つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

マタハリ東京終わりましたね

初めは人物ごとに語ろうと思っていたんですが早々に諦めました。場面ごとにすると感想というかログの出力になりがちなんですがそれでいっかなって……最初に読んだのがそういうのだったから観劇感想を褪せてく記憶に対抗するログと思ってる節がある。
こないだも言ったけど書かれてないじごくを行間から掘り出して喜ぶ趣味があるのでだいたいラドゥー大佐を追ってます。

一個人の主観であってすべての個人団体宗教思想そのほか諸々とは無関係です。
役者さんへの印象と彼らが演じる登場人物への認識を切り離して好みの幻覚を見ています、ご了解ください。それもあって役名を後ろにつけてるときは敬称略です。
毎回言うけどあなたの観て感じたものがあなただけの真実なのでそこだけはよろしくな。

永久に終わらない気がしたので随時足してくことにしました。

 

 


○1幕

「生きろ~寺院の踊り1」

あそこ、ピエール役の工藤さん含めた軍人が"ドイツの"軍服を着てるのが好きなんですよ。ラドゥーもアルマンもフランス軍の人だからフランス視点で話が進んでくけど、国のために戦う同朋が次々に死んでいるのはフランスもドイツも同じなんですよね。パッシェンデールで八千の命が散ったとき、英雄を背負ったパイロットがなす術なく撃墜されたとき、これで無事に家に帰れると喜んだ命があるはずなんだよ。わくわくしちゃうよね
歌詞で「パリ」って出てきたから民衆はフランスなのかなと思うんだけどどうなんだろう。女性の鞄を奪った男から分け前をもらっているドイツ兵、戦地での略奪なのか自国民からの強奪なのか、どちらにしろ戦争は人を荒ませるね。
ロザリオがそこそこちゃんとしててテンションが上がりました。銀色の十字架、カーネリアンや赤めのうを模したような色の玉でできていて、いくつかごとに銀色?少し違う玉が挟まってるように見えた。アヴェ・マリアに使えるんじゃないかなあれ。どうかな。
「妻が見当たらない」「黄色い服の人?」「ちがう!!」 のやり取りが好き。戦禍の地獄絵図、役に立たない厚意にも感謝を返せるのはその余裕のあるときだけなんだよな。
その一方で「この子だけは」って赤んぼを差し出した女性が肩を抱かれてあなたも一緒に逃げるの!ってされていて、この地獄みたいな場所もまだ捨てたもんじゃなくて、こう……好き……。曲の終わりでこの妻を探していた男性と赤いおくるみを抱いた女性が寄り添っていて、同じ人じゃないかもと思いつつ(相貌認識が弱い)感極まってしまったよね……。

マタ・ハリの踊り、柚希マタの美しさは鋭さ、愛希マタの美しさはしなやかさって印象。この場合の美しさはイコールで武器でもある、と思う。
鍛え方なのかな動作なのかな、柚希マタの動きって肌の下にある筋肉を思わせる感じしません? 躍動感というのかな、相手をとらえるような眼差しも相まって野生の豹みたいな。戦うための身体を魅せるために使っているような、手を伸ばすのを躊躇う気迫を伴った強い美しさ。
愛希マタ、黒くてまん丸い瞳が獲物を見つけた仔猫のように笑みに変わるのが愛らしい肉食獣みたい。関節なのかな筋肉なのかな、動きがしなやかで、無理矢理捕らえようとすると腕から抜けて行っちゃいそう。
お二人とも2階からみると身体を反らしたときに胸骨のラインが浮き上がって、ちゃんと健康的な肉付きをしている動物から見えるあばら骨、いいな……って思いました。馬場のサラブレッドに惚れ惚れする感覚と似てる。どこ見てるんだって話ですが。
配信で初めて聞こえたんですが、マタが身を翻す動きに合わせてキンキンした金属ぽい楽器が鳴ってるんですね……? 音階あったっぽいしマタの衣装じゃなくてオケの楽器だよね……?
あのところで、Wキャストの演目観に行くときこの人物だからの共通イメージとこのキャストさんだからのイメージをどう切り分けてるんです皆さん。


「わたしは戻らない」+ラドゥー大佐の楽屋伺い

楽屋に戻ってきた愛希マタの、少女のような獰猛さを残した笑顔や動きがすごい可愛い。狩りを終えて満足そうな猫ってこういう顔してない?猫飼ってたことないけど。飾りが髪に引っかかってアンナに助けを求めるところが完璧なマタハリではなくひとりの娘って感じで好き。
名刺を確かめた途端にラドゥーに向ける目や表情が冷たくなるの、生命力と誇りが高くていいよね。「わたしは戻らない」でうろっと弱気を見せた目に強い怒りのような勢いのある輝きが燃えていくのが好きだなって思いました。

柚希さん歌が上手い……いやそりゃそうだし皆さんそうなんだけど歌がうまいですね……あのハコであんなに動きながらで上から下まで掠れも削れもしないでマタハリの意志が飛んでくるのすごい。最初の寺院の踊りもなんだけど観ていてマタハリに呑まれる感覚がとにかく強くて、すごかった……って感情しか言語化できてなくて……。
私ならできるっていうよりはラドゥーが絡んできたことでの立場の危うさや事の大きさはちゃんとわかっていて、でも負けられないから不安に背中を向けて自分に暗示をかけているみたいな印象だった。「それとも、ブラジャーの宝石かしら」の距離の詰め方と目の合わせ方が自分のどう見られているかをよくわかっているいきものだ……と思いました。
なんとなくの印象なんだけど、愛希マタは逃げられるぎりぎりを見定めて懐に入り込むけど、柚希マタは色めかして誘ってみせる仕草が同時に一線を越えさせない牽制になってるような感じしない?

ラドゥー大佐、あの、 ガワの話していいすか。舞台モノで二枚目ポジションの登場人物(役者さんではなく)が好みの人物造形なことあんまなくて、登場人物にかっこいいなーって感想もつの初めてに近いんですよね……。
加藤さんのラドゥー、バーナムの愉快で楽しいエンターテイナーの印象で行ったら整えられた動作のそこかしこに威厳のあって背筋が伸びた。いえ伸ばせないんですが。加藤和樹さんという役者さんを認識したのが「怪人と探偵」のラスト30秒だったので、*1(全然違う人物像なんですけど)あのとき見たやばいものは幻覚じゃなかった……みたいな気持ちが。
田代さんのラドゥー、いやもう語彙力がなくて大変申し訳ないんですが、あっ すごーい みたいな感想が第一印象ですね……。スリルミ"私"やトーマスアルヴィン、リースくんの印象が強くて*2すっかり少年の面影があるひとみたいな認知でいたので脳みそがびっくりした。脚を使って入室合図の音を立てる動作まで洗練されているのすごかったですね。
ガワの話満足しました。

加藤ラドゥー、柚希マタとの回しか観てないんですけど、マタハリの色めかした仕草にもはっきりした拒絶にも余裕の崩れず応じてた印象がある。涼やかで、内心どうあれ動じていないように見せられるのは強いよね……。貴方はペテン師だ、ってさらりと投げつけるのがさ、こうなるところまで全部わかってて揺さぶりに来たんじゃないかって感じさえしてくる。それだけに「……魅惑的だ!」の言葉を探して視線がさまよう姿に社交辞令じゃなくてガチのやつじゃん……と思いました。あそこだけ前のめりに話すよね、彼。
入室前に薔薇の花へ口づけてるあたりそこそこ濃い人だと思う。違和感もなく様になっていて格好良いけど、マタやアンナに見せてのイメージ操作じゃなくしたいからしてるんだよ?あのキザ仕草を?

田代ラドゥー、礼儀正しく無害そうににこにこしてたのがくるんとひっくり返って国家主義者みたいなこと言い出す……。「なりたいはずだ」の圧が強いんだよこの人。「お受けする気にはなれません」って言われたときに一瞬、びっくりしたみたいに停まるのとか、じわっと表情が変わるのとか。席を外すアンナに柔和に頭を下げたり色ごとを仄めかされて困ったように笑ってたりした無難ないきものはどこにいったんだよ……。
入室前に薔薇の香りを嗅いでる田代ラドゥー、ほらアンナもビッシング将軍の花束の香りを嗅いでいたからたぶんそこまで変なことではないんだよたぶんおそらく。*3人に渡すものにするのかいとは思うけど。香りで気持ちの切り替えするタイプの人だとしたらどんなに気を張っててもマタハリから「あの香り」がするたびに掻き乱されるんだから可哀想だよなとは思いました。


「この街の乾杯」

パーティ会場でのラドゥーくんの話をするし記憶ログの出力をしたんですが(だってたぶん残らないので……)あまりに長かったので別の投稿にした。ラドゥー大佐、キャサリンの扱いがぞんざい。
「求めるから生まれるのさ」を聞くたびにそう思うなら求めろよ!!!!!って思う体になっちゃったよね。求めるから生まれるんだろ? 神話も本物の愛も英雄も? 出会いが恋じゃないのは仕方ないとして、求めれば生まれるものがあるというならジョルジュとキャサリンの間に絆が生まれてないってつまりそういうことだろ……この場面見た限りだけどキャサリンからは歩み寄りの努力してるぞ……。あのシーンの大佐、所作はスマートでかっこいいんだけど至らなさに悪気がまるでないぶん余計に残酷だよ。
後に出てくる「女が意志を持つと危険だ!」を聞くたび、この場面のキャサリンを思い出す。感情は見せても意志はないように従順な、男の意思をあらわす存在としてある飾り物。
最後にマタハリのいないパーティー会場に振り向く加藤ラドゥー、ほころびかけた蕾のような、恋におちた自覚のない人の目をしていて愛らしいなと思いました。田代ラドゥーは焦れていて、表で口実を作りたかったのかもう一目見たかったのかはちょっとよくわからない。


「人生と闘え」

東アルマン、出てきたときから煙草吸ってるし酔っ払いに絡まれてるマタを見てふっと悪い顔で笑ってるの見た!?!? マタを見てるっていうか、ちゃんと意識あるのにタチの悪い酔っ払いのフリしてる仲間を見てあいつら楽しんでんじゃねえかって笑ってる感じ。2回くらい笑ってたなあと思ってたら配信では綺麗にどっちも抜かれてて呻きましたありがとうございますそういう男なんだな? タバコを地面に押し付けて消してから街灯裏のポケットに入れてるのきっちりしてるなあと思って見てた。動作の起点があそこ(屈んで火を消して→立ち上がって→近寄っていく)なので、煙草を消すことでお仕事スイッチ入れたように見えて楽しかった。
三浦アルマン、最初に見たときヤンキー座りがすごい衝撃的で見るたび衝撃を受けるんだけどわかります……?路地裏にうつくしいいきものが落ちてる……みたいな衝撃がある。顔の造作の話ではなく(いえお顔もうつくしいんだと思うんですが)、なんか三浦アルマンって少年が物語の中から飛び出してきたみたいな独特の非現実感があるじゃん。地に足ついてない子供っぽさを残したままというか。髪に隠れがちな表情と拳握って意志を語るときぱっと輝く瞳、吐息を含んだような声がその印象なのかな。あの息を含んだような余韻のある声、ラドゥー大佐や軍の部下たちに話すときは全然してなくて諜報員としての色仕掛け用なの!? って後になってびっくりする。

パーティー会場のお客に囲まれてるときのオーラのあるけどファンに優しそうな愛らしさが酔っ払いに声かけられて仕舞い込まれるのは二人ともそうなんだけど、柚希マタはその後もちゃんと笑顔は浮かべて対応してるのこういう戦い方で生きてきたんだろうなって思いました。美しいけどおいそれとは触れがたい壁のある笑顔。愛希マタの隠しもせず冷ややかな顔してるのも正直で可愛い。腕を掴まれたときに愛希マタのが痛がってるように見えるし、愛希マタのが突き放すラインが早いのかなと思った。二人ともお客として扱うか迷惑と切り捨てるか、執着されたときに厄介でないところを見定めて切ってるんだろうなと。

恋愛のフレームなくてまるで理解できてないんだけど、"マタ・ハリだから助けてもらった"んじゃなくて"困っている人なら誰でも助ける"アルマンの信念(嘘)に惹かれたってことで合ってる? 出会いが「ラドゥー大佐の命令で」「マタ・ハリに」接近したからだったのがあんなド地雷踏んだみたいな怒り方になるのそういうこと? だとしたら「国際的な有名人」だから接近して彼女の踊りに魅惑されたラドゥー大佐がばりばりマタの守備範囲外で楽しいですね。

ところで配信で聞こえてテンション爆上がりしちゃったんだけど「オリーブちゃん」 センス最高じゃない??????


「一万の命」

じりりりり!ってベルの音が机から鳴ってて凝ってるなあと思った。ただでさえでっかい鋭い音がぐるんと動き回ると危機感煽られて心拍数が上がる。
「ベルリンの秘密諜報員が殺害されました」「代わりの人員の補充を急いでいます」って言ってるのすごいあの、2回目からひやっとした(ベルリンがドイツの首都なのついさっき気づきまして……。)危険度が高くてなかなか人を送り込めなくて戦争に勝つためには外せない場所。マタハリに託した任務、まじで戦況を左右する要の情報じゃん……。そんなものを軍への忠誠なんかまるでないマタに託さなきゃいけないほど戦況逼迫してるんですか……。
「くそ!!」って叫んだときに部下の人が受話器をちょっと離して振り向くんだけど、ラドゥーくん部下にはあまりそういうとこ見せないのかな。あんなに余裕なさそうなのにね。着任から4か月しか経ってないのにえらいね。そんであなた本当に心中を吐き出せる相手がいないね……もう十分いっぱいいっぱいだから首相あんまりプレッシャーかけないであげて……。情報が手に入れば「空から勝ち取れる」、さもなくば「地上で負ける」、言葉で画を描くのがうまいよね首相、空をとぶ飛行機が地面に墜ちて陸兵共々死ぬのが見える。ひっどい(好きです)
自分の至らなさで同胞が死んでいく、神さえ彼らを救ってはくれない、なんでもするからこの戦争を早く終わらせてくれ、で彼の精神が追いつめられてく線を綺麗に引いてくるのえっぐいなあと思いました。

加藤ラドゥー、照明が映りこんでるのか虹彩の色素が強い光で浮いてるのかわからないけど(たぶん両方)大きく見開いた黒目が暗い赤色をしていて、血に塗れた戦場を映しているようでその、すみません見ててすごくテンションが上がりましたね……こびりついた乾きかけの血の色……。眼の色って髪と違ってほいほい変えられるものでもないから普段はあんま言及しないことにはしてるんですが、褐色がかった暗赤色に輝く眼、この人は勇敢な同胞が消えるたび戦場の地獄を見てるんだなあって。
悪化していく戦況に余裕をなくしているなかでも部下に目を合わせて手でぱっと動かしてから目を移してるのが頼りになる上官で無理して"大佐"として自分を動かしているようで、なんかいつか過労でぶっ倒れそうだなって思いました。同胞の死におぼえる痛みを押し殺してやるべきことをやってるみたいな。

田代ラドゥー見るからに荷が勝ちすぎてて、まだ一万の命を背負えるタマじゃなさそうなんだよこの人……心はとっくに限界なのに責任感だけで立ってるような感じ。「勝利」を口にするときに痛そうな顔をしていて早晩潰れるぞって思った。敗退を忘れないのは大切だけどそのせいで得た勝利を喜べもしないんじゃ戦の指揮は続けられない。
配信で「神さえ」のときにぱっと手を組み合わせたのが映ってた気がしてうわしんど……と思いました。好きです。祈りはかなわなかったから「神さえ救えない」なのかな、それでも祈らずにいられないほど他にできることがないのすごい可哀相。このひと「行動しろ」のところで強く胸をたたくんですよ。2階からでもどん、と鈍い音が聞こえるぐらいに強く。同胞の犠牲の責任をひとりでしょい込んでる感じがするの、気のせいかな。


「C'est La Vie ~人生なんてそんなもの」

彼らの日常だろう第2事務所の地獄の夜を見せられてからこの平和な朝を見せてくるの、鬼か?(好きなところです) アルマンにもマタにも何の責もないんだけど、この構成のおかげで2回目の楽屋訪問にはもう大佐への同情心でいっぱいだよおれは。
異性恋愛の物語を読むフレームが乏しくて*4このシーンはマタとアルマンが可愛いということ以外あんまりわからないんですが、それだけわかってれば楽しいよね……。ふわふわきらきらしてて可愛いよね二人とも。
彩雲に手を伸ばした柚希マタの顔が曇ったのを見てその手を包む三浦アルマン、楽しそうに笑ってるマタの手を包んで引き寄せる東アルマン(振り向いたマタがそこでアルマンのいるのを思い出したような顔をする)とがいるのでマタが愛を見つけたタイミングが違うのかなあと思ってるんだけどどうなんでしょうね。
愛希マタはお袖で顔が隠れるのでよく見てない、たぶん下手で観ればいける。「年を重ねるとね」の声と表情で愛希マタに年上なんだなあってしみじみ思う。年齢的にはつり合いとれるのアルマンよりラドゥー大佐なんです? でもマタのほしそうなもの("私"自身を愛してほしい)を彼の地位や年齢に達した人はもってなさそう。ラドゥーの年齢知らないけど。
個人的な印象なんですけど三浦アルマンより東アルマンのが大人の男の人っぽく見えるので役者さんの年齢知ってびっくりした。なんかこう、年経て削れる世界への尻込みしなさが残ってるよな感じしません?
「ただ空を飛ぶんだ」の指をくるくるして遠くに飛ばすしぐさが曲芸飛行みたいで、アルマンほんとに飛ぶの好きそうでかわいいよね。三浦アルマンのマタに顔近づけて目を覗き込みながらやるあれに、少年みたいな青年だなって思うしいやもうめっちゃ心の距離詰めに行ってる……とも思う。同じものを見ていると疑わない子供みたいな愉しそうな顔。東アルマンもうちょっと物理的な距離があった気がするんだけどどうだったっけ……ちょっと高いところからマタに笑いかけるのが可愛かった記憶がある。笑い方に見てる景色のイメージを共有しようとする人って印象受けたことだけ覚えています。


「あなたが思っている以上のこと」+楽屋伺い2回目

ラドゥー大佐が相当余裕をなくしていてすごい可哀相だなって……表情もなんだけど動作にも余裕がなくなってるのすげえ可哀相。入室の合図もなく、アンナが席を外すのを確認してるのも繕わない(1回目は会釈の体を取ってた)。露骨に牽制してるのにこっそり戻って階段の裏に隠れるアンナを見逃してるのも意識を張り巡らす余力ないのかなーって思うけど、バルコニーで首相が話しかけるまで気づいてなかったみたいだし元々得意じゃないのかなあ。戦場だからというのもあろうけど、アルマンはぼろぼろの状態でも背後の気配が変わるの気づいてたし……。
地獄の夜と穏やかな朝を見てからのここなので大佐への同情路線で見ちゃうんですが、と言いつつ19日の私がラドゥー大佐どっちもきもちわるい執心の仕方だなって書き殴ってて笑った。そうね。
ラドゥー大佐、スパイ活動させるためには過去の情報を仄めかして内面揺さぶったりアルマンを入り込ませたりするのに、個人の感情として見せるご執心はマタハリの女体にしか向いてなさそうなのが、それなのに(彼女の「大ファン」達のように)女優マタハリではなく、生身のマタハリを欲しがってるのが訳わかんなくてきもちわるいんだよな……。なんで使命でなく情動で欲しいものへのほうが見てる層が浅くなるん……?逆じゃなくて……?(アルマンは逆なんだよね、華やかなマタハリという虚飾の内にいる傷を抱えてなお前を向く女性を愛する)
加藤ラドゥーは恋心(おそらく)と紳士的で二重のオブラートに包まってるんだけど田代ラドゥー恋心はどうにも見えなくて*5紳士的は穴が空いててダイレクトにご執心が見えてるので……いえこれはラドゥー邸の感想なんですが……。

突然ですが推しの話をします。聖書のフレーム使ってるから気をつけてね。
田代ラドゥー なぜ 嗅ぐ。マタの香りを嗅ぐのは加藤ラドゥーもやってるんだけどなぜ見せつける。手に移った残り香を嗅ぐのは退室後にやってるから(田代ラドゥーはあそこでも吸気音を入れるから客に示す意味でも)香りを楽しむだけならあの場でやる必要はなくて、戻されかけた手をわざわざ繋ぎとめてまあ綺麗な姿勢でするあたり衝動的でもなさそうで、社交と演説に長けたラドゥー大佐があの行為がマタからどう見えるかを理解してないことはないだろうし、感情制御が崩れてきてるの抜きにしてもあそこだけ共感使って社会やってる人間の言動から逸脱してて、姿勢や表情が涼やかで整えてあるぶん機序と意図がとれなくて薄気味が悪い。見た目が綺麗だから余計に忌避感が強く出るんだよ……失礼な例えだけど幽霊って元の造形が美しかったり可愛かったりするから生者なら持ってるはずの要素の欠損が際立って怖ろしいじゃん、あの現象と似てる。
三周ぐらいしてラドゥー邸の大佐を獣(天使と獣のほう。mammalではなく。)っぽいなと思うようになってあれ釘を刺してるんかなって思った。アルマンのジャケットを嗅ぐのも情報欲しくてやってるわけじゃないじゃん、決定的な証拠は既に手にしてるんだから。あの行為を牽制や威嚇に使ってみせてるんだったらラドゥー大佐、自分のお顔の良さをわかってて面白いな……人間社会の美醜基準で美しい男がやるから不気味の谷みたいなきもちわるさが出るんであって、例えばびじょやじゅの獣王子がやっても見た目のイメージと一致するから強調や恐怖は煽っても納得感に向かうわけで……。推しの話終わりました。

ラドゥー大佐を迎え入れる愛希マタの表情の冷たさ見た!? 包み隠さない拒絶、好き。わたし今回加藤ラドゥーとの組合せ見られてないんだけどどっちの大佐にもこうなの?
しなだれかかってから突き放すところ、しなやかで艶めいた誘いに見えるのが好きでですね、彼女にとってそういう仕草や振る舞いは戦いなんだなって思う。それも鎧ではなく矛なんだなって。

マタハリのソロナンバーでこの曲が一番好き。厳密にはソロじゃなくてだからコンサートではまず聴けないだろうな*6って今から覚悟が決まりCDを出してくれ……。「善悪の彼岸などこの世にはない」「逃げなさい! 〜 あたしに早くさよならと」のところがすごくすごくよきだよ みんな円盤出たら聴いてね
ところでさ、『彼岸』のところは自分が聞きなし間違えてるんだろうな正しい歌詞なんだろうと考え続けていたんですが(「善悪の悲願」はちょっと意味が取れなくて)、もしかしてアンナ仏教やヒンドゥー教の人なんかな……ヒンドゥーにはあるっぽいんですよね死後の世界のイメージを喚起する河……。いやまあ宗派によりけりだろうけどキリスト教に彼岸の概念はないと思うんですよね…天の国、向こう岸というか届かない上のものって感じしない?
アンナが「マルガレータ」が「マタ・ハリ」になった後の知り合いなら、キリスト教のひとでない設定だったりするのかなって思いました。階段の陰で話を聞くアンナが配信で2回とも抜かれてて、2回ともスパイの命についてはびくっとするけど「マルガレータ」にはさほど反応してなかった気がするのよね。
ところで何度か言ってるけど「火炙りにされるのは」って聞くたびにジャンヌダルクが頭をよぎるの私だけですか。国のためにはたらいて魔女として処刑された聖女。

 

*1:Q.そこ以外は? A.怪人と部下の動きがキレる人を追っててあんまり……お歌のすごいお兄さんだなくらいしか……

*2:MAでかっこいい役の人やってらっしゃるんだけどMA貴族組のお衣装って全体的にかっこいいより綺麗寄りじゃないですか時代的に

*3:アンナ、初日の頃も花の香吸い込んでたっけ?とは思った。

*4:普段は恋慕を伴わないまま拗らせた唯一無二への感情か自分のすべてをベットして見返りを求めない献身ばかり食べているので……

*5:上限まで前向きに見てもあるのは肉欲だと思う。

*6:マタの歌うメロディーがワンフレーズしかないため。マタを演じた方のコンサートに春風さんがゲストで呼ばれるのでもなければまず無理だろうなって……。