つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

スリルミー2023 尾上×廣瀬ペア感想(9/7初日)

これは個人の感想であり、あらゆる個人団体宗教思想に賛同あるいは非難する意図はありません。
歴史モノ、史実モノはそれに想起を得て作られた「創作物」であり、登場人物は架空のキャラクターです。そして私は「物語の登場人物」と「それを演じる声優・俳優」を完全に切り離して認識するオタクです。
また制作側のねらいを考察する意図もありません。わたしが観たものの解釈であり、「あなた」の正解はあなたが観て感じたものですよ。
毎度言っているんですけど、スリルミは特によろしくな。

生の悲鳴はこちらにまとめられています。投げ込みメモの保管場所としてのツイッターがそろそろしにつつあるのでそのうち移すかもしれません。

 

ペアへの印象

えー、さて。感想ですね。
このペア怖えよ。(賛辞です)

2021成河私もこわかったし2021松岡私も(その系譜で)共感性パラメータが存在しなくて薄ら寒かったけどそういう怖さじゃないんですよ。
スリルミーにおいては『私』が(同種の社会性動物として見たときに)こわいのも『彼』がお人形じみている(この場合は”お顔は綺麗なぶん現実感の希薄さが虚構じみている”の意味)のもたまによく見る人物像ではあるんですが、この2人のこわさはそういう感じじゃないんですよ。そういう要素はあるんだけど、背筋が冷えるのはそこじゃない。
なんだろう……なんだろうあれ……。わかんない……。

この感触を一言にするなら『断絶』、ペアの印象を一言にするなら「そこに『愛』はあるのか!?!?!?」です。

コミュニケーション取ってるようでコミュニケートの意思がないんだよ。双方に。わたしはコミュニケーションの本質を相手の価値観や状況を知り、ときにそれに影響されて自分の価値観が変わることだと思っているんですけどぉ……君たち絶っ対にそれをする気がないよね……?
尾上私は『彼』の状況や内心なんかまったく気にもかけてなさそうだし、廣瀬彼は単純にそれどころじゃない。きみは大学院の前にカウンセリングに行きなさい(好きだよ)、さっさと家を出ろ。


これから具体の語りをするんだけどその前にもうちょい概念の与太をしていい?
今は昔の2021年、やまこーペアから松柿ペアのかおりがするとオタクたちの間でざわめきが起こったの覚えてます? 私はそんなことある?と思ったけど自分で観て確かにな……と手のひら返しをした*1クチです。山崎さんの『彼』から漂う、搾取されてゆっくりじわじわ自尊が削られた、傷つく姿にある種の美しさが匂い立つ少年像がそう感じさせたのだと思っています。

その概念で言うなら尾上私から感じるのは田代私の系譜で廣瀬彼は新納彼を混ぜつつ福士彼のアクセントを多く入れられてるのかなってにおいがするんですよ、わたしの言うそれは(今回は)声の転がり方と諸所の仕草なのであんまり信じられても困るけど。声の転がし方とか間の取り方とか抑揚の強弱、にいまりペアを参考に組み立ててるにおいはするんだけど「愛」が見えなさすぎて強烈に別概念と受け取らされる。

いや、まじで、そこに「愛」はあるのか!?!?!?
3回ぐらい問いたいし観劇中にはもう少し多くこのフレーズが頭をよぎりました。そこに愛はあるのか????

ああ、いや、最終的に愛はあったねの閉幕だった(と、わたしは思っている)んだけど、19歳の彼らに愛または恋心を感じるのは、……感じるのはできなかないけど恋心なんだなーと思い続けるの難しくなかった!?!?
これまで見たペアにも相互的な愛じゃなくて一方通行なんだよなとか愛という名の執着なんだよなとかはあったけど、「『愛』??????????」となったのは初めてだったよ……。

あえて、あえて既存ペアに譬えて印象を語るならCDだけ聞いたいれまりペアのそれに近いんですよね……。あれから『私』『彼』双方の相手への思いやりパラメータを引き下げてくださいな感じ。*2

品のない言い方をして大変恐縮なんですけど、19歳『私』に愛や恋を感じた次のシーンで、なんだったらそのシーンの後半だとかでいやそれ肉欲じゃん……を思うことになるのを100分で3~4回繰り返すとヒトはこうなります。ならない。
与太を語りすぎてしまった。具体に行きましょうね。

 

廣瀬彼、自尊を圧し折られたいきものの気配がする

これはセカンドインパクトで、ファーストインパクトは「ここにいるのは『私』の語る思い出(=虚構、色あせた回想)だと強調してるのか、初日だからか(遠回しな言い方)どっちだ……?」でした。正直なところ。他の演目で舞台の上の廣瀬さんを拝見したことはあったので、動作や会話に際して表情がほとんど変わらないのに驚いた。

この『彼』、声には抑揚が乗ってるのに顔が強めの無感情なんですよね。虚構……というか、張りぼてじみている。
無感情といっても覇気がない表情とはちょっと違って。表情が目を見開いてかぶりつく……その瞬間のような圧のある表情のままぜんっぜん動かないんですよ。表情筋の限界では?くらいまで大きく目を見開いているのに瞬きもしない。

こわいんだわ。(好きですよ)

むろん、廣瀬さんは健康な(お加減わるくしてないですよね!?*3 )人間なのでよく見ていると瞬きしていないわけではないんだけど、ほんとに一瞬でさっと済ます*4ので”この登場人物が瞬きをした”とは脳内処理されないような感触。

声にはそこそこ抑揚があり、ワンフレーズを強調したり圧をかけたりも多いので余計に、表情と声が、そして表情と言動がチグハグになっているように見えるんだと思う。わたしが普段こういう顔つきした人物をあまりガン見しないので("毀損したがゆえの少年性"がヘキなため)表情うまく拾えてないのか?と思うくらい、表情が圧のある(圧だけある)のに情緒がわからない感じなんですよね。

「スポーツカー」でもその顔してるのを見てわたしはやっぱ君メンタルケアを専門にしているなんらかの機関にかかるべきだよと思いました。当時の舞台背景で受診することに対して家族やご近所からマイナス風評付与がされないそういう機関があったかといえばなさそうなのでこの話はおしまいです。

わたしはあの曲のときの『彼』をソトの(つまり『私』以外の)人といるとき『彼』はこういう振る舞いをする、だと解釈して観てるんですが、そっか……『私』の前だと負荷がかかるから(或いは外面をかぶってなくても構わないと思ってるから)ああなってるんじゃなくて、いつ誰が見ても限界寸前、破綻するぎりぎりの容態なんだ……という気持ちになってしまいました(たのしい)(架空人物なので可哀想を可愛いと愛でられるやつ。)
いえすべては濃い目の幻覚*5なんですけど。


その『彼』が何回か、目元をやわらかくして甘く笑みを見せるんですよ。鬱金色の粉が舞うような極上の笑み、細く高いあまい声。観測したのはこの台詞(他にもあるかも。)

 「大人しくしろ/僕の眼鏡」での電話越し、「俺のせいだ、悪かった。背中まで見なかった」
 「俺と組んで」の命乞いで『私』に口付ける前の2フレーズ。

本心では言いたくないだろう(だってこの人にはもう円滑のために一歩を譲る余裕があるようには見えない)、自己有用感や『私』よりすぐれているというプライド(最後のプライド)を削ることを他の道を塞がれて口にせざるを得ないときだけ、あんなに綺麗に人らしい顔するの、ひどいよ(賛辞です)

わたしは今からかなり人でなしなことを言うんですけど、圧し折られ圧し折られ圧し折られた彼に残った僅かな自尊(自己有用感、のほうが適確なことばな気はします)を削り取る、言いたくないことを自発的に言わされる自傷行為のときだけ刺激が入ったように色がつく廣瀬彼、めっちゃくちゃ綺麗でイイですね……。心がきしんで砕けた欠片がきらきらと光を弾いてこぼれる様がわたしは大好きで……。

美しく笑みながら自分のせいだと認める(認めさせられる)廣瀬彼、これどちらも「スリル・ミー」の後なんだよね……。美しいのに脆く壊れそうなのではなく、壊れそうだから美しくおもうのかもしれない。圧をかけて内面にいっぱいの傷を入れられた、クラック水晶のうつくしさ。

残った自尊を削らされる廣瀬彼がなぜいつものあの硬直した表情でいないかはわからないんですけど、いら立ちだったり屈辱だったり、情動に従い表情に出してその感情を認めてしまったら本当に終わってしまいそうだもんな、とは、思いました。そんなことをしてしまったら、もう二度と立ち上がれなくなってしまうと思う。
「ほとんど何も感じない」『彼』の内から反射のように湧いたなにか、心が最後の力を振り絞ってあげている悲鳴だと思うから無視したら無視したで心がしんでいくやつではとも思うけど……。詰みじゃん。すくえない。


「スリル・ミー」の最後で引き倒された後の廣瀬彼の表情見ました? 転がされたインパクトのところは目を閉じているけどすぐに(今までの『彼』と比べてもだいぶ早い気がする)すうっと目を開いて、目の前のものをただ見ているの。
いつものガン開き表情ではなく、お店で飾られている愛玩人形のような、険もなく苦しげでもない静かで無垢な眼差しをしていて。
なんなら普段より焦点の合ってるのに無表情であどけなささえあって、この眼に映ってるのが自分を襲う男の姿なんだよなと思うとおれは。

なんであどけなく見えるか、この場合は防御反射さえ壊れてしまって目の前のものを映し続けるしかないその様が、五感に世界を識別する枠がまだできていない赤子の表情と似ているからのやつだよ。何かを感じる場所ごとひき潰されてるから苦痛も何も感じてないように見えるやつだよ。自分で言ってて自分でダメージを受けました。
ところでこれはお話と関係ないんですが、遠目で見ると勢いよく引き倒してるようなのにアップで覗くとふわっとやさしく転がすように置いてるのが尾上さん匠のわざじゃんと思いましたね。

わたくしこの曲の前後での『彼』の変質を”不可逆な毀損” ”大人になってしまった”と呼びがちなんですが、廣瀬彼は損なわれてしまったというより既に損なわれていたものがかろうじて纏っていたひとをやるための外殻を引き剝がされてしまった、の印象だったな。まあ『彼』のそれは何処から見ても明らかに異様な、ぼろぼろの人格だったけれども。それでも、社会で人間をやってくためには必要だったんだよね。

もともとラノベ沼で遊んでいたので『こころを致命的に損なわれた者は誰かから奪うしかない(奪われた穴を埋めなければ生きてはいけないから。)』の物語的な因果に馴染みがあり、「スリル・ミー」の後で『彼』が唐突にどでかいことをと言い出すのにまあそうだよなの目で見ているんですけれど。この『彼』に関してはある意味すごく納得感が大きかった(物語の因果として。)

経済的にも家庭的にも望むようにあれない(あの『私』と親しく人付き合いするのも自尊を削られそうだしね……。)『彼』にわずかに残されていた自分のことを自由に扱う選択権*6、自分の身体をどう扱うかって最後の権利さえ『私』が剥奪してしまったんだから、まあ。当たり前に持っていていいはずのすべてを奪われてしまったら、誰かのすべてを踏みにじってその残骸で穴を埋めなければ息ができない、というのは因果がわかりやすいなと思います。

節もリズムも取り払って仁王立ちで叫ぶ「ハンマーで頭を割る!!!!」、世界に全てを奪われたものの復讐の叫びだったじゃないですか。(そんなことはない。)
あの叫びを聞いて、廣瀬彼の顔みながらずーっと感じていた、なんか……おこってる? 誰に対してというんではないんだけど……という印象が、ここですとんと腑に落ちたような感覚がありました。何が悪い、誰が原因だというのではなく、『彼』が食わされている理不尽を『私』という存在が可視化し突きつけてしまうんだろうな。『彼』は大衆と比べれば経済的には恵まれている側の人間で、『私』と比べなければ才覚という代替できないギフトを持っていると己を慰めることができる。
それはそれとしてめっちゃびびったけどね。


ごめんちょっと脱線します。スリルミのこのあたりは創作物と題材となった事実を調べて並べて検証するをしない人の検出器みたいになってるの見るので予防線です。この演目の感想ではないから読み飛ばしていいやつだよ。
観たものに何を感じるかは受け手の持ってる偏見と経験に完全依存する、というのは大前提として。(推し作品の言葉を借りれば「解釈の自由が故、諸王は悩むのだ」である。)詳しくはこの作品と題材となった事件の事実を比較してもらえればなんですが、事件に至るまでの動機は『私』側も『彼』側も完全フィクションで作ってあるんだから読むのも創作物の文脈で読むのが適当だ、と個人的には思っています。
ブログっていう場所に置かれてしかもこの読みにくい長文に付き合えるタイプの人にググりゃわかる程度のことを調べもせずあのシーンの動機を事実と混同してる人もまあいないと思いますけど、わたしは伝記書かれるような人物が題材の歴史モノが事実でない脚色されてるのと同様、「内容そのものが創作だから」「架空事象の物語として扱って」この解釈をつけています。と一応釘刺ししておきますね……。
*7

 

ばらばらと好きなところ。

好きなっていうか目が空いていたら見てねのところというか。

「僕はわかってる」でノー反応の尾上私からいったん唇を離し、どんな顔してるか確かめるみたいに正面から目を合わせてのちもう一度くらいつく、その直前でぎらぎらした目をして浅く笑ったんですよ。みんな見られたらぜひ見て。そんな顔、するんだ……!となりましたよね。

「痛くはしない」を高く優しい音で歌い優しげな慈愛にも似た表情を見せるのに、尾上私の目どころかそっちのほうさえ見ずに『私』の指だけに視線を落とすようにしてるの、心にも思ってないんだろうなとなりました。好きです。
君いまも本当に『私』のこと好き?恋愛感情もってる?や、まあ……持ってたとしても情緒を動かすエネルギーがなくて”感じる”はできなさそうだけども。

「スリル・ミー」で振り返りざま鞄を滑らせて突き放そうとするところ、動作が起こる寸前にぎっと顔に力が入って怒りや憤りに近い表情を浮かべたので心のなかで拍手しました。ほとんど情動が死んでいるような『彼』の精神も、最後の持ち物を強奪されることには怒りという拒絶が湧くんだなと思って……(まあその最後の抵抗も無残に踏みにじられたわけですが……。)わからんけど。中の人が勢い付けるのに要ったのかもしれない。
余談ですが、曲の導入で廣瀬彼が「収獲」をひとつひとつこちらに見せて置いていくところに、キャスト6人トークで新納さんが言ってたこと(概要:そうしろって初演で栗山さんに言われたから守ってるのにきみらさっと置くじゃん!(言われたの自分だけなの!?))を思い出してにこにこしたりしました。

53歳私の独白丸々と19歳に戻って動き出した『私』が離れるときをお人形の顔をしたままぴくともしないでいたので油断していたこともあり、「計画」の導入の尾上私が衝撃的すぎたこともあってで『彼』が起き上がったときの表情を見逃してしまったんですけれど、細く細く、空気に触れたら砕けて消えてしまいそうな「思いついた」、大変綺麗でしたね……と思っています。細く高く硬質な、ルチル水晶のような声。

「死にたくない」でやっと気づいた、廣瀬彼、からだの表情がものすごく豊かですね!?!? 誰にも見られていない(と思っている)檻のなかで独り、名誉も安楽もない死の気配に怯え冷たく硬い鉄格子に怯え圧し掛かる罪の重さに怯えする動きに見惚れてしまった。腰の抜けたまま後退る『彼』の丸まった背に当たった鉄格子が見えましたからね。
あのほんとに身体表現から想起される情景の解像度が高くて……そこに鉄格子があるなあじゃなくてこことここにこのくらいの太さの鉄の棒があるんだな、ぐらい質感で見える。打ちっぱなしの床の、拒絶するように冷たく硬い質感とか。いえすべて幻覚なんですが。

 

尾上私、新しい種類のこわさがありました

『私』の行動動機(企みの動機ではないです)にごくシンプルな肉欲を感じたのはじめてでこっわ……となりました。キャラクターとしては好きだけども。

いやあの彼らの設定は19歳の男子で我々は人前でないときの2人のプライベートを覗いて見ているようなものなんだから肉欲が見えるのは健全な範疇だし、『私』が肉欲への執着を見せるシーンはどのペアにもあるんですけどね。「スリル・ミー」(曲のほう)、わたしはどのペアも爆発の燃料はわりとそれだよねと思っております。

おるんですけど。

 

「契約書」の後の、「(『彼』のほうも、)契約に従っていました……」に肉欲の印象を受けたことは今までになかったな……。ああうん……ってなっちゃった(たのしい)

あと「やさしい炎」、廣瀬彼も廣瀬彼であの目ぇガン開いた真顔で後ろからハグして顔を寄せるのめちゃくちゃこわかったけど*8、導入箇所の尾上私が日本版観てから原語版買ってこの曲の導入やり取り読んだときのあっあの場面はそういうことでいいんですね、と同じ質感をまとってるのもこわい……こわくない?

ベースの動きはにいまりペアのそれをなぞってるような(握った手は即行はなすけど)のに相互の愛情がまったく(どちらからも)感じられなくて震えてしまう。好きだが。好きだが。シーンとしてもキャラクターとしても好きなんだけど『彼』に胸元やら首やら顎やら触られて目を細めつつ後ろに体を預ける尾上私、酔ってるのは精神的な戯れではなく肉体的なたのしみじゃない?の目で、見てしまい。

だって後ろの廣瀬彼はガン開いた目で炎をがっと見てるし……。君たちそこに心の通い合いによる精神的な充足を感じていらっしゃる?

言うてまったくの初見だったらたぶんあっこのシーンはそういう暗喩(暗喩っていうか……)なんだなって思っただけで、こわいとは感じなかった気もするんですけどね。触る箇所とか手つきとか、動きの流れが外からも相互の愛情が見えるにいまりペアで見たのと似てるからぅゎこゎ……同じような動きでこんなにも情が通ってないことあるんだ……になるのはあると思う。(あちらのペアの形が一般的だとは言ってない)(揺るがないドムサブ関係を一般的な恋愛関係とは呼ばないと思う)こっちは終わった公演だから直截な単語で言っちゃうけど'21にいまりペアの睦み合いはなんかそういう(万能な庇護者と従順な受容者)イメプレだったじゃん。


'23年のこのペアに戻ってくるけどいややっぱそれを抜きにしても尾上私もこわいな?何がこわいって好きな子と一緒にとか触ってもらってとかを悦んで受け取る一方でその”好きな子”がどんな風かが全く見えてないところですよ。
きみ洞察力と観察力には長けてるでしょ!? 「僕はわかってる」で『彼』が煙草を取り出したところで”『彼』は火を持っていない”と”自分に求めてくるだろう”まで読んで確信した笑みを浮かべたの見てたぞ!?

たったあれっぽっちの情報からそこまで先が読めるほど頭の回転が速く『彼』のことも知ってるはずなのに、どうしてその『彼』の状態に気が付かないの!? のこわさなんですよね。あとやっぱり肉欲の気配……。いえ何回も言うけどべつに肉欲の気配自体はどのペアでもそれっぽいもの見るし19という彼らの年齢を考えれば健全だよなとも思うんですけど、これはわたしの思想がトガってるんだけど肉欲のことを愛情だと錯覚している人類、ヒトの人たる理性のはずれた獣性って感じでこわくない?*9

「計画」の導入箇所、身づくろいタイムでめちゃくちゃ醒めた顔してるのすごい、なんか背筋が冷える感覚があるからみんなぜひ見てみてね。品のない言い回しすると賢者タイムかなんかか?それとも望む反応を引き出せなかったのか?ぐらい醒めた顔してる。わたしあそこで醒めた顔してる『私』をはじめて観たよ。なんかだいたいみんな嬉しそうにしてるじゃん。やっぱり肉欲なのでは……?の疑念が高まってしまいましたね。


ここまで肉欲の気配がこわいんだよなしか話してないせいで『私』への印象かたよらせてしまいそうだけど、19歳尾上私はべつにそこまで男くさい人物像ではないですよ。わたしがそのいろばかりに意識を持ってかれてるだけで。

デフォの動きは表情や声色がころころ変わり、状況の変化や『彼』の一言ひとことにいちいち(賛辞)大仰に振り回されて。己がどう見えているかを常に意識するセルフブランディングの対極というのかな。でっかくて能力もあるだろうのがわかるのにかなり情けない、なんだろう、粗忽な大型犬ムーブっていうか……。
自分のからだのでっかさと力の強さをいまいち把握してないで仔犬のときとおんなじ感覚で突撃しちゃう、そんでお気に入りのベッドを壊したり飼い主にやめなさい!されたりするっていうか……。

太め(ほんとに太く書いてるのかは知らん。黒々してるからそう見えるのかも)の眉が情けなく下がるのとかでっかいなりして肩が丸まってる*10のとかほしいものを与えられたときの花咲くような邪念の見えない笑顔だとか、いわゆる大型わんこ系のキャラが好きなひとはかなり庇護欲や愛玩欲をそそられるキャラクター造形なんでないかな。

わたしはそちらのフェチに造詣が深くないので確かなことは言えないんですが、「僕はわかってる」で煙草を取り出した『彼』を視線を切らずにポッケに手を入れるあの場面にも、『彼』の役に立てる嬉しさ(「ほめてくれる?」)を見るんじゃないでしょうか。
わたしはそっちにフェチがないため『私』の先読みの深さに頭の回転速度と持ってる『彼』の情報量、ちいさな優越*11を解釈してぞっとしましたが。


ここまで付き合ってくださった方はお気づきかもしれないんですが、わたくし尾上私がどんな人物なのか今回イメージを測りかねています。
肉欲の気配だとかわんこ系だとか言ってますけども、どういう人間で……とは違うな、どういうモチベーションで『彼』へのご執心をしているのかわたしの架空人類DBでは検索結果が出てこない。

いやあの途中までは恋する夢少女みたいだなと思っていたんですが、「計画」導入のあの醒めた顔をみてすべてがすっ飛んでしまった……。
あそこであの顔ができる人間を恋する夢少女とは呼べねえのよ。事後(事後って言うな)賢者タイム入ってる『私』を初めて観ましたわよわたくし。充たされて満足げ/嬉しそうだったのが(『私』視点では)突如飛んできた「殺人だ」で冷や水あびせられたように変化する、そういうもんだと思ってたよ。

スリル・ミー、っていうか民也氏なのかな、いつだって予想もしていなかった新しい驚きを与えてくれる……。

 

愛がないかと言えば愛はあったねとは思っているんだけどさ……。愛と錯誤した肉欲じゃない?と途中までは思っていたけど53歳私の「待ってたよ」を見て、あの人の愛の味がする表情と声の音色に愛、あったな……となりました。愛はあったよ。

その印象をもって19歳私に愛がないとは観劇後現在では思ってない(というかそういうことにすることにした)んですが、愛が肉欲に負けてないか?と思ってないかといえばまあだいぶ思ってはいます。

いたわりのようなものさえ感じられる大きいが穏やかな愛情、あのあたたかで深い声と眼差しが、34年を経た大人の『私』だから青春を過ごした19歳の男の子へ向けられるようになったものではなくて、あの”写真という偶像に収まった『彼』”へだから向いているのだとすれば、…………やめよっかこの話。やめよう。肉欲の行き先としてだけでない「愛はそこにあった」んだよ。そうだ。うん。


好きなところ、あるいは目が空いていたら見て!のところ。

いちおうの仮定(圧し折られ続けて壊れる寸前の限界状態)を立てた『彼』とちがって『私』という人物をまだ掴みかねているのでこっちが大変長いです。

53歳私の登場シーン。あの時間を登場というかギリギリ本編が始まる前というかはここでは議論しませんけども。
音も空気の動きもほとんどないのに暗闇の中、ひた……ひた……と気配が下りてくるのだけがやたら色濃く伝わってきて、伝統芸能のおうちのこの強さを思い知らされましたよね。よく聞けば扉が開いた音から段を降りたときの足音もするんですけど、それとは別の無音のときでも静かでしかし重い、”そこに何かがいる”の存在感があるんですよ。ほとんど音もしないし肩や背が揺れてもいないで、ぬうっと重い存在感だけがある、何をどうしてどうやればそんなことができるんだよ。
前のほうを歩いてるとき見てみたら足の裏を地面と平行にして移動と接地をさせるすり足に近い運びだったから、あれはお家の芸(字義通りの意味で)を大活用したスキルなんじゃないかなと思っています。

舞台上に上がり審議が始まってからもすごいよ。煌々とライトを浴びてるはずなのに顔がまんべんなく影になったままなの。それでいて(オペラグラスで抜けば)表情は見えるから真っ暗にしてるわけではなさそうで、明かりの扱いが、うめえ……!になった。だいたいの『私』はあの場面、オペラグラスで抜いてなお白飛びしてるとこと暗すぎてよく見えないとことの二分になって表情みるの難しいよね。
そんな55歳尾上私、俯いたままで固い”閉じた”表情と加齢で低く濁った声が岩のような印象。それが委員の発した「スリル」を聞いたときに目を細く開けてじろりと下手を見、少しだけ顔を動かしたところで初めて顔にライトが当たるんですよ。お顔の大部分が暗いまま、細く開いた目の端でだけ発言者を見遣るのだけ、光が当たってちゃんと見える。
人間の芸(手にするという執着と積み重ねた研鑽の上になるもの)を観に舞台へ金を払っているんだよと思っているので、そういう技術の粋が物語に色をつけるところを見るといっぺんに嬉しくなってしまうクチです。

「『彼』と共にいるため」をうたったところで潤んだ(涙はこぼれていない)眼が一瞬だけ光を弾くのもいっぱいよきだよ。見てね。
尾上私、たしか「戻らない道」の前半おわり(違うとこだったらごめん)でも涙が一筋つたった跡があり、ひょっとして泣く/目が潤むを表現の確定演出として随意で組み込めるレベルで涙腺コントロール能力が高いほうの人類でいらっしゃる?

『私』のところで『彼』の話するのもあれなんですけど、廣瀬彼のあれが”当時19歳の『彼』の容態はあんな風な、誰が見ても破綻寸前の限界状態だった”ではなく"『私』にとって印象の残っているところ(あるいは審議委員会に共有してもよいと思っている箇所)のみ解像度が高い情景"だったらめっちゃくちゃ怖いよな……と思っています。わたしが尾上私に対して肉欲の気配を拾いがちなの、その可能性を捨てきれないからというのもあるよ。
信頼できない語り手主人公の回想として展開する物語、ここがこわいところだよねと思っています。スリルミは反証を出せる唯一の人間(『彼』)が亡くなっているので真相は永遠にわからない。各々が好きに感じて考えればいいわよの発信が作る側から出ているので*12

バードウォッチングでメモを取る尾上私のペンの持ち方がきちんと躾けられた指にもペンにも負担のかけない握り方で、育ちが……良い……!となりました。人差し指がペンの軸に寄り添いきれいに伸びて(利き手の向かい斜め側から眺めたとき)中指とほぼ同じほうを向き、ペン先を動かしても力が入って第一関節が反ったりしない、理想的な筆記姿勢。
夢中になってて力の入りがちな殴り書きでもあの持ち方が崩れないのはさ、幼少期から周りの大人が何度もみてやったから形成される無形の財産、恵まれた人間の特権だよ。と筆記具オタクはおもいました。
もちろん大人になって自分で一念発起して癖を直した人もいるだろうから一概にではありますけど、物語のパーツとしてみたらやっぱりあれは「何が(上流)社会でGOOD MANNERとされるかをよく知っている」周りの大人たちがふんだんに手をかけたから自然な状態として身に着いている、家ガチャと親ガチャでSSRを引いた恩恵、いわゆる育ちのよさの表現になり得ると思いますわね。わたしあの握り方で速く(あるいは綺麗な)字を書くことできないんですよね。もう1年半くらい矯正しているんですけど。
いやまあ紙に文字を書かないために力が入らないようにしていた可能性もありますが。尾上さんの握り方は中指までよく伸びていた*13ので。第一関節が入っているかどうかや実際に紙に文字が出ているかを見える角度の席ではなかったためそこはよくわかりません。
ところでこのときの筆記具がメタル軸あるいメタル風塗装のシャーペン(たぶん。)になりましたね。芯が出てない先端部分、金色っぽいとこの丸いふくらみでシャーペンだと判断したんですが、ボールペンかもしれない。時代的にはボールペンないからシャーペンかな。シャーペン(メカニカルペンシル)、実は19世紀からあります。

「僕はわかってる」煙草シーン、勢いよく詰め寄り歌う尾上私
→大きく開けたその口の中に煙草の煙を吹き込む廣瀬彼
→尾上私「うえっふ!(そこから咳込む)」
そこに愛はあるのか???

尾上私の、というか尾上さんのキータッチがめっちゃ可愛いという話をしてもいいですか? 他の四指が丸まり仕舞い込まれた一本指打法のキータッチ!(可愛らしいなと思っています)出力される紙に高さが合うくらいまでぐっと背中を丸めて、でも紙のほうを見る余裕はあんまなくてほっとんどキーに目が注がれているの(可愛いなと思っているし好きな場面でもあります) 『彼』に関わることに全力だけどちょっとどんくさそうな尾上私の人物像にも(個人的に)マッチしててわたしは手を叩いて喜びました。いえ叩いてないんですが。
ここで晒すようなこと言ったら矯正しちゃうかなと思ったんですけど、ごめん、あまりにも好きで……。廣瀬彼もよく見ると使ってるのは示指だけみたいですが(中指も使ってるかも)、ピアノやキーボードの待ち姿勢みたいにキーに対して四指を立てて添えている&背筋が伸びているので、尾上私の粗忽な大型犬っぽい打鍵姿勢が際立っているんですよね。
いちおう言っとくとタイプライターはむしろそちらの触り方が普通(現代日本で普段遣いはまずしないでしょ)で、10年出てる田代私*14や新納彼はともかく成河私や福士彼は初回からどうしてそんなに使い慣れて……?なやつだと思う。

尾上私の「ここで破り捨ててほしい?」に懇願でも関係の破綻までかけた交渉でもなく、”話し合いという手段を取るのはここまでだ(ここでノーと言ったら言葉ではなく物理的暴力で獲りにいくぞ)”の類の脅しを感じたのわたしだけですか? いえあのなんでかわからないんだけど……なんでかはわからないんだけど、一歩も引く気がないって意思表示だけでなく、『彼』がノーというかどうかによらず行為を遂行できると確信してるようなかんじを受けたんですよね……。『彼』との関係の断絶*15をかけた最後の手段だって悲壮にも似た覚悟を感じないというか……。

ネクタイを落とすタイミングが合うよう尾上さんのほうで先導?サポート?してるの好き。掌を上向きにしてネクタイを握ってる手をぱんと一挙動で下向きに返し、次の半拍で手を離す。さりげなく密やかに(ここ大事)行われる制作側の符丁を見つけた気になるとたのしくなりますね。
ネクタイをゆっくり緩めて一気に引き抜く、自分のネクタイをさっさとほどいた『私』をそうやってじらしてるのは廣瀬彼だけど、息がぴったり揃うようにコントロールしてるのは『私』のほう、構図にもなってそういう意味でもきゃっきゃしました。
「超人たち」のサビでたぶん廣瀬さんが歌詞取り違えをしたっぽく(がんがんと叩きつけるように叫ぶ『彼』側の歌声が一瞬たじろいだからそう取ったんだけど、合ってたら!ごめん!俺たちの~から始まってニーチェのなんたら(原理?)って言ってたと思う)声を合わせるとこだった尾上さんが一瞬でごくごく声を弱めて(メロはたどってる)目を彼から外して伏せ気味になりつつ違う言葉を言っていたの、"そういう二人の形”に見えるよう咄嗟のフォローをしたプロ根性を見た気持ちになりました。オペラグラスなしで見てたから顔の向きとか覚え違いあったらごめんね。両膝ついてる尾上私の腕を廣瀬彼が掴んで引き上げ、自分の顔と突き合わさせてるような構図だったと思う。

「ああ、完、璧だ……」のところで尾上私の表情や所作がひとり醒めているのすっごいこわいと思うんですね。あなた全くの冷静じゃん……。その地に足ついて先が見えてる平静のまんま、「うちも出すと思うよ」を言うんだよな君は……。

公園での「ほめてくれる?」細くうっとりした高い声で可愛いんだけどその後がなんていうかアレなのでこわいよ。わたしはここでも『私』に肉欲を感じてしまうんだよな……。
この場面での「待てよ!!!!!」余裕や優位をかなぐりすてたような荒々しい怒鳴り声なのにぜんぜん耳が痛くならず(音が)変な風に後にも引かないの、プロの技術……!という気持ちになり好き。

尾上私、『彼』の言葉にふっと鼻で笑うような応えをすることが何回かあって、なんかもうそのタイミングが全部こわいんですよね。覚えているのだと「俺と組んで」導入の「(暫く出られないだろうね)お前はな!」とか。「どでかいこと」の計画を聞いてるとこでもその笑い方してたと思う。
「お前はな!」はこの後にぶっちゃけてからキスされる直前まで『彼』の言葉を顔を伏せてそっちも見ないまま右の頬を軽く上げるのだけで対応してるのがめっちゃこわいですよ。ここにきていよいよ完全に下に見てる者への態度なんだよな。『彼』には見えない位置と角度でやってる、”見せつけるため”ではない表情なのがなおこわい。
「わかったよ、なんでもしてあげるね」の前にもなんかやっぱり『彼』に背中を向けたまま笑うんですけど、あれどういうニュアンスの笑みだったか誰か覚えてます……?わたしはそれを見て怖気が走ったことしか覚えてない……。
※追記:当日寝る前の走り書きを見つけましたところ、わたくしそれが”嘲笑”に見えたらしいです。

*1:個人的には松岡私からは'18-’19成河私の気配を色濃く感じたけれども。特に共感という社会性のなさに

*2:一瞬脱線するんですけど2021にいまりペアで田代私の印象もってる人は2014いれまりペアのCDスリルミー(曲のほう)聞いてみてほしい。わたしはにいまりペアのときはついぞ見なかった雄くささに爆笑する(好きなんですよあのバージョンも)体になっています。あのひよこみたいな『私』は新納彼が愛情をもって甘やかした結果であって、相手から与えられる「愛」や甘さが足りないとこうなるんだ……というおもしろさが。

*3:具合悪いのに仕事しないでくれ病人が無理して作った作品をエンタメとして楽しく消費するような人でなしじゃないんだ、人間ならまあまあ普通の感性だと思うんですがいかがっすかね。とコロナ禍前はいろんな演目で思う羽目になったし今も再びそんな感じになってきましたね。ひどいもんだ

*4:見せるようにゆっくりめに瞬きしてその場面での感情や状況の表現に使う、成河さんや田代さんがよくやってるのとは逆のアプローチだなーと思いました。まばたきという生理現象をキャラクター表現に組み込む、って手法は共通でもいろんなやり方あるんですね

*5:オタクスラング。見聞きした情報に一貫性を持たせるために状況解釈と文脈を詰め込み語られていない”確からしさ”を追い求めること。

*6:自分のことをどう扱いどう扱われるか、己で決めることのできる選択権、わたしはこの概念をつい「尊厳」と呼んでしまうんですが、まあもうちょい重くてデリケートな概念を扱う言葉だよねと思っている、のでここで言う。

*7:そもそも論として、わたしは歴史に名前の残ってない人間と名前が残ってる人間の生き死にに対して、前者は”扱うことが不謹慎”だが後者は”普通”で”当たり前”の娯楽とすることに対して、命に重さと優劣をつける以外であの自己矛盾をどうやって解消してるの……?となってしまうタイプなんですが。我々はどっちも悪趣味で不謹慎な娯楽消費だと心して事実と創作を同一化しないように細心の注意を払って扱うべきであり、片方が”悪いこと”で片方は”普通にしていいこと”ってことなくない……?
わたしはどっちもホンの段階で「あれを見たって犯人に憧れた同一化をもったり実際の殺人をしたいと思うようにはさせない」よう慎重に創作へと調整されているなと感じるので余計にそう思うんでしょうけども。

*8:顔の位置とかおおざっぱな動きとしては'21新納彼が『私』の首筋を啄ばむそれと近いんだけど、声と動きと表情があまりにも合ってなくて異様(好きだよ)

*9:肉欲のことを愛情と誤認することによって動物は生殖し存続しているのでその錯覚こそ正常な動物のそれなんですけど。でも物語としてそこをセットにすると、特に押し付ける側のキャラクターがその錯誤を強く持ってるとこわが出てくるよ、と思う。

*10:撫で肩なのか?スーツより着物が映えそうな体つきだか姿勢だかに見える。衣装と姿勢でそう見えなくできるのはメタマクd2で拝見したので、そういう人物像として残してあるんだろうなと思っています。

*11:あのキャラクター通りの忙しないわんこ系、積極的に役に立ってほめてほしいだけなら『彼』が火を持ってないのを確認し終えるのを待たず、"マッチあるよ!"をするんでは?と思ってしまい。

*12:2021年のキャストインタビューをわたしはそう受け取っています。あれ恒常販売にしといてくれないかな。

*13:エリザで田代さんが羽ペンを握るときは、やっぱり綺麗な握りながらこれはペン先から接地面に力が伝わらないようにしてるのかな(インクもつけずに羽ペン紙にこすったら傷むしな……)ってペン先の角度になってたので。おまえ何を観てるんだって話ですがだって日常生活で文字書いてる人がどんな握りしてるか凝視してたら失礼じゃないですか……。箸の持ち方と一緒っすよ……。

*14:キーを押し込むのにかなり力が要るはずなのに楽器でも弾くように軽やかに触る。別演目でタイプライター触ったときは彼だけ打鍵音がワントーン高く澄んでいて、熟練の腕なんだよな……同じ個体使ってて音が変わることあるんだ……と思った。べつに本気で出てほしいわけではないんですけど田代さんいつかひょんな機会があったらルロイ・アンダーソンの「タイプライター」に奏者参加してみてほしい。

*15:断絶といっても『私』からの一方的な、負けを認めたら復縁可能なものなんだけど。『彼』は高校時代から継続したりいったん切ったりをしているので……。