つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

年の瀬にえらいコンテンツにぶちあたってしまった。

推しコンテンツが終わってしまうなあ寂しいなあと思っていたらTLが沸き立ち、興味本位*1で辿ったらクリーンヒットした、これはそういう話です。

先に言っておこうと思うんですが、個人の一解釈であることをご了承ください。また、このコンテンツやストーリーに対する批判の意図はありません。むしろもっとやれと思っています。フィクションだし*2。まあジャンルは可愛いをかぶった地獄*3だとも思っているけれども。

 

 さてここからネタバレです。公式に和みや癒しを得ている方は見ないほうがいいと思う。コンテンツ名を書かない理由*4のひとつですからね。

 

ひとりっ子ポジションだったトガリくん(以降ト)はクリスマスプレゼントに弟をお願いしたよ!サンタさんはちょっと違うものをくれたけど、その晩におとさんが黒い同族っぽい子を持って帰ってきたよ!おとさんとおかさんはこの黒い子をノラくん(検索回避のため以降ノ)と呼んで、しばらく一緒に過ごすことにしました。

というのが大体のあらすじです。

ここに至るまでのやり取りにもいろいろ不穏さ*5が漂ってるんですが、キリがなくなるので割愛。

リプ欄を見るに今回の話のテーマは「お兄ちゃんになったトの成長物語」らしいんですが、私には不穏さと悍ましさの塊に見えない。いや可愛いけど、可愛いからこそ地獄にしか見えない。

 

このエピソードに感じ取る地獄、具体的に書くとこの3つです。

・ノが来てからばきばき踏みにじられるトの生活と安心感

・にも関わらず、トの一人称形式で呟かれるpostからは善意しか見えてこない

そして問題の12月30日、

・ついにトが善意による感情の押し付けを覚えた

 

この箇条書きで眉を顰めた皆さん、おそらくこの先には何一つ楽しいこと書いてないので閉じましょう。感性の違う相手とネットでまで付き合う必要はありません。テンションが上がった皆さん、どうぞお付き合いください。一緒に地獄を楽しみましょう。

  

地獄1.ノが来てから踏みにじられるトの生活と安心感

ノが来たことでそれまでト中心に回っていた家がノの行動に振り回されることになる。それはしょうがないんですよ。既に安定している環境に新しい構成員を放り込んだらベストな状態は変わるし、それに合わせて環境も変化するものです。しょうがないんですよ*6しょうがないんだけどさ、新しい環境に変化するために払うトの犠牲大きすぎない???

捕獲に使ったシュトレンとおにぎりを除くと、「新しい家でノが与えられたものは元々トの持ち物」なんですよ。形の残るものは全部。

 この家でノが与えられたり借りたりしたものを書き出すとこんな感じ。

25日:ぬいぐるくんの帽子

26日:レタス?(ゴミ箱から)・おかさんのおにぎり(食べない→おとさんの手から食べた)・巣材

27日:トのお菓子(うまい棒チーズ味)(受け取って逃げる)・トのパンツ ・トのズボンおとさんの洗濯物

28日:トの柿ピー・トのお菓子ぜんぶ(勝手に食べた)

29日:トの靴、(おそらくトの)帽子(おとさんが無断で貸した)散歩で拾ったはぱ・トの鉛筆とノート

30日:トのパズル(いしょに遊ぶ)・トのはぱ・パズル(「めちゃくちゃにする」)・拾ったはぱ2枚(トにあげた?)

黒字はトの持ち物、青字はいったん手に入れたけど回収されたもの、緑の字はノが自力で手に入れたものです。

見てこの黒字の多さ。

これだけならね、まあまだいいんですよ。弟は兄のものを欲しがるなら兄に同じものを買い与えてあげればいいんです。(兄が“自分の”ものに拘るなら、弟がいない時に入れ替えて見せてあげればいい。)

おとさん、「トの所有物を勝手に貸し与える」んですよ。許可を得て貸し与えたものについては「ノの所有物でもあるかのように」扱うんですよ。ズボンもそうだしノートだって*7、一度許可を取ったらトだけのものではないように平然と使わせる*8

こんなことされたら一生根に持つぞ。親兄弟を恨まない「いい子」だったとしても、物に執着するようになるか大事なものを作らなくなるかのどっちかだぞ。

しかもこれ、後になるほどトにとって大事なもの、替えがきかないものになってるんですよ。たくさんあるズボンやお菓子のうちひとつから、お菓子をぜんぶ、もう時期なくなるからたくさん集めたはぱ、嬉しい出来事の写真でできたクリスマスプレゼントのパズル。

自分の身を削って与えることが愛だと言わんばかりのこの仕打ち。全部与えて最後にゃ消えろとでも言うのか。

 

地獄2.トのpostからは善意しか見えてこない

 

いやこれについては一言ですけどね。トが自分のものを次々奪われるのも「ノがまだわからない」からで、「トはわるくな」くてもノは「トのことがだいすき」だから許してあげなければならない。

美談ですね。ところで大事なものを奪われ続けているトの心の痛みは誰がいたわってくれるんでしょうね。サンタ帽子でもめた晩のおかさんの言葉(「トは悪くない」からの「お兄ちゃんになれるかな?」)は傷に塩塗ってるだけだぞ。不満を引き出しといて否定してるぶん質が悪いぞ。*9

ついでに言うとノの巣材が変わってるのはたぶんおかさんに掃除されてるからなんですよね*10。善意で安全地帯を踏みにじられてるのはノも同じなんですよ。地獄か。トのパンツやサンタ帽子をそのままにしてやる気遣いができるならおとさんの洗濯物も残してやってくれよ。たくさんあるだろ、トのズボンと同じようにさ。

 

地獄3.トが善意による感情の押し付けを覚えた

ノラくん、ごめんね! ずと、ひとりぼちで、さびしかたね。

大事なはぱとパズルをめちゃくちゃにされ、積もり積もった感情が爆発してノを追い出したトが(おとさんの誘導で)あちこち探して見つけたノにかけた言葉。(このpostから引用) 

でもトが見つけたノは落ち込むわけでもなくひとりで葉っぱを拾っているんですよ。声をかけられれば顔は上げるものの駆け寄るのはトのほうで、ノは立っている場所から動いていない。ノがひとりで寂しがっているような描写はないんですね。気にしてもらえず「ひとりぼち」で「さびしかた」のはトであって、ノではない。そもそも、はぱをトに差し出したノの気持ちに応えるなら、ここで言うべきは「ごめんね」じゃなくて「ありがとう」なんですよ。それでもトはこの言葉を選んだ。

「トはわるくない」、でも「ノはトをだいすき」「だから」、トは我慢しなければならない。理不尽をぶつけられてきたトが出した答えがこれなんですよ。

ノは寂しかった可哀想な子「だから」お兄ちゃんとして愛してあげる。

嫌なことをたくさんするノを愛するために可哀想な弟という役割を押し付ける。自分が「カコいいお兄ちゃん」の役割を押し付けられたのと同じように。誰にもいたわってもらえなかった自分の心を守るこの行為を、一体誰が責められようよ。

無神経な善意に傷ついた者が、自分の心を守るために無神経な善意を押し付ける。何だこの地獄の連鎖。

このpostでクリーンヒットを受け、見た地獄を共有したくて記事を書きました。悪夢は人に話すと正夢にならないっていいますね。

 

このお話が大晦日に終焉を迎えていることを祈ります。具体的にいうと里親とかまざーのお迎えとかで。

*1:呟いているのが救いがないと言いながら嬉々として地獄を描く作家さん、メリバBLを激推しコンテンツとして紹介するお姉さん、TRPGで倫理観が壊れた博愛を見せたお兄さんだったので地獄みが高い確信があった

*2:ここ大事。現実だったらカウンセラーに繋ぐしかない

*3:某ピンクのうさぎ様とか某ピンクのくまとか某鳩なYoutuberとか。

*4:このコンテンツを可愛いと思ってる方が検索で来てしまったら双方幸せにならないし私は泣く。

*5:サンタさんに届けてね!って預かった手紙をトが見る自宅のツリーにぺろっとぶら下げちゃうところとか

*6:ノがごみを漁るのもおとさんの手からしか物を食べなかったのもしょうがない。あの時点のノには他の選択肢がない。

*7:トが貸し与えたノートにノが書いた絵をページごと"破って"持ってくる無神経さ、トの物と思っててもノの物と思っててもすっごい嫌なんですがまあそれは別の話。なお30日夜です

*8:描かれてないだけで毎回許可取ってるかもしれないけど、他の言動からはちょっとその辺り信用できない

*9:同じところに話を持っていくにしたって、「ノが悪い」のひと言に同意してやるだけでトの心は癒されただろうに。

*10:新聞記事の内容が異なる、でも段ボールの切れ端があるからそのままかもしれない