つまるところ。

観劇や演奏会の感想を置いて行く場所。だって青い鳥には推しがいるから。もっと雑多なログもある。 https://utayomichu.hatenablog.com/

メタルマクベスDisc2、観てきました。

Disc1を観た私「この記憶を抱いて生きて死ぬ……。次も気になるけど円盤化の発表があるまで見られない……」
Disc2のビジュアルを確認した私「櫻子夫人絶対すごいやつ……気になる……円盤化はよ……」
Disc2初日の感想を見た私「援交感!?罪悪感なしに飛ぶ!?櫻子夫人に望んでたのはそれだよ!観る!!」

笑うなら笑ってくれ。なお9/17昼回です。

 

 

 

櫻子夫人。そしてローラー!
そんな感じでした。あの2人が食っていった。
歌舞伎色なのかギャグなのか、色んな人がちょこちょこべらんめえ口調や関西弁混じるの面白いです。
以下Disc1,2のネタバレと妄想とフィルターを含みます。というか半分くらい妄想。個人の感想と解釈です。

 

disc2の登場人物は、誰も彼もが他人の鏡に映した自分を見てる。熱烈な愛も結局は自分宛で、鏡にならなくなった相手に価値はない。
誰かの野心を投影されてばかりのランダムスターが唯一手に入れたお人形が夫人で、その夫人は誰もを鏡にして自分をきらっきら映しながら、その鏡像にしか価値を見出せなかった。鏡像とお人形。互いに映る自分を愛している。そういう依存関係だったんじゃないかな。

 

人物ごとの感想。ランダムスターは頭、夫人は最後にあります。

 

尾上松也さんランダムスター。

野心という言葉が本っ当に似合わない。根性出すとか特訓とか、そういう泥臭さが全くない。なんだろう、このランダムスター必死こいて勝利をもぎ取ったことなさそう。そんなに頑張らなくても75点を取れて、うまくいけば80点も取れる。成績は4、たまに5。顔もいいほうだし運動もでき、女にもまあまあモテる。そんな自分に不満も抱いてない。そういう感じ。彼が唯一死力を尽くして勝ち取ったものがあるとしたらこの夫人なんじゃないかなあ。他人の理想や野心を投影されてばかりのランダムスターが、唯一自分の理想を投影できるお人形。
このランダムスター、所々で見得を切る。それなりの頻度で繰り出すものの、要所要所じゃなさそうなところが非常にこのランダムスターらしかった。出だしの斬り合い以外は良くも悪くも進行に影響しない、面白いけど何でここで?ってタイミングなのが、なんというか、言われたことをさして苦労もせず叶えて生きてきたっぽいこのランダムスターらしいなって。(私がお約束を知らないからそう見えるだけで、何か符合があるんだとは思う。)
ところでお衣装ですが、ポロリ前提でした。初めの見得でもう見えていた。まあ、コート脱いだらポロリも何もなく全開ですしね…。見せない夫人の代わりにランダムスターがポロリするのか、愛妻家だからか。マクベス衣装、背中にサソリがあります。
2幕の王様衣装、襟元の過剰な装飾がめちゃくちゃ浮いてて、服に着られてる感が大変良かったです。つくづく器じゃないんだよなあ。
そしてこれだけは言わなくてはならない、ランダムスターの寝間着が!!!薔薇柄!!!!おっまえ!!!!!ありがとうございます!!!!!!

 

岡本健一さんエクスプローラー。

このエクスプローラー、ランダムスターのために動く気がない。初めの殺陣も数度打ちあった後は後ろでギター弾いてるからな。
感想で見かけた(行くのを決めた理由の1つ)通り、ほんとだ絶対親友じゃない。あれだろ、剣を教えてくれてた近所のおっちゃんだろ。つまんなそうな顔したがきがいたから剣をやって、面白半分で稽古をつけてみたらやってみろ、って言ったこと何でもひょいっとこなす小器用ながきだった。戦場に連れてってみたらあっさり勝ってどんどん出世していくから面白くて焚きつけつつ一緒にやることにした。そんな感じがするぞ。松也ランダムスターの好きでも嫌いでもないけどできるからやってる(褒められるし)、って雰囲気にぴったり。
言い争いでつい強く言っちゃったランディのほうがびっくりしてるのとか、胸倉掴まれてもびびる様子もなく大人のあしらいをするところとか、力関係は絶対にエクスプローラーのほうが上なんだよなあ。魔女の予言のことも、「思い出させたのはお前だろ?」「あーっ、ごめんごめん(うろ覚え)」の悪びれなさですよ。わざとやったんじゃねえの?ってくらいの白々しさ。
マーシャルへの態度が完全にDV。「相変わらずバイオレンスな親子関係だなあ!」そのセリフ洒落になってないぞランダムスター。マーシャル登場シーンでばっきばき殴るのに、あとよく見るとバイクにスパナが装備されてるのに、遠乗りでマーシャルがエンスト起こしたときは拳骨ひとつなく、めっちゃ優しい頼りになる父親ぶりなのがまた。
disc1と比べてお衣装がだいぶ派手です。着物でいうなら衽?のところに紫のぴかぴかがずらっと付いてる。これ言及していいのか迷ったんだけどなかなか可哀想な禿げ方してます。伸ばしてるなら隠せそうなものだけど。

 

伊藤玻羅馬さんマーシャル。

なんでここか。このマーシャル己がないからです。誰も彼もが他人の鏡に自分を映してる中で、自分という鏡に父親を映してるんだよこのマーシャル。
エクスプローラーのランダムスターへの忠告で一緒に出てきたときの、あの自分の意思を持ってない感じ。あんなに殴られて嫌がりもせず疑問に思う様子もなく、遠乗りで父親に向ける眼差しは尊敬できらきらしていて。いやもうやべえの一言しか出ない。児相早く、案件です。まさか「フェルナンデスの孤児院におりました」の台詞によかった、君自身にとって長期的にはよかったよ、って感じる日が来るとは思っても見なかった。
父と死に別れて、国も亡び、ランダムスターやJrもいなくなり。王位を押し付けられたときの丸まった背中に、彼がちゃんと立っていけるのか心配になるのでした。

 

浅利陽介さんグレコ

若い、青い、荒い、と三拍子揃った元ヤンでした(好意の感想です) マホガニー城の門を叩きながら飛び出した「ぶっ壊すぞ!」にはたまげた。
ランダムスターへの報告でのがるるるるるーっ、が仔狼みたいで可愛い。一生懸命威嚇してるけど目がきらっきらしてるのな。
王に伝令を言い渡されたときの、真顔からにやりとしてまた笑顔を作るところ、彼も腹に一物抱えてるのかなー。今回のメタルマクベスは野心を抱えた人が多いね。ランダムスターとは同じ部の後輩って距離感だった。二個下くらい。ランダムスターの「下手くそぉ」が微妙に優しいんですよね。お前はいつもそうだよなあって雰囲気で、煽りに行ってるんだけど奥底の優しさというか、他人に対する根本的な執着のなさが透けて見えるような。

この流れでパンフで高田聖子さんグレコ夫人を見たときの第一印象いいですか。

今回のESP軍、女を見る目がない!!!!!!いや逆にあるのか?なんというか、顔と身体で選んだ感すごい。
1幕では大丈夫?愛ある?身請けじゃない?って下衆な勘ぐりしてたんですが(葬列は夫人見てて見逃した)、2幕できちんと見たら夫も子供も愛してましたね。Disc1は終盤、ギャグに振り切った後のグレコ母子しか見たことなかったので、disc2でいくつか謎が解けました。(disc1ローマンが家族想いだけどまじであほなこだったらどうしようとは思わなくもない)
シマコめっちゃ(見た目も)いい女でしたね。はんなりして。あんないい女に言い寄られたらマグダフが敵うわけない。産気づいた後、風呂敷を噛み締めるところに好感度が上がりました。周りの扱いも良かったのには笑った。お客様それ困るー!で、お盆で脚の間を隠したホテルマンGJ。2幕もいいお母ちゃんだったしなあ。
常川藍里さんローマンは身体が軽い。めっちゃ飛ぶ。シマコ息子はdisc1より小生意気さが薄れて落ち着きがあるような気がした。同じテーブルの奥様方に可愛がられてましたね。

 

木場勝己さんレスポール王。

Disc1とビジュアル合わせて来てますね。寝間着が少し違ったかも。血糊の色合いがよりリアルになってた。濃淡がえげつねえ。(と思ったんだけどDisc1ゲネプロみたらなんか結構違った。夫人しか見てなかったのが丸わかりである。)
このレスポール王の飲んだくれるおっさん感ですよ。威厳も風格もないが気のいいおっさん感に溢れている。グレコの年齢差もあってか厄介な先輩っぽさが増した。
ギターを弾くレスポール王!まじか!!導入だけだったけどびっくりした。殺しが好きなら~のところ、歌に合わせて右手が動いてましたね。
最期の台詞、「なぜだ……!」だけであっさり事切れました。そこまでの台詞も「誠実なお前が」で、忠実じゃなかったはず。あのランダムスターには忠実より誠実が似合いますわな。
マントを大きく動かすたび、ばりっと音がしててすみませんちょっと笑いました。生地が固いのかな。

 

原嘉孝さんレスポールJr.

こちらもDisc1とビジュアル合わせてきてる。動きのキレがいちいち良くて、IQ高そうな王子。Disc1王子も初めはIQ高そうだったと聞くので、ここからまた変わるのだろうか。
そしてこのレスポールJr、ダンスのオーラがすごい。踊り始めた瞬間から輝き始める。これがジャニーズjrか…すげえな…。先頭で踊ってるときより前にダンサーがいるときのほうがぐいぐい目を引くのが面白かったです。行進はまだ頼りなさげだったけど(何たってまだ2回目)あのIQ高そうな王子は先頭でもすぐ輝き出すと思う。
細かい内容。ラスクで台詞噛んだ犯人は今回も間違いなくJrでした。腕を抱えてあわわってしてた。あと夫人とのじゃれ合いが台詞、関係ともにだいぶ変わってました。ジャニーズjrに何言わせてるの!?いいの!?あ、お弁当は卵焼きだそうですよdisc1組の皆さん。
元きよし。ムーンウォークはなくなってました。赤いスーツで大きな身振り、なのに効果音にばしっと合わせて来るのでインパクトのでかさは健在。脚を填めるとこまでタイミング合わせてきたぞ。
ところでこれは本編とは全く関係ないんですが、カテコの再集合で観客と目を合わせて小さく手を振ってくれるのファン心理を完璧に理解してる感じで震えてました。視線を移したときぱっと表情が華やぐのよ。ちょっとの時間でこの特別感もらえたらハマるわな……。錯覚だろうと頭のどっかで理解しつつ胸が踊りましたもん。
そういう意味では今回のカテコ、ファンサ精神?スキル?原さんと大原さんが際立ってた。客席に向けて手を振ったりぱっと笑ったりとちょっとした仕草がいちいち愛らしく、そんでまた、これを見られたのは自分たちだけって特別感があるんだよなあ(繰り返しますが好意の表現です)

 

河野まさとさんパール王。

Disc1パール王は智略の王って雰囲気だったけど、Disc2パール王は頭の回転は速いんだけどそれを隠すつもりがないというか、戦いを始める前に決着をつけるような戦い方をしなさそう。ちょっと出たがりというか、動くなら出番がほしいというか。ランダムスターとの殺陣、disc1ほど頻繁ではない(たぶん)ものの、ときおり剣を持ち替える剣術は健在。Disc1パール王の剣戟が剣を輝かせるものだとすれば、河野さんパール王の剣戟は自分を輝かせるものだと思う。
2幕、ナンプラーが地味になってる、と思ったら服装隠しのコートだった衝撃。自覚があった。

 

逆木圭一郎さん門番。

愛がねえ。この一言に尽きる。Disc1門番の健気なまでの献身をイメージして行くとひっくり返る。1幕の(王の死に対して)「そうですか、死んだんですか」の関心なさそうな言い方や、2幕の「喜べ兵士ども!」のくだりで徳永くん母とひそひそ陰口叩いてる姿にぶったまげた。
disc1門番がランダムスター夫妻のいる城についていったとするなら、disc2門番は先祖に誇れる門を持つ城にいるランダムスター夫妻の面倒を見ている。主が変わっても何事もなく仕事を続けそう。
良い声(ここ大事)で味のある面白い門番だと思います。登場シーンに解説字幕がついてて噴き出しました。

 

徳永ゆうきさんシンガー。

駅員だ!!!すごいインパクト。ちょいちょい差し込まれる小ネタが楽しすぎる。ESP軍に入る前は有楽町線の駅員だったそうですよ。コートの背中に青字(スパンコール)で王専属って書いてあります。
disc1では門番が背負っていた優しさ成分を彼が担っている。乱心する王を気遣ったり心配したり。ESP軍と動いてるときはそんな感じなんだけど、母の登場以降は貧乏くじ引いちゃったなあ、みたいな反応が見えるようになってくる。最後の「お前かよ」の白けた顔が、この人も野心を抱えた組だったんかなあと思わせる。純朴なイメージがひっくり返った。
シンガー徳永くんの報告の歌と弔いの歌、ぜひともCDがほしい。コンパクトディスクは時代遅れだというならDL販売で。カテコは彼じゃなくて滝さん?という方が歌ったものになってました。

 

村木よし子さんおよび魔女たち。

魔女たち。disc1より積極的に煽ってない?気のせい?万歳マクベス~、のところで入る拍手の煽りがですね。全員が狐面を後ろに被っていて、正面から観るとリボンみたいになってました。衣装は大きな襟がついて可愛さを押し出してる感じ?あとマクベスはもう眠れないの衣装から十字架がなくなってた気がする。コラーゲンの泉、「ホントに若返ってる!」になってて笑いました。

医者。夫人の最期を告げる声に気遣いや無念さ、温かみがあって、ありがとう……!!という気持ち。「閣下!」も心配しているようで、立ち去る後ろ姿に声の届かない悔しさみたいなものを勝手に読みとっていました。disc1の医者よりやさぐれ感があったものの(煙草ふかしたりもしてたし)、人としては悪い人じゃないんだろうなあって。道端で転んで泣いてる子供を見つけたら、「どうした、坊や」って屈みこんで声をかけそう。ただ、擦りむいた傷を消毒せずにバンソーコー貼っちゃいそうでもある。

 

大原櫻子さんランダムスター夫人。最後なのはダントツ長いからです。

自分の若さとお顔の可愛さに価値があることを知っている精神不安定。顔への自信とプライドでコーティングされた空っぽの自尊心。
我が儘いっぱい、野心たっぷり自信たっぷりな女かと思ったら、お顔の可愛さへの自信以外なんっにも持ってない空っぽのお人形だった。自分が一番きらきらして見える鏡としてランディを選んだんだろうなあ。
ローズの「背伸びした普通の女の子」っぽさとのギャップがすごかった。あっちはちゃんと愛されて育ってそう。2幕、パーティー会場で場を収めようと必死なのがすごい可愛かった。でもサークルの姫っぽさあるよね。あの姫感がいい。
ところでカテコ時のメイクが個人的に大勝利でした。櫻子夫人の「あたし可愛いでしょ?」と言いそうな魅力が輝く。

 

以下細かい語り。

1幕の「ランディを身体で落とした(抱かれてない)」感、もっと言うなら身請け感やばくない?
初めは好き放題甘やかされてわがままたっぷりに育てられたお姫サマなのかなって思ってたんですよ。最初におや?って思ったのが「私の殺意」。膝抱えて落ち込んでる風のランディにちょっかいかけて、雑に払いのけられても全然めげてないの。えっ大丈夫?櫻子夫人怒んない?癇癪起こして泣かない?って心配になったけど、その直後の頭ぐるんぐるんで吹っ飛んでいった。あの違和感を、もう少し抱えときべきだったと後になってわかる。
合わせた両手を指を絡めて掴んで、笑顔でひねるところがいい。主導権はわたし!と言わんばかりの勿体ぶり方、言うこと聞かせるためには己の肢体をどう使えばいいか完璧に理解してる女の子。いいぞもっとやれ。
王の葬式に1ミリもやる気ないの最高でした。花の置き方も葬列の歩き方もぞんざいすぎる、演技する気すらない。心のこもってなさがすごかった、小学生が朝礼でしぶしぶ整列してるみたいだったぞ。ランディの腰に手を回してはいるもののちっっとも身を任せず姿勢も歩みも真っ直ぐなのがいい。
この夫人、城の人たちだけじゃなくてランディが見てない時の表情も悪くていいな。自分以外どうでもいいと思ってそう。いいぞいいぞ。
王子に対する言葉も、王の言葉へ返したからっからに乾いた「あははははっ」も、男はこうすりゃ喜ぶだろっていうのが透けてるようでいい。
PV無理やり見せたり言い方が荒っぽかったり、ヤマハも忠誠心や好感があるわけじゃないっぽいし。ランダムスターがたぶらかされたとでも思ってるんじゃないかってくらい愛想がない。
ランディが王に止めを刺す瞬間、ぱっと背を向けるのが印象的。怖いものから目を逸らしたのか、きれいじゃないものは見たくなかったのか。2幕と合わせると後者なんじゃないかって気がしてくる。

2幕、夫人のため息でキツネのぬいぐるみ持ってきた!待ってた!(観劇を決めた一因)キツネの目をボタンじゃなく、人工革かフェルトを貼っつけたの素晴らしいと思う。目に光がない抜け殻になってる。曲調変わったねーって思ってたら、噂で聞くにはこちらが初演に近いらしいですね?
宴で醜態を晒したランダムスターに向ける、見下しきった軽蔑さえ漂う表情ですよ。ランディへの労りが全く感じられない。「かわいそうな人」の副音声でしょーがねーな、って聞こえた。叩きつけられるって行為そのものには怯んでなさそうなところにまた違和感。ランディDVはしなさそう(できなさそう)だけど?と思ってたら次で回収された。
キャラメル口に入れられてからの表情。あそこからの変貌。ごどんって音を立てて表情が、他人に見せるための自分が抜けた。観た方なら伝わると信じたい、あそこで彼女は他人とのコミュニケーションを投げ捨てた。あの透明ですらない色の無い表情は、心が弱って辛いのしんどいのっていうより(いや弱ってはいるんだけど)、生きること含めた全てが面倒くさくなった投げやりさ何だと思う。あの表情であーあ、ってため息ついて、腕切っても酒煽っても飼い犬蹴っても違和感がない!!  でもキツネのぬいぐるみは蹴らなさそう。ぎゅっともしないと思うけど。だって反応がないもん。ぬいぐるみを構う楽しさや癒しは自分の情緒の写しなので、情緒が死んでるときにはカンフルにならない。
「甘いキャラメル」の部分で上のパートを取りに行ったのが好きですよ。感情も何にもないのに、きらきらしたロリポップみたいな声。かじってみたらレジンで甘くもないんだろう。
キャラメルを口に入れられてまず出てきた言葉が「ありがとう」だったの、重さがあっていいですね……。感情の色はないけど、続いた「ちがう、…ごめんなさい」よりずっと質量があった。

夢遊病のシーンもすごかった。本当だ絶対悪いと思ってない。小さい箱にしとけばよかったー、の反省してなさ。
ごめんね、ごめんなさいごめんなさい!ごめんなさい、ごめんなさい、……と延々続けるところ、あの切実さは罪悪感なんかじゃなくて虐待を受けた子供の自己防衛だよ。彼女はランディなんか見ちゃいない。膝枕をされて(たよね?)ごめんねーって呟くのも、ただ言ってるだけって感じ。
大人らしくないのは当たり前で、大人になるための自尊なんか誰にも与えてもらってなかった、彼女の持ち物はきらきらさせた外身だけで、中には何にもなかった。
彼女の狂った姿は子供に戻ってしまったんじゃなくて、きらきらした皮を一枚剥されただけ、中には初めからあの子供しかいなかった、そんな感じ。

黒ストッキングだけで何も履いてないのも愛されなかった子供っぽさが出ててえもいと思う。

あの夫人は情緒が死んで、自我もどっかに捨ててきて、命もぽいっと捨てちゃったんだな。
シルエットがだんだん傾いて、顔から突っ込んでく形になったの最高だと思う。唯一の持ち物だったお顔の良さも残らなかった。

この夫人のキャラ造形がわりと性癖ドンピシャなんだと思う私。王に話振られて「はいぃっ!」って返事するとことか膝枕されてごめんねーって呟くところとかくっそ可愛かった。

 

対するローズの普通の女の子っぽさ。背伸びしてプライド高くて、でも一生懸命頑張る普通の女の子。衣装が自己主張なのがかっわいらしい。あのローズは見てほしい自分を着てる。
1幕でのバンドメンバーへのダメ出し、台詞ががらっと変わってましたね。バンクォーの歳を集中的にいじるスタイル。
2幕の衣装に金色の薔薇柄が入ってるの、自己愛!!って感じでよいです。ストップ、ストップー!からの流れ、一生懸命場を収めようとしてるのくっっっっそ可愛い。動転してるのも露わで何とかしなきゃって懸命なのが眼に出てるの本当可愛い。
性癖が歪んでいる自覚はある。

うさぎさんふわふわパジャマサイコー。櫻子ローズにそれを求めていた。
あのサークルの姫感にスウェットは合わない。中の髪がツインテになってて赤白のリボン?みたいので留められてました。うさぎさんかな?マクベスの声を全っ然聞いてない喋りも、ぽーんって投げられる無防備な声がそれでも可愛らしいのも、disc1ローズみたいな見られていることへの強烈な執着が残らなかったところも、あのローズから繋がる先にある壊れ方で大変に愛い。

 

誰も彼もが他人に映した自分を愛しているdisc2、これからどうなっていくのか楽しみです。