つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

BLUE/ORANGE、食べものになってた。(ネタバレあります)

びっくりした。

変更があったからか観た位置が違ったからかメンタルの問題かはわからないけど、1週間前に観たものとは印象が全っ然違う。すごい食べやすくなってた。観るものに食べやすいって表現も変だけど。

演出の変更がいくつかあって、すごくわかりやすくなってた。台詞や仕草で加わった説明によって輪郭がよりくっきりしたというか、今どっちを向いているかを迷わないで観られるというか。何が起こっているか観ている側が迷いにくい、そういう誤解が生じない会話。そのわかりやすさはあくまで観客にとってであって、登場人物たちは誤解と誤認の渦の中にいる。
状況把握がしやすくなったぶんテンポにも余裕ができたからか適度に生々しさが和らいで*1、生々しさで胃の腑をぶん殴る劇薬(賛美です)が、鮮烈ながらも食べやすさマシマシになってた。 何言ってるのかは自分でもよくわからない。

 

以下、作品のネタバレ、一部引用を含みます。 アフタートークショーがいきなり質疑応答だったりするのにこういう解釈を書いてて大丈夫かな!?不安になってくるぞう!

 

  

 

とりあえず、ブルースとクリスの距離が近い。友達してる。

あのね、1幕、思い切り滑ってたブルースの冗談をクリストファーが拾ってあげてたんですよ。初日で思い切り空気が凍ってた「でーも みーず」に乗ってあげたり*2、先週はドン引きしてるみたいに沈黙が重かった*3ドラッグへの反応も、虚を突かれた顔からじわじわと面白がるように目が輝いて相槌も打ってやってて、気の置けない友人同士の談笑のような温度のある賑やかさがあった*4。この光景を見た後だと、ロバートに言い放つ「ブルースとは友達になった」がものすごく質量をもって響く。見えそうなほど輪郭がはっきりしてて触れそうなほど生々しい。その印象もあると思うんけど、ロバートの診察に答えるときのアイコンタクトも、患者と担当医師のラポ―ルってだけじゃなくて、友人間の励ましにも見えた。後ろにいるブルースを確かめるクリスのアプローチ、動きが大きくなってませんでした?陰影が色濃く見える座席で観たからそう見えただけかな。

変化があったのはブルースもで、特に2幕の泣きつくところ、「そっちのケツじゃなくて」ブルースが歩み寄ろうとしている!クリスにどう受け取られているかを理解して伝えようとしている!*5は片脚をベンチに乗せて結果として少し距離ができるの、クリスへの感情が医師と患者の間にできるラポールだけじゃないみたいでなんかぐっときた。感情に引きずられずに話をしようとするなら少し距離を作らなきゃいけないってことでしょ、だって。

今回いちばん刺さったのが何も言わずにオレンジの皮を口に運ぶブルースを見ながらの会話。ここ、クリスはロバートと話してるのにずーっとブルースを見てるの。友人や弟分を見るみたいな、しょーがねえ奴だなって感じの優しい目で。ブルースはクリストファーを見ることを、彼や現実と向き合うことを(おそらく無意識に)やめているのに。告発を続けたがるロバートをちらっと見て「もういいんだ」っていうクリスがさ、喧嘩してベソかいてる友達を赦してやってる兄ちゃんみたいでこう、すごくクるものがあった。友達なんだもんなブルースとはな、みたいな……。

 

7日の衝撃が強くて5日どうだったか飛んじゃったんだけど、ロバートとブルースも近くなってない!?

1幕の言い争いでブルースの聞き分けないで泣きだす子供みたいな空気が強まってて、彼の主観が正義に寄ってるように見えて。潔癖に見える頑なさはあれよね、子供のそれよねと思ってみてた。そしたら「お前のために点と点を結んでやる」のロバートがおんなじレベルでキレててですね。大人げないのはそうなんだけど、上から押し付ける感じだった気がしてたのが同じくらいの精神レベルでへそ曲げて理屈捏ねてるように見えたんですよ。キレたら精神レベルがおんなじ子供、それを見ると「おまえ私の友人だろ?」が真に迫ってくる。建前だけでもないやつじゃん。ロバ―トについてはキレて一回落ち着いてから*6また、ブルースが頷いてから「だからそんな顔するなよ、な、ブルース」までの間もなんか泣きそうな子供みたいな気配滲んでて、そのうちここのロバ―トを観るのにチケット増やすかもしれない。嘘ですもう増えてる。

ところで、「あいつは、ぶち切れるでしょうが」のニュアンスに後ろめたさが薄れてそのぶんだけ正義感のいろが入ってるようでひいってなった。気のせいかもだけど。そしてたまたまかもだけど。

 

全部書いてるとちょっと間に合わなさそうだったのでこっからはざっくり。演出変更だけちょっと残しときたいなって。思い出すたび増える。

 

水を取りにいくところ、給水機から離れるブルースにクリスが後ろからぴったりついて歩いてた。ブルースが離れるために動く向きが変わったからそれに合わせたのかな。2人がぴったりくっついて動くので給水機に近寄るブルースにクリスが勢い良く突っ込むときの何か起こるんじゃないかって緊迫感はなくなった。クリスはふざけてるだけなのが伝わってくる感じ。実際どうなのかは知らないけど。7日で観ただけだから日替わりかも。

報告書に驚愕したブルースが立ち上がる向きが真上から後方になり、それに伴って笑わせどころが太腿を強打して思い出したように痛がるのから後ろに下がってる椅子に気が付かず座ろうとするのに変更。でもどっかぶつけたらやっぱり痛がる(7日は動き出しでテーブルの脚につま先をぶつけた)

ブルースが報告書をぐしゃぐしゃにするのを見て「あーあー」と一言が入る。し、1枚目を握りつぶす前にブルースがあの凄烈な笑みを浮かべなくなった(観た向きのせいかも。)かわりに沸騰直前のお湯みたいな、表情の動きはそこまで大きくないのに少し見張った目のやたら輝いた光と少し赤らんだ目元がまじぎれしてる人間のそれ。

ロバートとブルースの小競り合い。胸倉掴む*7のからなんだろうあれ、手を使わないで相手を押し出す相撲みたいなコミカルな動きになった。テーブルの上での「ほらー!」「あんたが転んだんでしょう!?」もカット。

これは3月からなんですが、「スミス先生がお前に何を言ったのかは知らない。本当に知らない」が「全く知らない」になりましたね。英語は"I have no idea."だったはずなので、雰囲気が合うように直したのかもしれない。ブルースが訴えるのが信頼から事実に変わったようで個人的に刺さってた。(どっちも好きです。)

ブルースが椅子を蹴り飛ばすところ、真っ直ぐ蹴り込んでたのが蹴り上げる動きになってて確実に壊すという強い意志を感じた。気のせいかもしれない。*8

「オレンジに~~~~突っ込んだことある?」からのところ、クリストファーの右手がずっと補足してる。何をかは言わないけど。ところでここ、ずっとブルースに向かって話してるんですね……。今日知った……。

最後の30秒、オレンジを頬張るブルースが笑ったまま暗転だったのが、口元に笑みを刷いたまま目がぎらぎら輝き、テーブルに腕をついて前のめりになったところで暗転した。これから話をするんだなっていうのまで見せてからライトが落ちた感じ? そういえば再びライトが付いたときいつもその体勢なので、もしかすると見逃してただけで初めからそう動いてたのかもしれない。

*1:これは観た向きも大きいと思う

*2:これは30日からだった気もする

*3:表情がどうだったかは見えてない。

*4:5日はこうだったけど7日は面白がる目になっていくも相槌なしだった。

*5:その文脈を誤読してましたねすみません!と思って見ていたりした。泣き言をいうときは縋りつくのに、少し冷静になってるとき((話しかけられた直後と告発を取り下げさせようとするとき

*6:「あ、なるほど…から」「おまえ、ひとりで人類を救おうとしてるんだよ?」くらいまでは"大人"してたと思う。

*7:先に胸倉掴んだのはロバ―トだった気がするんだけどどうだっけ。

*8:7日はついに蹴り飛ばす前に椅子にちらっと目を向けてて、狙いを定めていた感があった。