つまるところ。

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スリル・ミー、観てきました。

観てきましたともスリルミー。
Twitterでもさんざ散らかしている*1ので、ペアの印象だけでもと思いました(細部もそのうちまとめたい)

 

〇松下×柿澤ペア

彼の情緒がやばい。
"私"は"彼"を病院に連れていくべきだったし彼はそんなこと許容できるはずがなかった。
この彼、サイコパスとかドSとかそういうもの以前に精神を病んでいる。それは鬱症状だ早く病院に連れていけ。
スリルを得たときは燥ぐんですが、その昂揚が失せるのが速い。感情の波が引くのが本当に速い。
M3(やさしい炎)でも炎に目を引き付けられたまま、いつの間にか感情の波のない目をしている。M10(超人たち)だって、飛び出してきたときには興奮で目をぎらぎらさせていたのに、「この町破壊してやる」を泣きそうな顔で叫ぶんですよ。そんな顔するなよ……。
M2(僕はわかってる)のときから”私”の言動に反応して笑って見せるんだけど、いやもう全然楽しそうじゃない。何あの表面しかない笑い。しかも本人に自覚がなさそうなのがまた。心はちっとも揺れてないんだけど、私がいなければ表面だけの感情すらなくなるんだろうな……という感じ。福士彼より見かけの感情の動きが大きいから余計に痛ましいんだよなあ。
Twitterの感想では「現実にいそうな19歳」というのを結構見ましたが、まさにそんな感じ。柿澤彼は愛情に渇いた19歳の子供でしかなくて、何が欲しかったのかも自覚できていない。松下私も19歳の子供でしかなくて、彼の欲しい愛なんか与えられるわけがなかった。あと10年、いや7年、2人が大人だったら、未来は違ったかもしれないのに。
ところでわたしは柿澤さんの人間らしい生への執着で狂ったように取り乱す様が大好きなんですが、そういう意味でも最高でした。デスミュのときは「ざまあ」という気持ちもあったんですが*2、今回はひりつくような憐れでしたね…。
M5(スリル・ミー)の後、片膝を抱えてどこかを見ている姿が傷ついた少年の概念でした。カンペキ。

 

〇成河×福士ペア

私の人格がやばい。
こちらのペアは2回観たんですが、いやどっちもやばかった。"私"の精神が人間の形をしていない(賛美です)
成河私が見せる笑みがやっばいんですよ。純度100%の喜色満面。社会をやってる人間はあんな、タガが外れた喜びの表情をしない。
この2人は何年前だろうが何年後だろうが破滅していた。"彼"は"私"から逃げるべきだった、もっと早くもっと徹底的に。
福士彼に対してはもう何というか、お気の毒にという気持ちしか持てないんですよねわたし……。成河私に執着されたのが運の尽き、というか。福士彼、絶対"私"がいなくても生きていけたしその方が幸せだった。松柿ペアは相互に依存していたのが見えたんだけど、成福ペアは福士彼が成河私を上手にいなしていたように見えた。失敗したけど。
M5(スリル・ミー)で迫られたときの「やめろ!」が本気の拒絶で。乱れた襟を正すことも肌を隠すこともせず、透明な目で遠くを見ている姿が痛々しい。あのときに、生きるために必要な何かを損なわれてしまった感じ。
「彼が本当に欲しかったもの」の種類は柿澤彼と同じなんだけど、福士彼はあと10年経てば自分で折り合いが付けられたと思う。かつて自分が欲しかったものを自分の子供に与えることで、己を満足させることができたんじゃないかって。成河私に出会わなければこの"彼"は空虚を抱えつつもそこそこ幸福に、つまり平凡に生きられたんだろうと思ってしまう。

*1:コレ。スリル・ミー感想('19年) - Togetterしばらく増えると思う。

*2:あのシーンの月、完全に調子に乗っている