つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

プレミアムシンフォニックコンサート~花總まり・女王たちの物語 VOL.2~ 感想

愛知版です。会場のスタッフさんがめちゃくちゃ優しくてあったかく、場内も2階の最後列なのに舞台がすごく近くて(あれはハコが縦に長いんです?)、素敵劇場だなと思いました。
これ花總さんに言うべきなのか主催に言うべきなのかアンケートに書くべきなのかわからないんだけど、この演目は語り含めて通しでの録音を音源販売してほしいな(ミュージカルIn This Houseみたいに)と思いました。私はすべての演目に対して映像を残してくれ!!(残ってると観劇に馴染みがない人を誘うハードルがだいぶ下がるため。*1)派なんですけど、この演目は夜のくつろいだ時間で耳で楽しみたいやつだなって。一晩にひとりずつとか睡眠導入とかそういう感じでさ。

以下ざーっとログ出しです。すみませんがエリザとMAしか曲がわかってないのでうろ覚えっぷりはご寛恕ください。好きになった曲の名前すらわからないのつらたんすぎるので公式はお願いだからセトリをください。

 

額田王とその背の君か恋人かの歌い交わしの語り

1曲目の曲がすごく好きなんだけど名前どころか見当もつかなくてかなしみなので公式はお願いセトリをください。
花總さんの和装、そしてあの愛らしい系の声の中に凛とした響きがあるのはしゃいでしまった。知識が何もなくてもしずしずと出てきたこのいきものが美しいことだけはわかるので普通に楽しい。
和装に合わせてなのか、語りの原稿が入ったバインダーが布?風呂敷で包まれてカバーみたくされてたような。紫の、小花みたいな模様があった気がするんだよなあ。

バイオリンの方が前に出ての状態で2曲目を弾いたあたりで、あっなるほどな?と趣旨*2を理解するなど。
最後におっしゃってたご挨拶からしても1度目はコロナ禍でみんなどうしよってなってたときだし、向かい合って歌うことのない工夫のひとつがこのコンサートだったんだろうなと思ったりしました。ぶっちゃけた話いっぱいの歌唱を期待していたことは否定しないけど(ミュージカル曲以外に歌曲も多く歌うのかなと思ってた)、これはこれでよいものでした。なのでセトリをください。特にバイオリンの方がメインだった曲をください。この曲好きー!と思っても何を気に入ったのかもわからないの微妙につらいので。

 

千夜一夜物語(違うかも)

田代さんが歌うなんかすごそうないきもののナンバー。お話を知らないので何もわからないが雰囲気がアラビアなのはわかる……熱帯特有のすとんと気温の落ち込む夜と炎を弾いてきらきらする金属器みたいなかおりがする……スカラビアみたいな……。これも曲名わからないのでセトリがほしい。
何もわからないながらにこの人が肉体的なパワーとは違う、なんか強い力を持ってるらしいっていうのはわかるのおもしろかったです。あとで他の人の感想見たら、魔人?ランプの精?らしいですね。田代さんが好戦的な人物やってると大きな獣が威嚇するみたいなぐるぐるした歌い方するかなーってなんとなく期待してしまうんだけど、そういう声を出していた負ければ地獄がむしろ珍しかったのかもしらん。

a whole new world 、花總さんのプリンセスが出てきた瞬間にかわいさで胸がいっぱいになって彼女だけを追ってしまい、私の情緒はここで限界を迎えました。オタクすぐ情緒が限界を迎えてしまう。
あの……相手が自分を傷つけるだなんて考えつきもしていないような恋する少女の無防備さがだいすきで……。心の全部を無防備に見せる信頼しきった少女の輝き、私はあの概念を少女性と呼んでいます。
お二人とも視界には入れてたはずなんだけど申し訳ないんだけどまじで花總さんに完全ロックオンしてしまい、かわいい……きらきらしてる……という情動が大波で押し寄せたことしか感情記憶が残ってない。

この曲はまあその私が限界になってしまったのであれですが、全体的に、誰が歌っていても花總さんが出てくるとそちらに目が惹きつけられるようだったなと思っています。そういう構成なのか女優花總まり(敬称略)のパワーなのかはわからんでしたけど、なるほどこれが女王たちの物語……という説得力でした。

エリザベス一世

花總さんの歌唱あり。歌ってたのはレディ・ベスの曲らしいです。
ヘンリー八世について、イギリス国教会の件を宗教目線の事情で習ってたのですごい、綺麗な言い方されてる……!という感動があった。たぶんあの語りのほうが一般的な認識として正しい。下半身が奔放なだけじゃなかったんだねヘンリーさん。

エカテリーナ二世

女帝エリザベスの話が出てきてから来ないかな来ないかなと思ってたのでオタクは歓喜した。
語り部の花總さんはたまに目を上げてお客のほうを見るんだけど、エカテリーナの話するときは眼差しが鋭くてはしゃぎましたよね。


いちおう言っておくけどエリザベスもエカチェリーナもログの量が少ないのは別に印象が薄かったわけでも心が動かなかったわけでもないですよ。ただあの、知らないものを意識に強く刻むのは難しい、何故なら気が付くフックも思い出すフックもないから、というだけです。知らないものを調べることはできないので……しつこいようだけどなのでセトリください……。曲名を調べる手段がほしい……。

 

フランス王妃マリーアントワネット

語りの他に歌唱が確か2曲、「マリー・アントワネット」からの「あなたに続く道」でした。
マリー・アントワネット」のときにふっと花總さんのほうを見てみたら静かな表情で目を伏せている姿を見つけ、暴力として使われた"民衆"に殺されたマリーがいる……と思ってしまい、オタクはこの日2度目の情緒の限界を迎えました。MA本編では見られない、フェルセンと出会った頃のマリーが観られるかなと思っただけなんですよ……。いやマリーだったのかはわかんないけど……語り部だったのかもしれないけどまあほら観劇って板の上の好きなところを切り取って見たい物語を観るのが醍醐味みたいなところあるじゃん……?
私は偶然に物語を見出してきゃっきゃするあそびをしているので、「愛したのはただのあなた」を聞いて束の間顔を上げた花總さんがフェルセンと視線が交わった、のに二人とも何も反応しないで歌が先に進んでいくのに大変楽しくなりました。死んだ人間が生きた人間と再び心交わることはできないんだよな。

MAのフェルセンとマリーの交わりって意味では次の「あなたに続く道」がメインだったと思うんだけど(構成的に)、情緒が限界になった直後だったので癒しだなーと観てしまい、楽しかったけどこの感情喚起されてるので公式のねらいとずれてたりするかもなとは思った。何を見て受け取るかは人それぞれだしいっか。品のある可愛い青年と娘ごだったよ。恋情が瑞々しくて愛らしかった。

オーストリア皇后エリザベート

チャルダッシュだー!(クロケスタで知るクラシック曲)
この曲のことをクロケスタでしか知らんのでチャールダーシュにはイタリア人が作った酒場の音楽のイメージがあり、ルキーニいるじゃんとちょっと笑うなどしました。いやわかんないけど……そのあたりの知識は無です。バイオリンのおじちゃんがすごいことだけがわかった。すごかった。

ミュージカルエリザの曲は闇は広がる、夜のボート、愛のテーマ、だと思います。たぶん。セトリをください(無限に言う)

史実においてトートは実在しないからなのか、閣下の声は人ではなくバイオリンなの趣旨が素敵だなと思いました。確かに、現実に存在したのは彼女と息子と夫だもんなーと。
そんな感じでバイオリントートの闇広が展開されていたんですが、手を取り囁き鼓舞する(ルビは「ハメる」に近いけど)トートの姿が見えないと、ルドルフは一人でどんどん思い詰めてくように見えるんだなって……父親との対立で心身耗弱して自殺した皇太子じゃん……みたいな気持ちになっちゃったよね。エリザのルドルフくんはかわいそうなのを愛でるものだと思ってるんだけど、トートが見えないときのほうがかわいそうに見えるんだな彼。頼れる人も縋れる者もない孤独な青年。史実のルドルフもなんかそんな感じだったっぽいけども。

自分の無力に俯いてた彼が顔を上げて遠くを見据えて「王座」って言ったときに高揚も歓びもなく、自分がやらなくてはならないからやる(自分がやらなければならない)って感じなのに悲壮感はなくてさ。国のため、というか民のための手段となる選択肢を当たり前に持ってるのが皇族だなって思ってテンションが上がっちゃった。冠るものも座る玉座はないのに魂だけが国に仕える皇族なの、ルドルフくんの純粋なところで可哀想なところだと思う。

話はずれるんだけど、'19ミュエリザを見たときから延々言ってるんだけどここのルドルフが「(救うのは)おまえだ」っていうの本当にかわいそうなはなし(好き)だよって思う。誰かに吹き込まれたような、あるいは外から自分に言い聞かすようだなって思って。いやそういう意図ではなかろうもんけども。エリザのルドルフくん、彼はそばにいてくれる親しい誰かだけを求めているのに誰かの手段や道具にされ続けたかわいそうな子だなと思っている。2019年のルドルフはみんなそれぞれの魅力があったけど表現としては京本ルドルフが本当に好みで、映像……映像残ってないすか……。最後の最後でうっすら笑みを浮かべて引き金を引いたんですよ彼……。
2022年のルドルフも楽しみですね。話を戻します。

夜のボート、楽しかったです。……いやあのその、結構コンサートでも聞く曲だしテーマもやっぱりそういう曲だし、何を期待して何が観られたかみんなわかるでしょ!? 舞台はナマモノなのでこの回だけって感想もある、もちろんあるがあんまりお外で書ける類のものではないので……いえ二次創作てきなあれそれではないんですが……。
ゴールの異なる二隻のボートを眺めている彼らが、しかし二人並んで同じほうを見ているように見えるのがこの曲素敵なところですよね。
ところでボートの単位になんとなく艘の字を連想しちゃうんですが、この字の読み方「ソウ」なんですね。

最後、きらきら輝くような音のバイオリンで愛のテーマが流れる舞台の上、花總さんが曇りのない笑顔を向けて去っていくショットを見せられて前後の感情があいまいにならないオタクがいるか? わりといるか(着席)


そんな感じでした。まだチケットあるって田代さんおっしゃってたので(8/14現在)、興味ある人は行ってみるといいと思うな。

*1:イメージの湧いてないものに対して試しに1万払ってみてくれはね、やっぱり友達には言いにくいし強くもお勧めできないんですよ……。

*2:シンフォニックコンサートという語を知らないで買ったので……。