つまるところ。

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ジキハイ感想殴り書き3/25マチネ回

まとめる前に26日マチソワに突入してしまったためまるっと置いていきます。

 

「嘘の仮面」、上に立ってるアターソンが冷たい顔で見下ろしてるのできゃっきゃしてしまいました。ヘンリーやエマが知らないだけで、社交的で誰とも明るくやる上川アターソンもこういう“下の人間”を侮蔑的に見下す面を持っている。

「嘘の仮面」のルーシーが欄干の上から町を見下ろす眼差しを見てると、笹本ルーシーはロンドンとそこに住むやつらのこと嫌いなんだろうな……と思ってしまうんだなあ。

 

婚約パーティのダンヴァーズ卿、ストライドと握手した手をぴっぴっと払って燕尾服で拭いとっていたんですが ダンヴァーズ!? ねえ卿!? 卿はストライドお嫌いなんですか……!?「嘘の仮面」でもそれなりにお付き合いしてる感じなのに!?

ストライド、泥酔してるからか元々こういう階級じゃないのかシャンパングラスの柄を鷲掴みにするんだよな。ヘンリーに絡みに行くときはちょっと不恰好だけど正しい持ち方するので、お作法は頭には入ってるんだと思う。

ヘンリーにやり込められたストライド大司教におおよしよしと背中ぽんぽんされて輪に招かれ、そこでは座ってた公爵夫人がグラスを受け取り新しいシャンパン渡してやって、理事会連中にはそこそこ愛されてるんだよな いやな愛されだな(好きだよ)

 

◆理事会はよく聞くとそれなりに弁えてまともなこと言ってる人もいるんだよな、根性は腐敗だが

理事会、大司教をよく見てるとひっそり馬鹿にした笑いはするけど野次飛ばしもせず椅子に背を預けて大人しく座って聞いているんだよね。「悪だけを分離できる」でばっとジキルを見て、でも他の連中が立って騒ぎはじめたから静観を続ける。善良ではないけど仕事は仕事できっちりやってるんだよな

だから大司教が立ち上がったときとジキルに詰め寄ろうとしたときにはダンヴァーズが自ら割り入るしジキルを止めに入るんだな ジキルがほんとにアウトのことを言ってるから 背後からジキルの両肩を掴んでしがみつくように止めようとする(振り払った柿澤ジキルは相手に気づいて、あ……と呟いて俯いちゃう)

婚約パーティでの「罪は罪です!」だって、弁護士のアターソンにはそんな無茶なって聞こえるかもしれないけど大司教の立場としては正しいことを言っているんだよ。人が人を罰するための法律違反という罪は時代で変わっても、神が罪と定めたことは罪のままなので。新約以降は原則変わらんちんだもんな

公爵夫人もよく見てると基本は(たぶん門外漢だから)黙って聞いてて、初めてはっきり口を開くのが「人体実験ですって!?」なんだよな。「脳を手術しようって言うの」「人を救う病院で!」「もう沢山よ!」態度は悪いがあの場においてのみなら言ってることは理事としてはまともなんだよ。

理事会、柿澤ジキルが最初の一文を言い終えたところでダンヴァーズ卿がジキルのほうをチラッと見ていいぞって感じで小さく頷くんですよ。二言目から挑発する抑揚で煽り始めたジキルをパッと見て目線と表情で窘め、正面を向いてからもはらはらかついらっとしてるダンヴァーズ卿、大変だな……。なんていうかこれはジキルくんが全面的にいかんよ。「私はたまに〜我慢ならないことがある」の説得力がすごい。

 

上川アターソン、遊女しめのおかみの会話の感じ常連なのかね、卓に着くとすぐやってきて親しげにお話はじめる上客扱いされてるし。そのおかみはショーが始まったとき柿澤ジキルに近寄ってとんとんと肩を叩いてルーシーを示し、『ルーシー』って紹介してた

「連れてきて」の笹本ルーシー、楽しそうな上川アターソンには時間かけて顎をくすぐるのに嫌そうな柿澤ジキルには指先が触れるかどうかであっさり済ますの、客をよく見てる。そりゃ売れっ子になるわけだよ

笹本ルーシー、無理やり抱きついてくる行儀の悪い客は憮然とした顔して強く振り払い、ルーシーを待ってて息を読み丁寧に扱う客には楽しそうに踊ってやったりサービスしてやったりするのでよっぽどの売れっ子だよ、客を選べるくらいの

ルーシーとジキルの会話、ジキルが一回振った後にもっかい絡むじゃないですか、あのとき笹本ルーシーが店の奥のスパイダーを見て再び絡みにいくんですね

置いて行かれたハットを持ってどうすりゃいいのさ顔してる柿澤ジキル、アターソンに見せたところ上川アターソンがひょいと回収しておどけて被ってくれたので事なきをえました、って感じだった

ルーシーが言う「毎日が楽しくて仕方がない人はこんなところに来ないわよ」とおかみに上客扱いされるくらいには「どん底」の常連っぽい上川アターソンをあわせて考えるとアターソンも大変なんだなという顔になってしまいますね。

 

 

 

 


「結婚式」、みるみる声が濁ってハイドの声で歌う柿澤さんが「エマ」だけ澄んだ高いジキルの声でやるのでオタクは情緒が限界を迎えました

あっほんとだ柿澤ジキル、腹を撃たれて振り返ったときいいぞみたいな感じで小さく頷くじゃん。柿澤ジキル、脚や腹を撃たれた瞬間にジキルの目に戻るんだよね 痛みか衝撃でハイドの支配が一瞬弱まるみたいな

ストライド、1幕は左手で鷲掴みに握ってたシャンパングラスを2幕では右手で正しく摘んでて(若干ぶきっちょではある)、この人下の階級からの叩き上げなんじゃ……という気持ちにあふれてしまうんだなあ。

柿澤ジキルは明らかにお金のある上流階級のお坊ちゃんだので、生まれが良いだけでみたいな僻みをしちゃうならそれはまあまあわかるよ。ジキルはベストひとつ取っても蝶貝の貝ボタンだしステッキの握りは真鍮でなく銀メッキっぽいし(柔らかい銀色してるので鉄の演出ではない気がする)

エマと出てきたヘンリーに絡もうとしたストライドがアターソンに「今はやめとけ」と回収されてて面白さがあった

そのストライドさん、一回ではステッキが折れず2回首折りチャレンジされててかわいそみがありましたね

 

柿澤ハイド、「ジキル博士ならいない」「待っても無駄だよ、アターソンさん」に嘲笑の気配がある……気がするんだよなあ。

様子を窺う獣のような冷静な目をしていた柿澤ハイドがアターソンが銃を向けた途端に歓喜して口元に手を持っていく、子どもじみた稚気のある原色の歓喜

 

柿澤ハイドとルーシーの最初の出会い、ルーシーを犯すのは真顔でやるのにひん剥いて傷つけるときはぎらぎらした目で笑っていて、ぅゎ真性だ……と思いました。人を傷つける天才、生命を蹂躙することを悦びと知る者

そういえば、サベージ伯爵(死)に柿澤ハイドが肩貸してあげるようになってましたね。片脚を乗っけたまま残忍な嘲笑で胸元をぽんぽん叩いて、その手がぽすんと止まって自分もそっちにちょっと寄りかかって静かになる。遊びつかれて寝ちゃったみたいに。

死体と肩寄せあっておねんねするんじゃないよ余計こわいよ(好き)

 

2番目の殺人後だったかな、下手のほうでストライドが憔悴した顔で口元に両手を持ってってるのを見つけてあらかわいいと思いました。柿澤ジキルも考え事してるときは口元に手を持ってくのでなんかこう、似たところもあるみたいで可愛げがある

 

「連れてきて」の柿澤ジキルはルーシーのこと目で追ってるんだと思ってたんですが、床にぼんやり目を落として親指を口元に持ってって(しゃぶってはない)自分の考え事に耽っていて、さてはあんま楽しんでないな?

店の外で触られたときみたいな露骨な嫌がり方(ちっと舌打ちして肩を引き身体ごと顔を背ける)はしないものの、引き攣った作り笑顔ではいはい、ってあしらってるあたり愉しいとは思ってなさそう。笹本ルーシーが来たとき、うわ来たみたいな顔で自分のジョッキに手で蓋をして引き寄せてたの見たし

おしゃべりしながら笹本ルーシーがテーブルに座り、これ見よがしにガーターベルトの位置を直したときはそっちに目がいき、卓に投げ出してた手に彼女の手を重ねられるまで釘付けだったので笹本ルーシーは欲望のくすぐり方がうまいよ。客を選ぶだけあって選んだ客の落とす手管も色々持ってるんだな

笹本ルーシー、基本的に夜の気配がする艶のある声色で喋ってるけど、ふとした瞬間に世間知らずの娘みたいな見られてる意識のない声を出すね。「新しい生活」もその声でやる

ところで真彩ルーシーの思い出し語りをしてしまうんですが、彼女が手紙を読み上げるとき「ふさわしい」を2回目は1回目より単語の発音に近い抑揚で読むことがあってそれがとても好きなんですよね。彼女がなんにも知らないのは誰も彼女に与えてくれなかったからで、教えてもらえばちゃんと自分の身につけられるんだよ。

そして今までルーシーにそんなものをくれようとした人は誰もいなかったんですよそんな世界燃えてしまえばいいんだよ(強火)
19世紀末ロンドン(架空)、基本的人権と義務教育の重要性を教えてくれすぎる

 

婚約パーティで石丸ジキルはエマの肩を抱きつつ進行やってるジョンをにこにこ見ててアターソンの「ヘンリー!」も笑顔で目を合わせて受けるけど、柿澤ジキルはエマの肩を抱いて彼女のほうを見てわちゃわちゃ話しかけてて「ヘンリー?」ってアターソンに窘められてる。

石丸ジキルの社交性のなさは裏表のなさだけど柿澤ジキルの社交性のなさは我慢のできなさに起因するよ。

 

柿澤ジキル-Dreamエマ-上川アターソン、エマが全肯定甘やかしをするのでヘンリーの我慢が育たないけど、柿澤ジキルはジョンやストライドみたく社交で立ち回るセンスはない(何せ目の前の相手とその場の空気に興味が持てないので)から好き勝手やって成果で黙らせる勝ち筋しかないため正解(出過ぎたら都度アターソンが窘める)みたいな感じだった。

上川アターソンはなんというか……ジキルが推しなのか?みたいな。性格は合わないしジキルが言うこと聞く気ないのもわかってるけど(1幕の「もう寝ろ」の口調からのポールへのお願いの声色とか)構い続けるし貴重な友達で居続けてやるし思い出すときにはまるで楽しい思い出を取り出すみたいな目をして話す。

初実験から1週間後、上川アターソンはエマを見かねて今日はもう帰ったほうがいいって言いながらポールと一瞬見交わして「ポールと話をしてみるから」って続けて納得させるね。石井アターソンはソファに座ったところで少し腰を屈めたポールから何か聞いて、本当かってびっくり焦り顔をして、詳細な話をするためにエマを帰す(ために話しかける)って感じだった。

乱暴な声と態度でポールを呼び命じ、メモを落とすように渡す柿澤ジキルの様子を見ながら上川アターソンが目をまんまるにし、たじろいで一歩下がったりびっくりして体が跳ねたりするので上川アターソンはジキルがそんなことするような人ではないと思っているんだな。

 

今日のルーシーの最期、ジキルを模したハイドの歌が深く濁りハイドの声に戻っても、笹本ルーシーはふわふらして目を半分閉じて、夢見ているような愉しそうな笑顔を刺されるその時まで浮かべていましたね……。

18日だったかな、その日に見たときはナイフを取り出すハイド(石丸ハイド)のほうを目を剥いて見ていて、声が変わるところでハイドだと気づいたんだなと思ったのだけど、どうもあのとき血糊ケースが落ちたらしいからそっちを見てたのかもしれない。

ルーシーに最期の力で「ヘンリー」と呼ばれて振り返った柿澤ジキルの魂が割れてしまいそうなほど動揺している様がとても好きなんですよね

 

柿澤ジキルの「対決」、追い詰められた少年のようなジキルと余裕綽々に落ち着いている老獪なハイドの対比がね、好きだよ。薬液を飲んだ後、柿澤ジキルはこれでいけるか……!?みたいな不安と期待の入り混じった顔をするのでかわいいです。