野村萬斎さんが解説……進行?の「狂言の夕べ」に行きました。
野村萬斎さんのことはベッジパードンでしか知らないですが、相互さんがなんかすごく好きな人とという認識です。どっかの劇場の演出担当もしてなかったでしたっけ。
最初に萬斎さんが狂言とは、と本日の演目についての解説を入れてからの実演もとい上演の形式でした。
すり足で動くから歩いても頭(肩から上?)が動かないんですよーとか、狂言で役者がすとんと座ったら「そこにはいない」のお約束ですよーとか、各演目のあらすじと見所と特徴的な単語(お手元のパンフにも単語帳があるけど)とか、一通りお話しされてたこともあり、何にも知らんで観ても困ることはありませんでした。
萬斎さん、癖なのかそういうものなのか左足に体重乗せて立ってることが多かったんですけど、体の向きを変えるときに左→両足→右と重心うごいても確かに頭の高さが変わらず、すーっと滑らかに動いていてすっげえな……と思いました。
狂言と歌舞伎や能との違い(能との違いだったかも)も話していらっしゃった……はず。狂言は「いま」「ここ」のお話なので登場人物らは「このあたりの~と申す(うろ覚え)」と言うとか、幕(なんか厚くて艶があっていい布ですねあれ……)の向こうも狂言は地繋がりの場所(能だったか歌舞伎だったかは幕が此岸と彼岸の境目になっている)とか、そういうお話だったと思います。
萬斎せんせーこの前半部分だけでもつべにアップしてくれたりしませんか、たぶん全国の中高教員(芸術鑑賞会担当になってしまった国語科教員)がよろこびますよ。
昆布売
昆布売と侍の最初の会話で祐基さんがにまっとしてたので、あっここがおもしろいところなんだろうなと思うなどしました。
天丼だ!これが天丼ですね!と昆布売と侍の「売れ」「あぶないませあぶないませ(うろ覚え)(なんか2文字でついてたんだよ尻に)」の繰り返しで思ったんですが、そういう理解(繰り返しのおもしろさ)で合ってます?
昆布売がだんだん調子に乗ってくのとか、なんかだんだんうまくなってないか侍?とか、でも2人ぴったり揃ってるのに昆布売のほうが板についているように見えるのたくみのウデマエってやつだなとか、そういう感じでした。
掘っても地獄が出てこない話の感想はこんなかんじになってしまう。演者による違いもあるんだろうけど違いも何もこれが”初”なので……わたくし……。
成上り
主従で着物の家紋?紋様?お揃いなんですね!従者のほうが紋が色鮮やかというか、上部のお花みたいな黄色が抜けずに残ってるのは、たぶんあっちの衣装のが換えてからの時間が短いんだと思います。
これも「はなせはなせ」「だめじゃだめじゃ」の繰り返しが何回かあったので、狂言はもしかして天丼が入ってるもんなのかなーと思うなど。滑稽なやり取りの繰り返し、誰でもわかるおもしろさの1つでもあるしな。1回だけだとイマイチわからなくても、繰り返されると繰り返しそのものがおもしろい要素になるし。
二人袴
親と婿を実の親子で配役したらそんなのおもしろくなるに決まってるじゃないですか。
なおこの演目の萬斎さんの解説は「親離れ・子離れができていない」だったことをここに記しておきます。この解説をしておいてからの実の親子が親子役をやるの反則級でしょ。
この演目の前後で休憩が挟まったので、本日の目玉はこれなんだなーと思いました。萬斎さん出てきたのこれだけだったしね。
「(私は)去んだと言いなさい」からの「帰らないでここにいてよお!」「いてやるから!舅殿には『帰った』と伝えなさい、いいね」(雑な訳)のくだりがすごい面白かったです。
祐基さんがまた甘えたな子どもっぽい声で言うんですよこれを。他の親子会話と比べても格段に幼い印象だったんだよなあ。甲高くて抑揚が子どもっぽく舌ったらずというか。いや舌はばっちり回っていたと思うんですけど、そうでなきゃ能を数回みたことあるだけの人間が一発で聞き取れるわけないので。
萬斎さんは顔しかめてわりとうんざりめの返し方だったので、この親は我が子に頼りにされて嬉しいとかではなくしょうがないからそうしてやってるんだろうなと思うんだけど、そこで「しょーがないな」しちゃうからその子どもはそうなんだぞの感がありました(おもしろがっています。)
「おまえに長袴を穿かせたことはなかったな」「教えてやるから覚えなさい」で長袴を着付けはじめたのに、息子が1回とんちんかんなことしたらそっから先は全部自分で着せてやっちゃうのこの親はだめだよ(演目をおもしろがっています)
帯?紐?を絡めてぴんと引っ張り(ここまで2演目での袴を見る限りハチャメチャに間違っている)ぴっかぴかの笑顔で「こうですか!」した息子にあきれ顔で「貸しなさい」して紐を引き取ってから全部自分で着付けてやっちゃうの。何回も脱ぎ着するなかで1回も息子自身に穿かせませんでしたからね。覚えなさいはどこいった(おもしろがっています)
(この子は)なんと気の弱い、って台詞があったけど、一事が万事こうだったらそらまあ依存の高い子になるよなあとしみじみしちゃった。うまくやれてないっぽいことを、どこがどのくらいとも言われないまま後は親がやっちゃうんだもん。成功体験も正しいやり方も身につかないやつだよあれは。舞はパパと息を揃えてかわいく踊れてるあたり、色んなものを入れ込まれてないからできないだけでどんくさいからできてない子じゃなさそうなので、後ろから手を添えてやってやりゃ数回で自分で穿けるようになりそうなのになーと思うなどしました。何回も言うけどおもしろがっています。昔の時代の風刺コメディだと思って見ているので……。
袴を割いて「二つになった」と満足そうにしてるところ、さては親も暢気マンだな?似たもの親子だな?袴の後ろがないから舞のときの足元がしっかり見えるのでわたしはきゃっきゃしました。ああやって「どん!」って音立ててるんだね。
太郎冠者に酒を注がせたり盃を戻させたりするところ、舅と婿は常体の命令調で話しかけるのに親は丁寧語の依頼調で話しかけるんですよ。
婿は家の者になったからなのか、舅の真似してトンチンカンなことしてるんであって親と同様すこし丁寧に話しかけるべきなのか、どっちなのか……は知らないのであとで相互さんに聞いてみようと思いました。わすれてた。
祐基さんは舅や親より少し前のめりに立つんだなーと思って見てました。役割の違いなのか立ち方のくせなのかはわからんが(狂言みたことないので。)