うものになるためにはそれが必要だと考えた。
そういう感じなんでないかなと思うよう。知らんけど。
 ジミーは「(新しい女性というなら)どうして、最も古い職業に就きたがるんだ」って言うけど、ミリーがしたいのは家庭に入ることじゃないんじゃないかなと思う。たぶん。
もし万が一トレバーと結婚できたとしてもミリーは普通に社で一番の速記者、「ちゃっくちゃっくと仕事を進めるチャック」でいたがりそうじゃない? だってそのほうが「モダン」でしょ?
己の努力で掴んだものを手放し家庭に仕えるなんてモダンじゃない。ちがうかしら。
(→2幕後半の決意の曲で「はたらくわ」って言ってるから結婚して仕事辞めるつもりだったのかもしれない。そんなに速記&タイプの腕を磨いたのに!?)
 手に入れることがゴールになっててその先の生活や、暮らしのなかでの気持ちには意識が向いてないのが(マジーの言を借りれば)おばかちゃんなんだけどね。
でもまあ仕方がないんだよ。愛し合ったひととの結婚、ささやかな生活をそのひとと紡ぐ幸せ。それらはカンザスにもあるものだから。初めから「愛がすべて」と思っていたら、彼女は都会には来なかった。

 ドロシーとミリーの「あなたも信じてると思うけど、愛は、」「関係ない!」が好きなんですよ。食い気味に被せられたドロシーがびっくりしたようにしてるのも。

 マジーのウェルカムパーティーで出されたシャンパンをジミーが口の中で転がしているのをわーいい酒の味わい方を知ってるひとだーという目で眺めるなどしました。いい酒はああして飲むものというわけではないですが、もぐり酒場で回し飲みするスキットルや酒瓶の中身であれはやらないじゃん?パーティー後半でふざけて一気飲みしてたりする(ミリーが持ってるジミー像はこういうのの集まりだと思う)一方で、視線と高く上げた手の指を鳴らすのだけで執事を呼んだりレディーが選んでからグラスを取ったり、するっとやることが育ちいいんだよなこの男(登場人物のほう)

 マジーちゃん2回目コンサートの衣装、襟まわりのケープ?が正面から見ると翅を広げた蝶のようで背中側から見ると白い花のようでめちゃくちゃ可愛いと思うんですよね……。マジーちゃんあれなんかこうお写真とかで残りませんか……残りませんかそうですか……。フォトブックがほしい 紙書籍はコストで難しいならhontoかヨドバシcomの電子書籍でいいから(せっかくなら日本企業に潤ってほしくない?)

 

*1:どんなシチュでも変わらないとは安心できるということでもあると思う。というのを私はスラップスティックスで自覚しました。アーバックルは誰にも無害で安心で、そう思わせられるのが実力コメディアンなのだよねと思うんですよ。受注生産円盤、リアルがバタついてて申し込み損ねたんだけどやっぱりほしかったな……。

*2:だからMAフェルセンが2幕で血統主義の普遍性を見誤ってマルガレーテとの交渉を決定的にトチるとテンション上がるわけで……。